マンホール蓋から見える松阪市の歴史:マンホールカードで歴史について学びましょう!
今回は三重県松阪市のデザインマンホールについて紹介します。
デザインマンホールとは?
地面にあるあれは何でしょう?遠くから見ると、ごく普通のマンホールのように見えますが、近づいてよく見ると、鮮やかな色彩と複雑な模様が目に飛び込んできます。

▲このマンホール、何かが違う!
デザインマンホールは現在、全国で1万枚以上設置されており、下水道のイメージ向上という当初の目的を超えて広がっています。歴史上の人物、ご当地マスコット、さらには有名メディアのキャラクターまで、地面に埋め込まれたデザインから微笑みかけ、地域の物語を語りかけています。デザインマンホールは、全国各地のファンだけでなく、都心から少し離れた、魅力的でありながら見過ごされがちな街を訪れる海外からの観光客も魅了しています。
マンホーラーたちは、美しいマンホールを実際に鑑賞するだけでなく、特別な記念品を求めて遠方から訪れます。それぞれのマンホールの設置場所付近で配布される「マンホールカード」は、コレクターズアイテムとして人気を博し、その場所を知るためのユニークな方法となっています。

▲マンホールカードには、マンホールの場所やデザインの由来など、様々な情報が記載されています。
今回は、三重県松阪市をまわりながら、マンホールカードを集めていきます!
マンホールカードに見る松阪の歴史
伊勢神宮を擁する三重県の中央に位置する松阪市。実は、松阪市はかつて、伊勢神宮への参拝客などでにぎわった商人のまち。また、「松阪牛」をはじめとした食や、文化資源も多くある、魅力的な場所なんです。マンホールカードを通して、松阪の歴史にも楽しく触れていきましょう。
松阪市のマスコット、ちゃちゃもが登場するマンホール
「ちゃちゃも」は、日本三大和牛の一つとして知られる「松阪牛」をモチーフにした、松阪市公式キャラクターです。

▲「ちゃちゃも」と人気絵本キャラクター「マンホ―くん」のデザインマンホール。
ちゃちゃもは、松阪牛と、地元産のお茶や豊かな自然を表現した緑色のキャラクター。イベントなどで、チャーミングな笑顔で人々を迎えてくれるちゃちゃもを見かけます。地元民に愛され続けているキャラクターです。
松阪牛マンホールと有名な国学者
「松阪牛」は松阪市の誇り。松阪牛をモチーフにしたデザインマンホールもあります。このマンホールには、首に不思議なものをつけた牛が描かれています。電車で松阪に来たマンホ―ラーは、この牛の首飾りが、松阪駅前で誇らしげに迎える像と同じものだと気づくかもしれません。

▲牛マンホールには、国学者「本居宣長」へのひそかなオマージュが込められています。
マンホールと駅前の像にはどちらも、現存する日本最古の歴史書「古事記」を研究し「古事記伝」を書き上げた偉大な国学者として知られる本居宣長が愛用していた鈴が描かれています。本居宣長は松阪に生まれ、生涯のほとんどを松阪で過ごしました。彼は医師として毎日患者を診察する一方で、学者や詩人としても活動し、伊勢参りで松阪を通過する旅人を通じて文学上の弟子たちと手紙を交換していました。
伝説の探検家「たけちゃん」のマンホール
本居宣長の時代から少し後、松阪に住むある若者は、伊勢参りの旅人たちが自宅の玄関先を通り過ぎるのを見ました。壮大な旅に感銘を受けたこの若者は、生涯をかけて北海道を巡る画期的な探検に費やしました。1世紀以上後、彼は北海道の名付け親「松浦武四郎」として知られるようになり、故郷の記念館の隣に特別なマンホールが設置され、その功績を称えています。松阪市にある松浦武四郎記念館では、マンホ―ラーが松浦武四郎の手描きの北海道地図や、彼が擁護した先住民族の記録を見ることができます。

▲探検家で地図製作者の松浦武四郎をモデルにしたキャラクター「たけちゃん」は、旅の途中で大いに助けてもらったアイヌ人の民族衣装を身にまとっています。
古代史の痕跡を語るマンホール
松阪の歴史は、本居宣長や松浦武四郎、そして多くの裕福で影響力のある商人が台頭した江戸時代に栄えました。しかし、次のマンホールカードは、この地域の歴史がはるか昔に遡ることを示唆しています。

▲この埴輪は、全国で初めて発見された立ち飾り付きの船形埴輪であり、松阪市の文化財センターで実際に見ることができます。
古墳時代の埴輪は、松阪市の宝塚古墳公園のような史跡とともに、古代の埋葬習慣や儀式の一部であったと考えています。埴輪の形状は、遠い昔の住居、衣服、道具、その他の日常生活の品々がどのようなものであったかを示唆しています。松阪市の船形埴輪は、最大級の完全な船形埴輪の一つであり、重要な歴史的価値を持つ国宝です。オリジナルは、市内の文化財センターで常設展示されており、この土地から発掘された他の興味深い埴輪数十点も見ることができます。
「モーラ」のマンホールと未来への道
こどもから大人まで幅広い世代にスポーツの持つ力を伝えたいとスタートしたプロジェクト「伝えたい!スポーツのチカラ」のキャラクター『モーラ』は、元気いっぱいのキャラクターで明るく活気あふれる未来への道を示し続けています。

▲「モーラ」は、色鮮やかなマンホールデザインで、新たな未来へと導きます。
松阪市のマンホールカードは、ユニークなお土産やコレクションアイテムとしてだけでなく、地元の歴史を彩る興味深い物語を紡ぎ出す力を持っています。次回旅に出かけるとき、ぜひ松阪市へ来てみてください。マンホールからの深い歴史の話が待っています!
マンホールカード配布場所について
この記事で紹介されていないデザインも含め、三重県松阪市のすべてのデザインマンホールは鈴の森公園と市内各地に展示されていますが、カードは下記場所でのみ配布されています。カードの配布時間は各施設の営業時間と異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう!
それぞれのマンホールカードのデザインをより深く知るには、関連する博物館や歴史的建造物を訪れてみてください。ぜひコレクションと観光を松阪で楽しみましょう!
松阪市のマンホールカード配布場所
松阪市のマンホールカード配布場所と配布時間は、執筆時点では下記の通りです。最新情報は、市の公式ウェブサイトでご覧いただけます。
「ちゃちゃもとマンホーくん」のマンホールカード
配布場所:豪商のまち松阪 観光交流センター (三重県松阪市魚町1658番地3)
※駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用いただくか、お車でお越しの際は、松阪市役所の駐車場または近隣の有料駐車場をご利用ください。
配布時間:12月~2月 (9時00分~17時00分)
3月~11月 (9時00分~18時00分)
※12月30日~1月2日は休館ですが、下記の場所で配布します。
松阪市役所 1階 当直室 (三重県松阪市殿町1340番地1)
8時30分~17時15分
「うし」のマンホールカード
配布場所:【平日】松阪市上下水道部 1階 上下水道総務課 (三重県松阪市殿町1340番地1 松阪市本庁舎第3分館)
【土曜日・日曜日・祝日、年末年始】松阪市役所 1階 当直室 (三重県松阪市殿町1340番地1)
配布時間:8時30分~17時15分
「たけちゃん」のマンホールカード
配布場所:松浦武四郎記念館 (三重県松阪市小野江町383)
※松浦武四郎記念館の休館日は、マンホールカードの配布は行いません。
休館日:月曜日(祝日の場合は開館しその翌日を休館)
祝日の翌平日(土曜日・日曜日・祝日の場合は開館)
年末年始(12月29日~1月3日)
展示替え期間中(2か月ごとの火曜日~木曜日→松浦武四郎記念館HPに掲載)
※暴風警報及び特別警報が発令された場合は休館となり、配布を行いません。
配布時間:9時00分~16時30分
「はにわ」のマンホールカード
配布場所:松阪市文化財センター はにわ館 (三重県松阪市外五曲町1番地)
※松阪市文化財センターの休館日は、マンホールカードの配布は行いません。
休館日:月曜日(祝日の場合は開館しその翌日を休館)
祝日の翌平日(土曜日・日曜日・祝日の場合は開館)
年末年始(12月29日~1月3日)
※月曜日・祝日の翌平日は一部開館日あり(松阪市文化財センターHPに掲載)
※暴風警報及び特別警報が発令された場合は休館となり、配布を行いません。
配布時間:9時00分~16時30分
「モーラ」のマンホールカード
配布場所:松阪市総合運動公園 管理事務所 (三重県松阪市山下町111)
※松阪市総合運動公園の休業日は、マンホールカードの配布は行いません。
休業日:月曜日(祝日の場合は営業しその翌日を休業)
祝日の翌平日(土曜日・日曜日・祝日の場合は営業)
年末年始(12月29日~1月3日)
※「みえ松阪マラソン」の開催日(令和7年12月21日(日曜日))は交通規制があり、車やタクシーでお越しいただくことができませんのでご注意ください。
配布時間:8時30分~17時15分
三重県松阪市は日本のほぼ中央に位置し、世界に誇るグルメ・松阪牛、豊かな歴史文化、美しい自然を楽しめます。江戸時代、お伊勢参り(日本最高位の神社への巡礼)の最後の宿場町であった松阪は、多くの人やものが行きかう交通の要衝として栄え、多数の豪商を輩出しました。これらの商人たちが、江戸で松阪もめんなどの商いに成功し、松阪に繁栄をもたらしました。
