【名古屋】人との繋がりで、豊かな心を育む場所を未来へ繋ぐ「大須演芸場」
今回は名古屋の人気スポット、大須商店街にある「大須演芸場」をご紹介します。毎月1日から7日の期間限定で、落語や漫才、講談が開催され、気軽に日本の古典芸能を楽しむことができます。
ホテルリソル名古屋
名古屋駅から徒歩圏内に位置するホテルリソル名古屋。ロビーには季節ごとに表情を変える木々が彩りを添え、ゆったりと読書とコーヒーを楽しめる寛ぎの空間をご用意しております。

大須商店街は、日本一元気な商店街と言われ、約1,200の店舗が並ぶ活気あふれるエリアです。家電や古着、グルメなど多種多彩な店が揃い、いつも多くの人で賑わっています。名古屋駅から電車で数分の場所に位置し、地下鉄の大須駅から上前津駅にかけて広がっているこの商店街では、定番の名古屋グルメはもちろんのこと、行列のできるB級グルメ、多国籍料理、古くから続く老舗のお店や定食屋さん、喫茶店など多くのグルメが楽しめます。食べ歩きやショッピングが楽しめる場所として国内外問わず観光客にも人気のエリアです。古いものと新しいものが混ざり合い、様々な文化を取り入れる “ごった煮文化” の雰囲気が魅力の大須商店街は、名古屋カルチャーの発信地として、文化を耕してきました。そんな大須商店街の一角で江戸時代から今日まで、文化を継承する「大須演芸場」は、中京圏で唯一の寄席として知られています。支配人の矢崎通也(やざき・みちや)さんは、「大須演芸場」を後世に繋いでいきたいと語ります。
江戸時代から続く文化

「大須演芸場」の歴史を紐解くと、その文化的な背景は江戸時代にまで遡ります。18世紀初頭、江戸幕府は財政再建のため、徳川吉宗による享保の改革を実施し、世の中に質素倹約の風潮が広がりました。しかし、尾張藩主・徳川宗春はこれに対抗し、開放的な政策を推進。芸術や芸能を奨励したことで、大須には芝居小屋が建ち並び、「芸どころ名古屋」として大いに賑わいました。1965年(昭和40年)、「大須演芸場」が誕生。落語、漫才、コント等を上演する寄席として、多くの芸人が腕を磨き、名だたる大物も舞台に立ちました。かつては連日賑わいを見せたものの、時代の変化とともに経営難や建物の老朽化が進み、惜しまれながら平成26年に幕を閉じることとなりました。
人との繋がりが大須演芸場を復活させる

大須演芸場の復活を願い続けた大家の想いは、同級生であった弁護士を介して後輩の矢崎弁護士へと届きました。そこから白羽の矢が立ったのが、弟であり現在支配人を務める矢崎さんでした。「大須演芸場の運営を任せてほしい」という相談が舞い込んだのです。家族を抱える身として矢崎さんは当初難しいと考えていましたが、幼い頃の記憶が心を揺さぶります。東京の寄席の2階にあった父の会社に通い、その独特の空気に親しんでいたことが思い出されたのです。さらに兄の熱意に背中を押され、矢崎さんは大須演芸場の支配人を引き受ける決意を固めました。とはいえ、商売としての運営は厳しく、一般社団法人としてボランティア運営を開始。資金調達を模索する中、矢崎さんの兄が名古屋青年会議所時代の仲間に声をかけると、次々と賛同者が現れました。その光景を目の当たりにした矢崎さんは、「東京では見られなかった、名古屋の人のつながりの強さを感じた」と当時を振り返ります。現在、「大須演芸場」に掲げられた提灯には、支援を寄せたスポンサーの名が並びます。大須商店街の協力も、復活を後押ししました。「多くの人との縁が奇跡を生んだ」と語る矢崎さん。「大須演芸場」は今年、10周年を迎えます。支え合いの力が、今もその灯をともしています。
同じ舞台は二度とない今この瞬間に生まれる笑いを楽しむ

寄席の魅力は、何といっても即興の芸にあります。その日の客席の雰囲気を見ながら演目を決め、最後に登場する「大トリ」に向け、各演者が巧みに流れを作っていきます。そのため、出演者・観客・芸の掛け合わせにより、二度と同じ舞台は生まれません。さらに、公演中の録画や記録は一切なく、その場に居合わせた人だけが味わえる、一度きりの特別な空間が広がります。また、クローズドな場だからこそ飛び出すブラックジョークや自由なやりとりも、SNS社会の今では、むしろ貴重なものとなっています。若い世代にとって伝統芸能に触れる機会は少ないかもしれませんが、年齢を重ねると派手なエンタメよりも、こうした舞台の味わい深さが心にしみるようになる。「今が一番楽しく寄席を味わえています」と矢崎さんは語ります。
心の豊かさを育む場所を後世にも繋げていきたい

文化や芸術は、人の心を豊かにするといわれます。「一度でもこうした場に足を運び、体験することが、子どもの教育にも良い影響を与えるとわかっています(言われています)」と矢崎さんは語ります。現在、大須演芸場は学校教育の一環としても活用され、伝統芸能を次世代へ伝える役割を担っています。本来、寄席は毎日開かれるものですが、運営を維持するため、大須演芸場では毎月1日から7日のみ開催し、残りの日程は貸し会場として活用しています。

「寄席をやめてしまえば、ただの箱になってしまう。今は月に7日間だけですが、いつか毎日開催できたら」と、矢崎さん。「大須演芸場」は多くの人の支えによって成り立っています。ここではお客さんとの生のやりとりからも笑いが生まれ、積み重ねられた芸の奥深さを感じることができます。矢崎さんは願います。「地元の芸人が増え、応援してくれる人も増えたら」「大須演芸場」は、今日も芸人たちに舞台を提供し、心の豊かさと笑いを未来へつなげています。

大須演芸場
住所:〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須2丁目19−39
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。
まとめ
いかがでしたか?
大須エリアでは、落語や漫才、講談などの伝統演芸から、その他老舗や多国籍グルメまで楽しめます。名古屋にお越しの際は、ぜひ文化と食を満喫してみてください。
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