最北端の温泉郷!北海道・豊富町で極上の油風呂体験。おすすめスポット&宿をご紹介
食べ物が豊富に集まる町として命名された北海道の「豊富町」。この地にある豊富温泉では、全国でも珍しい石油や天然ガスが含まれた「油風呂」の入浴が楽しめます。本記事では豊富温泉の効能や魅力、周辺のおすすめ観光スポットや宿情報を詳しくご紹介します。
豊富温泉とは

1926年に拓かれた豊富温泉。世界でも珍しく、石油や天然ガスを含んだ「油風呂」として知られています。
豊富温泉には、含よう素-ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性高張性温泉)と、含よう素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(弱アルカリ性高張性冷鉱泉)の2種類の泉質があります。どちらの温泉にも石油や天然ガスが含まれており、豊富町内の温泉施設で入浴が可能です。

豊富温泉は身体に浸透しやすい泉質で、温泉成分に多く含まれる重曹やホウ素は皮膚をキレイにする効果が高いと言われます。そのため美肌や保湿効果、さらに乾燥やアトピー性皮膚炎にも効果があるのだとか。
1992年には「国民温泉保養地」にも指定され、豊富温泉の効能を求めて湯治をする人が全国から訪れました。
また、豊富温泉では、湯治をする際のポイントとして「ミライノトウジ」というキャッチコピーを掲げています。これは湯治をする上で、より効果を実感するために「睡眠」「運動」「こころの栄養」「食事」という4つのポイントを推奨するというもの。豊富温泉での湯治や観光をより深く楽しむには、この4つのポイントをチェックしておくと良いでしょう。
豊富温泉で出会える5つのおすすめスポット

人口よりも乳牛の数が上回るほど酪農が盛んな豊富町。豊かな自然とのんびり流れる空気感は、ゆっくり観光をしたい方や、さまざまな温泉地を巡ってきた温泉マニアにとっても、唯一無二の体験ができること間違いなしです。
そんな豊富温泉で体験できる温泉や、グルメスポットを5つご紹介します。
北の大地の恵みを堪能できる「ふれあいセンター」

豊富温泉郷の中心部にある「ふれあいセンター」。10:00から21:00(最終受付:20:30)まで営業しており、地元住民の憩いの場としても親しまれています。
ふれあいセンターでは豊富温泉の入浴が楽しめます。入館証1枚で1日2回の入浴が可能です。

受付でスタンプを押してもらえば、自由に施設の出入りもできるため、朝風呂をしてから観光後にもう一度立ち寄ることもできますよ。
ふれあいセンターには、温度の異なる2種類の浴場があります。1つは「湯治湯」と呼ばれる38〜39度ほどの低温の温泉です。

元々湯治場として栄えた豊富温泉の名残で、ぬるめのお湯に時間をかけて入浴したい方向けです。毎朝加温し、男湯には温泉原油を足しています。

原油を温泉全体に行き渡らせるため、ロープで括りながら少しずつ調整をするのだとか。焦げ茶色の原油をムラなくお湯に溶け込ませるアイディアです。

温泉からは心が落ち着く原油の香りが漂い、ぬるめのお湯でじんわりと身体も温まります。体温に近い温度のため、お湯と身体が一体になったような心地よさが感じられました。

もう一つの温泉は「湯治湯」よりも熱めのお湯に入れる「一般浴場」。湯治湯よりも広い一般浴場は、初めて訪れる方にピッタリです。洗い場も広々としており、窓から入ってくる自然光と共に開放的な気分で入浴できます。
一般浴場は原油の量が少なめなので、クセのないお湯に入りたい方や、初めて豊富温泉に入浴する方におすすめです。
日帰り入浴は大人510円、子ども250円。リーズナブルな価格で豊富温泉を堪能できます。
温泉をたっぷり満喫したら、ふれあいセンター内の食堂「味彩」でお腹を満たすのもお忘れなく。

食券を購入する食堂スタイルの「味彩」では、出来立ての蕎麦やラーメン、豚丼などがいただけます。

中でも人気のメニューが、ボリューム満点のジンギスカン。1人分から注文でき、自分のタイミングでお肉や野菜を焼いて楽しみます。

お皿にこんもり盛られたジンギスカンは、臭みやスジが一切無く、食べやすさ満点!お肉の旨みを格上げしてくれる特製ダレと共に食べれば、ご飯が足りなくなるほど箸が進んでしまいますよ。

北の大地の恵みを温泉と食から享受できるとっておきの立ち寄りスポットです。
3種類の温度の温泉が楽しめる「ホテル豊富」

豊富温泉をたっぷり堪能したい方は、日帰りでサウナまで楽しめる「ホテル豊富」がおすすめです。源泉温度が低い豊富温泉では、天然のサウナ用水風呂として豊富温泉を使用しています。
サウナ室は4〜5人ほどが入れるこぢんまりした造りですが、天然の冷水・温泉に浸かれるプレミア感が味わえます。

大浴場は独特な半円の形をしており、ガラス窓からは太陽光がたっぷり差し込みます。浴場には「温泉」「真水沸かし湯」「サウナ用冷水」の3種の温泉が貯められ、それぞれ温度の違いが楽しめますよ。

「真水沸かし湯」は、身体を温めるのにピッタリな温度。ほのかにとろみを感じる優しいお湯は、何度も身体へ掛け湯をしたくなるほど気持ちの良い質感。数分入っているだけで、肌が保湿され、身体の保温が実感できます。
さらに温泉気分を高めてくれるのが、原油の爽やかな香り。檜のような自然の香りのおかげで、心身ともにリラックスできること間違いなし。

日帰り入浴は11:00〜20:00まで営業しており、19:30が最終受付です。大人600円、小人300円で入浴できます。
早朝・夜間の日帰り入浴ができる「ニュー温泉閣ホテル」

豊富温泉のメインストリートにある「ニュー温泉閣ホテル」。ここでは、早朝・夜間にも温泉を楽しむことができます。
日帰り入浴の営業時間は7:00〜8:30および13:00〜21:00。宿泊はもちろん、日帰りで早朝風呂を楽しんだり、アクティビティや観光帰りにも気軽に立ち寄ることができます。

ホテルのフロントは、昭和に戻ったかのような懐かしい雰囲気。豊富の名産が並んだ売店を横目に受付を済ませ、いよいよ入浴タイムです。

内湯は毎日入りやすい温度に加温されており、贅沢な源泉掛け流し。もわんとした蒸気と、原油の香りを楽しみながら、ゆっくりと入浴できる落ち着く空間です。

茶色や黄色に濁ったお湯の中に浮く湯の花を眺めながら、極上のリラックスタイムが過ごせました。
原油や天然ガスが含まれた特別な泉質は、肌への浸透率が高く、肌悩みを抱える人には嬉しい効果がたくさん。じっくり入浴すれば、豊富温泉ならではの保湿や保温効果も実感できるでしょう。
牛たちの日常をまったり眺められる「大規模草地牧場」

稚内空港から車で30分ほどの場所にあるここは、総面積1500haと国内有数の規模を誇る大規模草地牧場です。
東京ドーム320個分の草地には、1,000頭以上の牛が放牧されており、誰でも自由に牛たちを観察したり写真を撮ったりすることができます。

どこまでも続く丘陵地帯は、ただ眺めているだけで気分が晴れるほどの壮大なロケーション。そんな中でのんびり過ごす牛たちの姿は、牧歌的な楽しみを感じさせてくれます。

気の向くままにドライブし、車窓から牛たちのほのぼのした様子を楽しむこともできますよ。天気の良い早朝や、歩きやすい日中であれば、牧場の管理棟に車を停めて散歩をしてみても良いでしょう。
季節の花々に囲まれた散策が楽しい「サロベツ湿原センター」

豊富温泉の中心地から車で15分ほどの距離にあるのが「サロベツ湿原センター」。20,000〜24,000haほどあると言われる「サロベツ原野」の玄関口にある案内施設です。

施設内には湿原ができるまでの地史、野生動物の生態などが学べるミュージアムもあり、大人も子どもも夢中になれる工夫が盛りだくさんです。

「サロベツ湿原センター」からは、1周800m〜1kmの木道が伸びており、誰でも無料で自由に湿原を散策できます。
広大な湿原に木道を巡らせているため、少し下を覗くと、そこにはミズゴケや水に浮かんで育つスイレン科の草花がたくさん観察できます。

おすすめの時期は、豊富町の花にもなっている「エゾカンゾウ」が見頃を迎える6月下旬〜7月上旬。湿原一体に広がる鮮やかな黄色の花は、青空とともに目に焼き付けたい絶景です。

天気が良ければ、海を挟んだ利尻山とのコラボレーションも楽しめるかもしれません。
木道では飲食や喫煙、ペットの連れ込みなどは禁止ですが、写真を撮ったり、ベンチでゆっくり時間を過ごしたりと、思い思いの過ごし方ができますよ。

また、サロベツ湿原センターの隣にある「レストハウス サロベツ」では、豊富町のお土産を購入したり、出来立てのホットスナックが食べられたりと、休憩にうってつけ。

人気のあげいもは、小腹が空いた時の軽食やドライブのお供にぴったりです。
雄大な地の絶景と季節の草花で、心身を休めたい時にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
ワンランク上の湯治が楽しめる。こころも体も満たす「川島旅館」

今回豊富温泉郷で宿泊をしたのは、この地で最も古い歴史を持つ「川島旅館」。温泉が発見された1年後の1927年にオープンし、2016年の全面リニューアルを経て、現在の形になっています。

ウッドスタイルの宿は、おひとり様はもちろん、お子様連れや親子旅など、老若男女が集いやすいアットホームな雰囲気。フロントにはオリジナル商品のスコーンや湯上がりプリン、フレーバーバターも並びます。
川島旅館のお風呂では、豊富温泉で唯一の露天風呂が楽しめるんです。

首元までじっくりお湯に浸かれば、冬場でもポカポカ温かいまま、露天風呂が満喫できますよ。
露天風呂は時間によって貸切にすることも可能。また、館内のデラックスルームに宿泊すれば、直接お部屋から貸切露天風呂に入浴することも可能です。

旅で疲れた身体をほぐしてくれる香りと、なめらかなお湯、そして石造りの落ち着く空間がそろい、思わず顔がほころぶような居心地の良いお風呂でした。

今回宿泊したのはシングルルーム。天然木の良い香りが漂う心地よい雰囲気に、部屋に足を踏み入れた瞬間から胸が高鳴ります。

トイレ、洗面所は共用で、1Fと2Fにそれぞれ1箇所ずつ完備されていました。

お待ちかねの夕食は、食堂にてコース形式でいただきます。

コースは、良質なバターがたっぷり食べられる「バターづくしプラン」や、北海道の恵みを詰め込んだ「板長おまかせプラン」、ボリューム満点の「ビジネスプラン」から、予約時にセレクトできます。
今回は、訪れるたびにメニューが変わる「ビジネスプラン」の夕食をいただきました。

この日のメニューは、アブラガレイとハマチのお造り・フグの唐揚げ・ローストチキンなど、合計8品。

とろける脂が絶品のハマチや、カリッとした衣とふわっとした身のコントラストが楽しいフグの唐揚げなどが次々にテーブルを彩ります。

ツヤツヤの炊き立てご飯が進む逸品ばかりが登場し、豊かな大地の恵みをお腹いっぱい楽しめました。

食後のデザートは、川島旅館特製の「湯上がりプリン」。滑らかな舌触りと濃厚な味わいで、最後まで大満足で堪能できました。

朝食メニューはバイキング形式で、漬物やきんぴら、和え物などが色とりどりの和食器に盛り付けられています。

白米とお味噌汁で和朝食にするのも良いですが、せっかく川島旅館に宿泊するなら、ぜひオリジナルの「フレーバーバター」を味わってみてはいかがでしょうか。

フレーバーバターとは、塩気のあるバターに蜂蜜やシャケ、トリュフなどのフレーバーを混ぜ込んだ至福のバター。パンだけでなく、ふりかけや漬物のように白米と食べるのも相性抜群です。
お気に入りのフレーバーが見つかれば、お土産用に購入したり、配送することもできますよ。

食べ物が豊富に集まる豊富町で、こだわりの「食事」を楽しむ。アットホームな宿で充分な「こころの栄養」を得て、「睡眠」をとる。そして石造りのシックな温泉で「湯治」をする。

満足度の高い湯治、心と身体のエネルギーチャージがしたい方にぴったりの宿が「川島旅館」です。ワンランク上の温泉旅行を計画している方は、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
豊富温泉へのアクセス
豊富温泉郷への移動は、レンタカーを利用する方法と、公共交通機関を利用する方法の2種類があります。
季節や観光の目的、人数によってもアクセスの良し悪しが変わるため、詳しくご紹介します。
レンタカー利用
レンタカーを利用する場合、まずは稚内空港まで移動するのがベスト。稚内空港付近には複数のレンタカーショップがあるため、お好みの店を予約しておきましょう。
稚内空港から豊富温泉までは、車でおよそ40分ほど。ただし毎年11月〜4月ごろまでは積雪があるため、雪道の運転に慣れていない方は注意が必要です。
レンタカーは時間の縛りがなく自由に観光をしたい方や、大人数で移動する方におすすめです。
公共交通機関での移動
公共交通機関を利用する場合、稚内空港と新千歳空港のどちらからでもアクセス可能です。
稚内空港から出発する場合、空港バスを利用し、30分ほどでJR稚内駅までアクセスします。
その後JRを利用し、45分ほどで豊富駅まで移動。最後にJR豊富駅から乗車できる沿岸バスで10分移動すれば、豊富温泉に到着します。乗り継ぎ次第ですが、所要時間は1時間半ほどです。
新千歳空港からアクセスする場合は、JRを利用して札幌駅へ移動しましょう。札幌駅からは直通の「沿岸バス特急 はぼろ号」に乗車すれば5時間ほどで到着します。
または、JR宗谷本線でJR豊富駅までアクセスし、沿岸バスに乗り換えれば、豊富温泉まで移動できますよ。
公共交通機関の利用は、豊富温泉での連泊や湯治での長期間滞在を考えている方におすすめの移動手段です。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。