初めて高尾山へ訪れる人へ。登山を楽しむために事前に知っておきたい5つのこと
世界有数の登山者数を誇る高尾山。都市のすぐそばと思えない深い自然に包まれ、山中の薬王院では今も僧侶達が日夜修行に励む、自然と祈りが重なり合う特別な場所です。そんな高尾山を楽しむために、知っておきたい5つのことお届けします。
高尾山が抱く、深い魅力を満喫するために
東京の都心から電車で西へ約1時間。東京都八王子市に位置する高尾山は、都市のすぐそばとは思えないほど、豊かな自然に包まれた山です。そして、年間約300万もの人々が訪れる、世界でも有数の登山者数を誇る山でもあります。
はじめて高尾山口駅に降り立ったとき、「ここは本当に東京なのか?」と、きっと多くの人が驚くはず。
高尾山は、豊かな自然だけでなく、薬王院を中心とした“祈りの山”としての歴史も持っています。今も御護摩修行や修験の文化が残り、自然と信仰が同じ場所で息づいている——それがこの山の特別さです。
この記事では、音声ガイド「高尾山」とともに、高尾山の本質に触れるような5つの体験をご紹介します。この山がなぜ今も変わらない姿を保ち続けているのか、その理由を歩きながら紐解いていきます。
音声ガイドアプリ「ON THE TRIP」とは?
音声ガイドアプリ「ONTHE TRIP」は、「あらゆる旅先を博物館化する」をテーマに、神社やお寺などの文化財、絶景や温泉地、芸術祭。さらには禅や寿司などのカルチャーまで。様々な旅先で気になったことをその場で深めるトラベルガイドアプリです。

オーディオガイドの使い方は簡単。ダウンロードしたON THE TRIPアプリを立ち上げて、スポットガイドを選択します。
その場で自分が気になったスポットを選んで再生すると、音声とテキスト、写真付きで目の前の景色についての歴史や背景などを教えてくれます。
※ガイドの再生は、GPS対応の自動再生タイプと手動再生する2つのタイプがあります。
①日本一の急勾配・ケーブルカー|登山の始まりはここから

高尾山のはじまりといえば、ケーブルカーをイメージする人も多いでしょう。最大傾斜31度18分、日本一の急勾配を駆け上がるこの車両は、まるで小さなアトラクション。大人も子供も楽しめる、高尾山の名物です。開放感たっぷりに高尾山を身近に感じられるリフトもあるので、行き帰りで乗り物を分けるのもおすすめです。
ケーブルカーの出発駅・清滝駅が見えてきたら、さっそく音声ガイド「高尾山」を立ち上げて、イヤホンを装着。再生ボタンを押すと、ガイドはこんな風に語り出します。

=============
高尾山は、山全体が「薬王院」というお寺の敷地でもありました。戦国時代、八王子城の城主は、この山を信仰の場とし、薬王院の神様仏様を厚く敬いました。そして「草一本でも刈った者は、首をはねよ」とおふれを出したのです。
このような厳しくも高尾山を尊ぶ考え方は後世に引き継がれ、草も木も守られてきました。その後、明治には皇室が所有する森となり、やがて国定公園に。東京都内にありながら、これほどの自然が残されたのは、そんな歴史があるからなのです。
=============
ガイドを聴きながら周囲を見渡すと、にぎやかな土産物屋の向かい側に、岩場のようなものを発見。近づいてみると、「清滝」と書かれた小さな滝。この駅名自体がかつての人々の信仰に繋がっていると知ると、観光客で溢れる清滝駅が違う表情を見せはじめます。
その後のガイドでは、ケーブルカーが現在の姿になるまでの裏話まで語ってくれます。乗車前に、ぜひガイドの声とともに現地を歩いてくださいね。
②かすみ台展望台|都会の絶景を楽しむ

ケーブルカーを降りたら、かすみ台と呼ばれる展望台へ。かすみ台という名にぴったりな淡く霞んだ見晴らしが美しい展望台です。さっきまでいたビル群が小さく霞んで見えると、どこか別世界に来たような感覚が湧いてきます。景色を満喫したら、音声ガイドを再生します。
=========
(中略)
このあたりには、樹齢200年を超えるブナの木も残されています。今よりずっと寒かった江戸時代に芽吹いたブナは、現代の高尾山ではもう新たには芽吹かないといわれています。ブナの寿命はおよそ300年。あと100年もすれば、高尾山からブナの姿は消えてしまうかもしれません。その葉を食べる昆虫もまた、いずれ姿を消していくことでしょう。そう思うと、足元の小さな命ひとつひとつが、かけがえのない存在に感じられます。
けれど春になれば、また新しい命も芽吹きます。40種類を超えるスミレが咲き誇るのです。
高尾山は、儚さと再生がめぐる、季節の祈りの舞台でもあるのです。
=========
遠いビル群と、目の前に広がる深い自然。まったく異なる2つの景色を並べて眺めながら音声ガイドを聴くと、「高尾山がなぜ、この姿を守ってこられたのか」という理由が腑に落ちます。高尾山に薬王院という祈りの場があったからこそ、守られた自然。その意味を胸に、ここから山頂へと登っていきます。

整備されたハイキングコースは、普段着やスニーカーで歩ける道から、本格的な登山道までさまざま。まずは定番の1号路を進んでみてください。初心者コースといっても、樹齢500年を越える杉に出会える杉並木や、ムササビが暮らす森の気配を感じられる贅沢な道。
そして天気が良い日には、山頂から遠くに富士山の姿が現れます。山々と重なるように見える景色は、高尾山がくれるご褒美のような眺め。山頂には続きの音声ガイドもあるので、どうぞお忘れなく。
高尾山登山コース 1号路
概要:高尾山1号路(表参道コース)は、高尾山で最も利用者が多い定番ルートで、清滝駅から山頂まで道幅が広く整備されています。道の多くが舗装されているため、登山初心者や観光目的の方にも安心して歩けるコースです。
- 全長:3.8km
- コースタイム
ケーブルカー:ケーブルカー「高尾山駅」降車から山頂まで、徒歩約1時間
ケーブルカーに乗車しない場合:上り・約1時間40分 下り・約1時間20分
③薬王院|護摩修行を体験する

山の中腹には、ガイドで語られてきた「薬王院」があります。境内に足を踏み入れると、随所に天狗の姿が現れ、神聖な雰囲気が感じられます。
薬王院の本堂に到着したら、ガイドの再生ボタンをタップ。法螺貝の音が響くと、ガイドからはこんな声が流れてきました。
=========
堂内では、今も一日数回、護摩修行が行われています。護摩とは、火を使った祈りの儀式。火は仏の智慧を象徴し、私たちの煩悩や迷いを焼き尽くし、願いを仏様に届けるものとされています。
=========

タイミングがよければ、本堂の外からでも、護摩修行の音を感じられます。読経、法螺貝、太鼓の響き──扉越しでも、その場の空気がわずかに揺れるような感覚があるはずです。
高尾山には、山全体をめぐる音声ガイドのほかに、「薬王院 護摩修行」を紹介する特別なガイドがあります。
護摩修行のガイドでは、初めて訪れた人がこの時間をどう受け取ればいいか、寄り添うように語ってくれます。作法がわからなくても大丈夫。このガイドが丁寧に護摩修行の情景を音と言葉で伝えてくれます。
もし、胸にあたためている願いがあるのなら、護摩修行に足を運んでみることもおすすめです。境内の「御護摩受付所」で申し込めば当日でも祈祷に参加できます。炎の揺らぎの向こうで、自分の気持ちが浮かび上がり、誓いとなることでしょう。
護摩修行 参加方法情報
- 御護摩料: 3,000円〜
- 護摩修行開始時刻 通年: 9:30、11:00、12:30、14:00、15:30
※時期によって、時間を変更することがあります。
参加方法の流れ
1. 御護摩受付所にて「申込伝票」にご記入下さい。
2. 御護摩料をお納め下さい。お札の引き換え券とお供物をお受け取り下さい。
3. 開始時間の15分位前になりましたら、大本堂の中へお入り下さい。
音声ガイド「髙尾山 薬王院・護摩修行」とは?

高尾山は、古くから霊山として知られ、多くの人の願いや祈りが重ねられてきた場所です。
中腹に佇む薬王院では、仏の智慧を象徴する炎「護摩」によって煩悩を焼き清め、心を整える儀式が今も息づいています。
音声ガイド「髙尾山 薬王院・護摩修行」では、護摩とはどのような祈りなのか、その意味や背景、参加の心構えを事前にわかりやすく紹介しています。
当日の体験をより深めるヒントとして、護摩修行に触れる前にぜひ耳を傾けてみてください。
④精進料理|高尾山の心を味わう

薬王院には、護摩修行だけでなく、もう一つ特別な体験があります。それが、精進料理です。精進料理と聞くと、質素な食事を思い浮かべるかもしれません。けれども、薬王院の精進料理は、その一歩奥にある、高尾山が大切にしてきた想いとともに、身体と心を満たしていく体験。
そんな体験を心から味わえるように、音声ガイド「髙尾山 薬王院・精進料理」では、これまでの歴史や意味、そして味わいの奥にある想いを伝えてくれます。
=======
薬王院で大切にされているのは、「お山の生き物や植物、そして私たち、さらには風雨などの自然現象や山そのものも含め、すべてが仏様である」という考え方です。
=======

そんな考え方があるからこそ、料理には旬の野菜がふんだんに使われています。
動物性の食材に頼らない分、野菜本来の香りや甘みがしっかり感じられ、自然の力強さが響いてきます。
ガイドを聴きながらいただくと、高尾山の恵みがゆっくりと身体に染み込むような、不思議な感覚に包まれます。高尾山を訪れる予定がある場合は、精進料理もぜひ味わってみてくださいね。
※精進料理は、完全予約制のため、余裕を持って予定を立ててみてください。
薬王院・精進料理の詳細・申込方法
食事提供時間:11:00〜14:00
高尾膳 4,400円 天狗膳 3,300円 ※支払方法:現金のみ
申し込み先:大本山髙尾山薬王院 精進料理係
電話番号:042-661-1115(代表) FAX:042-664-1199
電話予約受付時間:9:00〜16:00
※お電話は日本語での対応となります。
・2名様以上から予約受付が可能です。
・小さなお子様には子供膳の提供がございます。
・食物アレルギーはご予約の際にご相談ください。
・12月中旬から2月上旬までの期間、および山内行事等の都合により、ご予約を受けられない日があります。
音声ガイド「髙尾山 薬王院・精進料理」とは?

髙尾山 薬王院で供される精進料理は、単なる食事ではなく、山の信仰や修行文化に根ざした特別な一膳です。
山を登る道中で心身が自然と整っていくように、薬王院でいただく精進料理には、祈りや感謝を静かに見つめ直す時間が待っています。
音声ガイド「髙尾山 薬王院・精進料理」では、精進料理の歴史や意味、いただく際の心構えを分かりやすく紹介しています。
体験への理解を深めることで、「いただく」という行為の奥にある豊かさを、改めて感じてみてはいかがでしょうか。
⑤高尾599ミュージアム|高尾山の楽しみ方を学ぶ

高尾山の地を訪れたら、山に登らなくても寄り道してもらいたいのが、ふもとにある「高尾599ミュージアム」。ここでは、高尾山で出会える植物や生き物、その生き物たちが暮らす高尾山の独特な環境をあらためて知ることができます。併設カフェでは、サイフォン式のコーヒーが提供され、ゆったりと高尾山を学ぶ時間に。
音声ガイドは、このミュージアムについて、このように紹介しています。
========
ここは、ただの展示施設ではありません。
自然の中に足を踏み入れる前に、少しだけ「目のピント」を合わせるような場所です。
========

一本のブナの木を中心に高尾山の動物や鳥のはく製が壁一面に並ぶ展示や、実際の木の実を触りながら学べる体験型の展示など。訪れる人の視線が自然と高尾山の小さな不思議に向くように設計されており、「これは何だろう?」とつい見入ってしまう空間です。
599ミュージアムは、ただ高尾山を学ぶ場所ではなく、純粋な好奇心を与えてくれるような場所。私たちのおすすめは、この場所を訪れてから登山をすること。ここで目と心のピントを合わせてから歩き出すと、山の物語が自然と浮かび上がってくるはずです。
おわりに

5つの体験とともに歩く高尾山は、豊かな自然と祈りの文化が長い時間をかけて重なり合ってきた、奥行きのある山でした。音声ガイドは、その重なりをそっと“開く”小さな鍵のような存在です。ただ景色を眺めるだけでは気づけなかった背景が、耳からの物語によって、すこしずつ浮かび上がる──。
どうかあなた自身のペースで、この山の奥にある物語を感じてみてくださいね。
ON THE TRIPは、お寺や神社、美術館などの文化財や街に息づく物語を、地図上にマッピングされたスポットを巡りながら楽しむオーディオガイドアプリです。 一つ一つのガイドはまるで映画や小説のような心動かす作品となり、ガイドを聴くことで旅先への理解が深まり、旅の体験がふくらむ。 オーディオガイドアプリを活用することで見えてくる、ガイドブックには載っていない日本の魅力と、オーディオガイドだからこそ味わえる新しい旅の仕方をご紹介していきます。