お城・桜・温泉・お祭り! 福島・二本松で「美しい日本」に出会う旅へ
初めて訪れたはずなのに、どこか懐かしさを感じるまち、福島県二本松市。桜の名所として名高い二本松城や、自然に囲まれた温泉地、長い歴史をもつお祭りの数々など、二本松を旅すれば、歴史と自然が調和する「美しい日本」に出会えることでしょう。きっと誰もが心癒される、のどかで優しい二本松の魅力をご紹介します。
福島・二本松で美しい日本の風景に出会う
桜坂 Photo by Pixta
福島県を代表する城下町のひとつ・二本松は歴史あるまちです。西に名峰・安達太良(あだたら)山、東に阿武隈(あぶくま)山地、まちの中央には阿武隈川が流れており、のどかな自然の美しさが息づいています。
市内には、桜や紅葉の名所も多く、四季折々の風情を感じられることでしょう。とくに安達太良山の麓の桜坂や合戦場のしだれ桜は有名です。
Picture courtesy of 福島県二本松市
秋には菊の祭典「二本松の菊人形」をはじめ、数百年の歴史あるお祭りがいくつも開催されます。参加してみると、二本松の人々が受け継いできた伝統や、文化の奥深さがいっそう感じられますよ。
アクティブな旅を楽しむなら安達太良山の登山や、冬のスキーはいかがでしょうか。めいっぱい体を動かしたあとは、山麓の温泉で癒されるのもいいですね!
東京から二本松へのアクセス
東京から二本松へ行くには、新幹線の利用がおすすめです。
まずは東京駅からJR東北新幹線に乗り郡山駅へ。そこからJR東北本線に乗り換え、二本松駅で下車します。所要時間は約2時間、料金は自由席で8,250円です。
車を利用する場合は、東北自動車道浦和ICから二本松ICまで、約3時間の道のりです。
安達太良山で絶景と四季折々の花々を眺める
Photo by Pixta
二本松の西側に連なる安達太良山は、日本百名山のひとつに数えられる美しい山です。
花の百名山にも選ばれており、春から秋にかけてカタクリやレンゲツツジ、リンドウなど季節の花々が次々と見頃を迎えます。10月上旬から中旬にかけては紅葉が見頃を迎え、ブナやミズナラが山肌を赤や黄色に染め上げる絶景が見られます。
Photo by Pixta
標高は約1700メートルありますが、ロープウェイで8合目の薬師岳パノラマパークまで行くことができるので、気軽な高山ハイクも楽しめます。山頂からは抜けるような青空とともに、磐梯(ばんだい)山や蔵王(ざおう)連峰などが見渡せます。
史跡・霞ヶ城公園で満開の桜と紅葉を楽しむ
Photo by Pixta
日本百名城のひとつに数えられている二本松城は、別名・霞ヶ城(かすみがじょう)とも呼ばれています。
初代二本松藩主の丹羽光重公が10年の歳月をかけて築城したといわれる二本松城ですが、現在すでに建物はなく、残された石垣や、再建された箕輪門(みのわもん)や二階櫓(にかいやぐら)などに当時の面影を見ることができます。
Photo by Pixta
城跡は県立霞ヶ城公園として整備されており、春は桜、秋は紅葉の名所として人気です。例年4月上旬から、ソメイヨシノをはじめとする約2,500本の桜が満開を迎え、霞ヶ城の名にふさわしい景観を見ることができます。
10月上旬から11月下旬にかけて、紅葉が見頃です。これにあわせて「紅葉まつり」も開催されています。この時期は「二本松の菊人形」(後述)も開かれ、紅葉と菊を同時に鑑賞できる絶好の機会です。
安達太良山の麓、自然豊かな温泉地に癒される
安達太良山の麓には岳温泉があります。岳温泉は、温泉街にカフェやレストランが立ち並ぶ高原リゾートといった雰囲気。安達太良山の自然が間近に感じられ、旅の疲れを優しく癒やしてくれます。
全国でもめずらしい酸性泉の岳温泉
Picture courtesy of 福島県二本松市
岳温泉の泉質は全国でもめずらしい酸性泉で、殺菌力が高いことから慢性皮膚炎などに効果があるといわれています。また、酸性の成分が肌の角質を溶かすことから、美肌の湯としても評判です。
岳温泉の特徴は、標高約1500メートルの高地から湧き出る源泉を温泉街まで約8キロにわたって引き湯していることです。山肌を伝う湯樋(ゆどい)を約40分かけて流れてくることで、一般的に刺激が強いといわれる酸性泉が湯もみされ、肌に優しい湯になるのだそうです。
夏は週に1回、冬は2週間に1回程度、湯樋に溜まった湯の花(温泉の成分が沈殿したもの)を流す、湯花流し(ゆばなながし)が行われます。ミルキーデイとも呼ばれていて、運よくこの日に訪れたら、湯花でミルクのように白濁した湯を楽しめます。
秋は華やかなお祭りが目白押し!
小浜の紋付祭り Picture courtesy of 福島県
二本松の伝統文化にふれるなら、お祭りシーズンの秋がチャンスです。
例年10月から、紋付羽織袴の氏子たちが町を練り歩く「小浜の紋付(もんつき)祭り」や、山車のぶつかり合いが豪快な針通の「あばれ山車」など、歴史ある行事が続きます。
なかでもとくに賑わいを見せるのが、「二本松の提灯祭り」と「二本松の菊人形」です。
二本松の提灯祭り
Photo by Pixta
二本松神社の秋祭りは「二本松の提灯祭り」といわれ、360年以上の歴史があります。福島県の重要無形民俗文化財に指定されています。
見どころは、神社の氏子である7つの町内から繰り出される、華やかな太鼓台です。高さ約7メートルの骨組みに300あまりの提灯が下げられ、威勢のよい祭りばやしの演奏とともに曳き廻されます。夜空に鈴なりの提灯がともる様子は、勇壮で迫力満点!
例年、10月の第一土曜日から3日間開催されますが、とくに初日の宵祭りはひときわ大きな盛り上がりを見せます。なぜなら、夜に7台の太鼓台が集結するのはこの宵祭りだけだからです。宵祭りの最後は、二本松駅前にすべての太鼓台が揃います。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、近年は規模を縮小して開催しています。詳細は二本松神社の公式HP(日本語)をご覧ください。
日本最大の菊の祭典、二本松の菊人形
Picture courtesy of 福島県二本松市
1955年からはじまった菊の祭典「二本松の菊人形」は、毎年10月中旬〜11月中旬にかけて、霞ヶ城公園にて開催されます。ちょうど紅葉の見ごろと重なるため、菊と紅葉のふたつを同時に楽しめるのも魅力です。
ちなみに菊人形とは、衣装に菊の花を用いた人形のことで、江戸時代後期からはじまりました。「二本松の菊人形」では毎年テーマに沿って、華やかな人形の数々が披露されます。
Picture courtesy of 福島県
もうひとつ、このお祭りで見逃せないのが千輪咲(せんりんざき)の菊です。千輪咲とは、一本の茎からドーム状に千もの菊を咲かせるもので、職人が長い時間と熟練の技を費やしてつくりあげる芸術品です。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、近年は規模を縮小し「霞ヶ城公園 菊花展」として開催しています。詳細は二本松市観光連盟のHP(日本語)をご覧ください。
素顔の日本に出会う旅へ
合戦場のしだれ桜 Picture courtesy of 福島県二本松市
歴史と伝統が生き生きと息づき、花々が季節の移り変わりを伝えてくれる二本松は、そこにいるだけで心がリフレッシュするような、魅力的なまちです。都会では出会えない日本の美しい風景や伝統文化を、二本松で堪能しましょう!
Written by Kumiko Ishigaki
Main image courtesy of 福島県二本松市
Supported by 福島県二本松市