寿司だけじゃない!宮城県女川町で「かまぼこ」を楽しもう
古くから日本で親しまれてきた水産加工品「かまぼこ」。本記事では、宮川県女川町にあるかまぼこ作りの老舗「髙政」や、女川町の観光施設「シーパルピア女川」「地元市場ハマテラス」のグルメ、近くにある人気観光スポット・金華山などを紹介します。
ユニークな日本の水産加工品・かまぼこ
日本の魚料理といえば、鮮魚を使う寿司や刺身、海鮮丼が有名です。しかし、日本には、水産加工品にも多彩なバリエーションがあります。
そのひとつが、魚のすり身を加工した練り物・かまぼこ。12世紀にすでに作られていたと考えられている、伝統的な食品です。
かまぼこには、蒸す・揚げる・焼くなど、さまざまな加工方法があります。さらに現代では、すり身にチーズやゴボウなどを練り込んだ商品も人気です。
今回は、こうしたかまぼこの名産地のひとつ・宮城県の女川町を訪れました。
おいしい水産物が楽しめる宮城県女川町とは?
宮城県女川町は、JR仙台駅から電車で90分、牡鹿半島の先端にある港町。
親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかる世界三大漁場のひとつ、三陸・金華山沖に面しており、ウニやイクラ、サンマなどの好漁場として、古くから知られてきました。
女川町は、2011年の東日本大震災で特に大きな被害を受けた地域のひとつです。しかし、海とともに生きてきた町として、ユニークな形の復興を進めてきました。
震災後、被災地の多くには高い防潮堤が建てられ、海が見えなくなってしまいました。一方で、女川町は、「すべての家から、海の見えるまちづくりをめざそう」という掛け声のもと、町の区画を工夫し、住民の安全を守りながら、美しい女川湾の景観も守ったのです。
今回は、そんな女川町の人々と共に歩み続けてきた水産加工会社「髙政」を訪問。食通から高く評価されている、そのかまぼこについて伺いました。
女川町で活躍するかまぼこメーカー「髙政」
髙政の創業は1937年。創業者であるである髙橋政助(たかはし まさすけ)さんが、背中に鮮魚を背負って行商に行ったのが始まりです。
1945年からは鮮魚の加工をスタートさせ、カツオ節やわかめの塩蔵、魚のすり身などを製造。さらに、現会長である高橋正典(たかはし まさのり)さんが社長を継いでからは、本格的にかまぼこを進めてきました。
高橋正典さん。現在は取締役会長となっている
かまぼこの原料となる魚のすり身は、使う魚種や水分量などによって、練りあがりが異なります。
「それでも同じ味・食感のかまぼこを作り続けられるのは、ひとえに職人の努力と技術の結晶」だと、高橋正典さんは語ります。
「もっと強めにすり潰してほしいのか、塩がほしいのか、水がほしいのか、全て魚肉が語りかけてくる。ようは技術屋なんですよ」
髙政の職人たちは、実際にすり上げた魚肉に触り、手に伝わる感触から加工の方法を調整していると言います。
おいしいかまぼこを作るため、髙政では、「水晒し」の回数を少なくする工夫をしています。
「水晒し」とは、魚のすり身を白くする加工法です。商品の見た目が美しくなるため、多くのメーカーが活用していますが、「水晒し」はすればするほど魚の旨みが逃げてしまいます。
その一方で、髙政では、水の量と「水晒し」の回数を減らす独自技術を開発。魚の旨みと栄養素たっぷりのかまぼこを作ることに成功しました。
さらに髙政のかまぼこには、余分な塩分や保存料が入っておらず、新鮮でもっちりとした食感を生み出しています。
こうした髙政のかまぼこは高く評価されています。例えば、商品のひとつ「御膳蒲鉾かき」は、優れた農業・水産業の事業者を表彰する「農林水産祭天皇杯」(2017年度)を授与されました。
噛むほど魚の旨みがあふれる「髙政のかまぼこ」
髙政では、かまぼこ「吉次(きちじ)」や「石持(いしもち)」、風味豊かに揚げた「揚げかまぼこ」などが特に人気です。
「吉次」は、三陸沖で獲れる上品な味わいのキンキを使い、控えめに焼き目をつけます。その一方で、「石持」は、しっかりと焼き目をつけており、焼き魚のような香ばしさが特徴です。
このように、商品ごとに特色があるため、食べ比べるごとに髙政のかまぼこの奥深い魅力を堪能できるでしょう。
また、髙政の本店となる女川町の「万石の里」では、かまぼこを炙り、その場でアツアツのかまぼこを食べる体験ができます。
食べごろは、かまぼこの両面にほんのりと焼き目がついてきたタイミング。
そのまま口に入れると、焼いてない通常のかまぼこよりももっちり度が増していて、びっくり! 弾力のあるかまぼこは焼き魚のように香ばしく、口の中に旨みがじんわりと広がります。
このほか、髙政では、チーズが入ったかまぼこ「蔵王」や、おつまみ感覚で食べられる「淡雪チーズブラックペッパー入り」など、多彩な商品を販売しています。
吉次:63グラム税込206円
石持:63グラム税込184円
オンラインや東京でも購入可能!
髙政は、「女川本店 万石の里」をはじめ、宮城県内で7つの店舗を展開しています。また、オンラインでも商品を購入可能です。
さらに、髙政の商品は東京でも入手できます! 池袋にある宮城県のアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」で販売されているので、髙政のかまぼこを味わってみたい方は、ぜひ訪れてみてください。
グルメもおみやげも!アクセス便利な駅前の「シーパルピア女川」
せっかく女川町に来たなら、ここならではのグルメや観光を楽しみたいもの。女川町では、JR石巻線の終着駅・女川駅の周辺に商業施設や飲食店が集まっており、アクセスがとても便利です。
女川駅に着くと、すぐ目に入るのは、美しい駅舎の建物。女川町のシンボルである鳥・ウミネコが羽ばたくイメージで作られた真っ白な屋根と、開放感のある空間づくりが印象的です。
駅舎の2Fには、天然温泉「女川温泉ゆぽっぽ」が入っており、温かな自然光の中で、ゆったりとリラックスできます。無料で入れる足湯もあるため、電車を待つまでの間に休憩するのにもぴったりです。
女川駅から海に向かって歩いていくと見えてくるのが、商店街「シーパルピア女川」と「地元市場ハマテラス」です。
駅から海へとのびる遊歩道沿いに30ほどの飲食店やおみやげ店が連なっていますが、今回は、その中でも「女川バーガー」と「お魚いちば おかせい女川本店」を訪れました。
2022年12月にオープンした「女川バーガー」は、女川で獲れたサーモンをフライにしたフィッシュバーガーで知られています。
特製タルタルソースと肉厚でジューシーなサーモンフライは、一度食べればやみつきになってしまいそうなおいしさ。タルタルソースに酸味があるため、あっさりと食べられますよ。
その一方で、「お魚いちば おかせい女川本店」では、女川で獲れた魚を使用した「特選女川丼」がいただけます。
どんぶりの魚はその日に獲れた魚種によるため、基本的には日替わりですが、クジラ、トロ、ウニ、イクラはほぼ毎日入っているそうです。
特に味わっていただきたいのは、ウニ。苦さはほとんどなく、口の中に入れると醤油の風味とともに溶けていくような食感は、一度味わったら忘れられません。
ほかにも女川駅周辺には、髙政のかまぼこ販売店や、物産コーナーが併設された「女川水産業体験館 あがいんステーション」など、見どころが満載。
もちろん駐車場もあるため、車でも訪れやすいスポットです。
人気パワースポット・金華山も!
「東北・宮城県の霊島「金華山黄金山神社」へ。神秘的なパワーをもらう1泊2日の旅」より
女川駅から歩いて10分の桟橋からは、「東奥の三大霊場」と呼ばれる島・金華山へのフェリーが出航しています。
金華山の名物は「3年連続でお参りに行くと、一生お金に困らない」という言い伝えがある金華山黄金山(きんかさんこがねやま)神社。日本で初めての金が、宮城県で産出されたことを祝して建造されました。
「東北・宮城県の霊島「金華山黄金山神社」へ。神秘的なパワーをもらう1泊2日の旅」より
島にはあちこちにパワースポットがあるほか、野生のシカも多く生息しています。
また、金華山からさらに太平洋側に進むと、そこは世界三大漁場のひとつ・三陸・金華山沖です。ブランド魚「金華サバ」をはじめとして、金華山周辺では多彩な海の幸が水揚げされています。
海の恵みに溢れた女川町、そして金華山周辺は、グルメや見どころがぎゅっと凝縮されたスポット。獲れたて新鮮な海の恵み、名物のかまぼこ、そして観光をぜひ楽しんでくださいね。
Written by nagino.an
In cooperation with 髙政
Sponsored by Reconstruction fishery processing industry market recovery promotion center