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【哲学堂公園】古建築物を訪ねて、プチトリップ気分。
東洋大学創始者の井上円了が創設した「哲学堂公園」を紹介します。 哲理門から哲学の世界へ。六賢台からのパノラマは壮観。
はじめまして、「ねむねこ」です。2024年度からナカノ観光レポーターになりました。これからよろしくお願いします。今回は、哲学堂公園を紹介します。東洋大学創設者の井上円了が、哲学を一般の人にも広めるために作った公園。古建築物(四聖堂、六賢台、絶対城、宇宙館、無尽蔵)の内部は、毎月第1日曜日の公開です。貴重な機会なので、公開日に合わせて行ってきました。
まずは駐輪場探しから
中野駅から自転車で中野通りを北上し、約10分で弓道場近くの入口に到着。園内は自転車通り抜け禁止なので、自転車を押して歩きます。ちなみに新青梅街道沿いの駐輪スペースは、弓道場利用者専用です。
青紫や淡い色のアジサイが綺麗に咲いていて、ほっこり。左側は野球場です。
道なりに進むと開けた場所へ。テニスコート周辺のスペースに自転車を停めることができました。土を踏みしめると、「公園に来た」ことを実感。身軽になったところで、古建築物を見に行きます。
<哲理門>入口からユニーク!哲学の世界への入口
こちらの「哲理門」を通ります。名前はクールなのですが、なんだか怪しい雰囲気。門なのに、両側の柱は柵状になっています。恐る恐る左の柱に近づいてみると…
「妖怪門」「幽霊」の文字が。しかも、柵の中に何かが見える。覗いてみると…。
なんとも古風な幽霊。浅草花やしきのお化け屋敷を思い出します。
右の柱の中には、天狗が。
ガイドマップによると、「物質の世界、精神の世界には根底に『理外の理』という不思議なことがあり、物質の世界の不思議を天狗に、精神の世界の不思議を幽霊で表したもの」とのこと。言葉だけだと難しいので、木像にして視覚で伝えようとする工夫から、哲学の普及に生涯をささげた井上円了のパッションが感じられます。
瓦には哲学の「哲」が彫られていて、とても凝った造り。古建築物の一つ、「無尽蔵」の室内でこの瓦を間近に見ることができます。
門をくぐると、「時空岡(じくうこう)」という広場に出ます。周りを取り囲むように並ぶ古建築物。今回は、イチオシ3つを紹介します。
<六賢台(ろっけんだい)>哲学堂公園のシンボル
ひときわ目を引く赤い、「六賢台(ろっけんだい)」。三層六角形の建物で、東洋の六賢人*を祀っています。(*聖徳太子、菅原道真、荘子、朱子、龍樹、迦比羅仙)
天狗の瓦がチャームポイント。普段は扉が閉まっていますが、公開日は中に入ることができます。
階段は急なので、気をつけて上りましょう。
二層目では、井上円了の収集物を写真で紹介。実物は、中野区立歴史民俗資料館に保管されています。
三層目は、ガラス越しから時空岡が見下ろせます。六方向からのパノラマにワクワク。
長くなってしまったので、続きは後編でご紹介します。
<四聖堂(しせいどう)>お釈迦さまを祀った建物
最初に建立された古建築物「四聖堂(しせいどう)」。公開日は、釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)を見ることができます。
寝ている像って、珍しいですね。実は毎年決まった位置があり、東洋大学の方が調整しているそうです。
公開日でも階段を上がったところまでで中に入ることはできませんが、今回は取材のため特別に畳に上がらせてもらいました。
横顔のアップ。立派な福耳が印象的です。
独特な手の組み方。
天井には、井上円了が影響を受けた哲学者四人の名が書かれています(孔子、釈迦、ソクラテス、カント)。
心を表す赤色の球灯。ハート柄がとってもキュート!
<絶対城(ぜったいじょう)>最推し!読書が真理に導く
「木の下に幽霊が出る」と騒がれたことから名づけられた「幽霊梅」。井上円了が駒込の自宅から移植した梅の木で、現在は3代目なのだとか。梅の重さでしなった枝が、まさに幽霊のような心もとなさを感じます。
この幽霊梅を右に曲がったところにあるのが、「絶対城」です。
中を覗いてみると…
読書堂と書かれた入口の向こうには、本好きであればワクワクするような光景が。
木製の棚に井上円了に関する本などが並んでいます。よく見ると、横に倒れている本も。昔の本棚なので縦に入らない本も多く、あえて横にしているとのこと。図書館から不要になった本が寄贈されているそうです。本棚の横にパイプ椅子があるので、ここで本を読むことができます。
児童書もありました。お子さんも楽しめますね。
2階からの風景。1階の奥に、四聖の一人、孔子像が鎮座。公開日に合わせて展示コーナーやコンサート会場になることも。「あらゆる書物を読み尽くせば、物事の真理を理解できるようになる」という道理に基づき建てられた絶対城。多くのことを知るためには、今も昔も、読書が大切ですね。
公開日はスタッフ常駐で安心
古建築物の一般公開は自由見学ですが、事前に哲学堂公園管理事務所に申し込むと、ガイドの方に案内していただけます。(現在ガイドツアーは研修中のガイドとなるため、1時間の短縮版で行っています)この日は、宇宙館の前にスタッフの方がいて、困りごとがあっても安心でした。
中野区で一番大きな公園、哲学堂公園。他にも、唯心庭の水辺や、哲学の庭の彫像など魅力がいっぱいです。公式インスタグラムでは、季節の花やイベント情報も。みなさんも、ぜひ訪れてみてください。
哲学堂公園
所在地:東京都中野区松が丘1丁目34-28
アクセス:西武新宿線「新井薬師前駅」から徒歩12分
都営大江戸線「落合南長崎駅」から徒歩13分
電話:03-3951-2515
休園日:年末(12月29日から31日)
中野区は、東京都23区の西部に位置しています。サブカルチャーの「聖地」と呼ばれる「中野ブロードウェイ」が特に有名ですが、それ以外にも歴史ある神社・仏閣やグルメなど、多くの観光資源を有しています。 中野駅周辺で「100年に1度」とも言われる再開発が進み、まちの移り変わりが進む一方、昔ながらの人情味あふれる商店街が賑わっているなど、中野のまちは多様な面を持っています。そんなまちの多様性が、約1.7万人、約120カ国の人が住むというまちの特徴にもつながっています。