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オーバーツーリズムの対策 | 観光客急増で起こる問題や解決策、成功事例も紹介
近年、世界中の観光地でオーバーツーリズムが問題となっています。オーバーツーリズムとは、観光客が特定の場所や時期に集中し、地域の受け入れ能力を超えてしまう現象のことです。 オーバーツーリズムの対策を講じないまま観光客を受け入れ続けてしまうと、長期的には観光地としての魅力を失ってしまう恐れがあります。 そこで今回の記事では、オーバーツーリズムとは何かを具体的に解説し、その影響や問題点、そして効果的な対策や成功事例を紹介します。自治体職員や観光協会職員はもちろん、観光業に携わる方々はぜひ参考にしてみてください。
そもそもオーバーツーリズムとは?
オーバーツーリズムとは、観光客が特定の場所や時期に集中し、地域の受け入れ能力を超えてしまう現象です。近年、以下のような要因が重なって、訪日外国人観光客(インバウンド客)が増加しています。
- 格安航空券(LCC)の普及
- Airbnbなどの民泊サービスの登場
- SNSでの観光地情報の拡散
- 円安の影響
観光地が盛り上がることは悪いことではありませんが、受け入れ体制が整っていない観光地も多く、さまざまな課題が生じています。
オーバーツーリズムがもたらす3つの影響・問題
ここでは、オーバーツーリズムがもたらす3つの影響・問題を紹介します。
①資源や文化財などの損壊
一部のマナーの悪い観光客により、貴重な文化財や歴史的建造物が損傷するリスクが高まります。また、自然豊かな観光地では、踏み荒らしによる生態系の乱れも深刻な問題となっています。
②地域住民への悪影響
地域住民への悪影響も、オーバーツーリズムがもたらす問題の一つです。公共交通機関の混雑や騒音の増加、ゴミ問題など、生活環境の悪化が深刻です。
観光業界関係者にとって観光客の増加は喜ばしいことかもしれませんが、一般住民にとっては日常生活の質の低下につながっています。
③観光客の満足度の低下
オーバーツーリズムが悪化すると、観光客の満足度が低下するリスクがあります。混雑や長時間の待ち時間、景観の悪化により、観光地としての魅力が低下してしまうためです。
対策がなされないままオーバーツーリズムが続くと、観光地の評判を落とし、観光発展の妨げとなる可能性があります。またSNSなどでの口コミにより、マイナスイメージが急速に広がる恐れもあるでしょう。
オーバーツーリズムの具体的な解決策
ここでは、オーバーツーリズムの具体的な解決策を紹介します。
観光客数を制限する
観光客数を制限するのは、オーバーツーリズムの代表的な施策です。時間ごとに入場者数に上限を設けたり、事前予約制を導入したりすることで、特定の時間帯に観光客が集中することを防げます。
また、観光地への訪問時間を制限するのも一つの案です。ただし、受け入れ具合を考慮した上で、適切な制限を設定することが重要です。
観光地の分散化を図る
観光地の分散化は、特定のスポットへの過度な集中を避けるのに効果的な方策です。メジャーな観光地だけでなく、周辺の隠れた名所も積極的にPRし、観光地の分散化を図りましょう。
あまり知られていない観光スポットは、メジャーな観光地と比較して観光客が少なく、観光客としても落ち着いて楽しめるメリットがあります。
また、新しい観光ルートを開発するのも有効です。メジャーな観光地を起点に、周辺の隠れた名所を巡るコースを作成し、観光マップやウェブサイトで紹介するのも良いでしょう。
これにより、特定の観光スポットへの集中を緩和し、地域全体での経済効果も期待できます。
観光スポット・施設における料金を見直す
入場料や施設使用料を見直して、観光客の流入を調整することも効果的です。繁忙期と閑散期で料金に差をつけたり、時間帯によって入場料を変動させたりすることで、観光客の来訪時期や時間を分散させることができます。
また、時期に関係なく料金を見直すことも検討しましょう。例えば、エベレストの登山料は170万円(自国民は無料)ですが、富士山の登山料は2,000円とかなり安いです。
料金が安かったり、無料であったりすると観光客が殺到して、オーバーツーリズムの原因になりかねません。とはいえ、高すぎても観光客を遠ざける要因となるため、料金設定には慎重な検討が必要です。
観光マナーの周知に取り組む
一部の観光客のマナーの悪さが目立ちますが、マナーを守るつもりはあれど、知らずに破ってしまう人も見受けられます。
もちろん、事前にマナーやルールを学んでいない観光客にも落ち度はあります。しかしマナー啓発のためにも、受け入れる側がより一層観光マナーの周知に取り組んでいかなければいけません。
多言語での案内や啓発活動を通じて、観光客のマナー向上と地域文化への理解を促しましょう。具体的には以下のような方法が挙げられます。
- 旅行会社やツアーガイドと連携し、お客様への周知を徹底する
- 観光案内所や主要スポットで看板を設置する、チラシを配布する
- SNSやWebサイトでマナー情報を発信する
外国人向けにSNSやWebサイトを活用する
混雑状況のリアルタイム表示や予約システムの導入など、SNSやWebサイトを活用した情報提供も効果的です。多言語で観光情報を発信し、混雑状況のリアルタイム更新や穴場スポットの紹介、マナー啓発などを行います。
観光客とのコミュニケーションを円滑に進めるためには?
観光客と地域住民とのコミュニケーションを円滑に進めることは、オーバーツーリズム対策の重要な要素です。しかし、観光客が増加するなか、多言語に対応するのが難しいケースも考えられます。そんなときは通訳サービスを活用するのがおすすめです。
Oyraaは、スマートフォンアプリを通じて153言語2,700名の通訳者による高品質な通訳サービスを提供しています。必要なときに必要な分だけ利用できるので、外国語対応スタッフを複数人雇うよりも簡単で安価に多言語対応を実現できます。
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さらにID数が無制限なので、スタッフ全員のスマホにOyraaアプリをインストールすることで、同時多発的なコミュニケーションにも対応できます。
オーバーリズム対策の成功事例4選
ここでは、オーバーリズム対策の成功事例を紹介します。
①京都:困りごと・トラブルの未然解決
現在京都市では、多様な多言語に対応するために、通訳アプリ「Oyraa」を活用した実証実験が行われています。この取り組みは、インバウンド観光客の現地での困りごとやトラブルを事前に解消することに加え、持続可能なオーバーツーリズム対策の仕組みづくりを目指すものです。
これまでは観光地の事業者側が多言語対応のコストを負担していました。しかし、Oyraaを利用することで、インバウンド観光客側がサービス利用のコストを負担する形に転換されます。
このコストは通訳者への報酬にもなるため、質の高い通訳サービスの持続的な提供につながるわけです。これにより、観光地の経済的負担を軽減しつつ、多言語対応の持続可能性を高めた対策が実現できるようになります。
他にもWebサイトを活用した混雑状況のリアルタイム配信や、チラシやステッカーをを使った観光マナー啓発活動も積極的に行っています。
②沖縄:入場者数の制限
沖縄県の西表島では、島の環境保護と観光客の安全確保のため、1日の入島者数を1,200名に制限しました。事前予約制を導入し、島の受け入れ可能人数を超えないよう管理しています。
③ベネチア(イタリア):入場料と予約制の導入
イタリアのベネチアでは、日帰り観光客に対して入場料を課す制度を導入しました。混雑が予想される日に5ユーロの入場料を徴収し、観光客の流入を調整しています。
また、主要観光スポットでは事前予約制を導入し、一度に入場できる人数を制限しています。
④バルセロナ(スペイン):建設の禁止
スペインのバルセロナでは、旧市街地における新たなホテルの建設を禁止する条例を施行しました。これは、観光客の増加による地価上昇や地域住民の生活環境の悪化を防ぐための措置です。
また、民泊サービスの規制も強化し、違法な民泊の取り締まりを厳しく行っています。
オーバーツーリズム対策を行った上で観光業を盛り上げましょう
オーバーツーリズム対策は、観光業の健全な発展には欠かせません。地域の受け入れ能力を考慮しつつ、観光客の満足度を高める取り組みが重要です。
地域の魅力を最大限に引き出し、地域と観光客の双方にとって魅力的な観光地づくりを目指していきましょう。
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