隠岐の神秘を辿る 西ノ島の訪れるべき神社とは?
隠岐の島々は古事記にも登場する「神々の島」として知られ、歴史と文化を誇る神社が多数存在します。西ノ島には特に由良比女神社と焼火神社という注目すべき神社があります。由良比女神社はイカ伝説や格式の高い歴史を持ち、春の桜が見どころ。一方、焼火神社は焼火山の中腹にあり、灯台的役割や古い建築物が魅力。どちらも豊かな自然や文化的体験が楽しめる場所です。
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目次
- 神々の島「隠岐」
- 1. イカ伝説の息づく場所「由良比女神社」
- 由良比女神社の歴史と格式
- イカ伝説
- 由良比女神社の見どころ
- 由良比女神社へのアクセス
- 2. 隠岐島最高峰の聖域「焼火山」と「焼火神社」
- 焼火神社の歴史と縁起
- 信仰と灯台の役割
- 焼火山への登山と自然
- 焼火神社例大祭と隠岐島前神楽
- 初参り
- 焼火神社へのアクセス
神々の島「隠岐」
隠岐には、100社以上の神社が存在すると言われ、その歴史と文化はまさに神々の息づく地を物語っています。日本最古の歴史書である古事記にも登場する隠岐は、国生み神話の中で三番目に生まれた島とされています。また、島根県にある名神大社6社のうち4社が隠岐に鎮座していることからも、この地が「神々の島」と呼ばれる所以がうかがえます。
今回は、隠岐の島々の中でも西ノ島に鎮座する2つの神社をご紹介します。
1. イカ伝説の息づく場所「由良比女神社」
西ノ島町浦郷にある由良比女神社は、古来からの伝説と格式を兼ね備えた神社です。神社の主祭神である「由良比女命」とイカにまつわる興味深い伝説が語り継がれています。
由良比女神社の歴史と格式
由良比女神社の創建は9世紀半ばとされており、日本最古の神社リスト「延喜式神名帳」に記載された格式高い名神大社の一つです。平安時代末期には、隠岐国の一宮に定められ、長い歴史を誇る由緒ある神社として知られています。
イカ伝説
由良比女命が出雲大社から戻る途中、海中でイカが神の手を引っ張ったとされています。その無礼を詫びるため、神社前の由良の浜にはイカの群れが押し寄せ、「イカ寄せの浜」という別名が付けられることとなりました。
現在、湾内にはイカが押し寄せた時の様子を再現するパネルが設置され、訪れる人々にその情景を想像させます。イカの大群は近年では押し寄せなくなりましたが、代わりに全長1メートルにもなるドウタリイカ(ソデイカ)が秋から冬にかけて見られるようになりました。
由良比女神社の見どころ
境内にはイカをモチーフにした彫刻が随所に施されており、そうしたことからも神社の神様とイカの関係がうかがえます。また、拝殿の奥には本殿があり、厳かな空気に包まれた神聖な空間が広がっています。
春には境内の桜が満開となり、夜にはライトアップされることで昼間とは異なる幻想的な雰囲気を味わえます。
由良比女神社へのアクセス
別府港から
車で10分
自転車で30分
2. 隠岐島最高峰の聖域「焼火山」と「焼火神社」
焼火神社は、隠岐島前の中心部に位置する焼火山の中腹に鎮座する神社です。この神社は、その神秘的な佇まいと、登山を楽しみながら訪れることができる点で多くの参拝者を魅了しています。
焼火神社の歴史と縁起
焼火神社は島前最高峰である焼火山(標高約450m)の中腹に位置し、航海安全や漁業の守護神として信仰されてきました。その歴史は古く、旧暦12月31日(大晦日)の夜、海上から三つの火が飛び出し、現在の社殿がある巌(いわや)に入ったことが縁起とされています。
社殿は岩の窪みに収められた独特の形状が特徴で、建築物としても興味深い存在です。享保17年(1732年)に改築され、現在では隠岐の島で最も古い建築物として国の重要文化財に指定されています。
信仰と灯台の役割
焼火神社は、かつて海上輸送が盛んだった時代に灯台のような役割を果たし、船乗りたちの信仰を集めました。その風景は、歌川広重や葛飾北斎といった名だたる画家たちの作品にも描かれています。
焼火山への登山と自然
焼火神社への道のりは、焼火山の豊かな自然を満喫できる登山コースとしても人気です。焼火山登山口から約1時間の道中では、四季折々の美しい植物や多種多様な鳥類を観察することができます。ただし、道中ではマムシや蜂が出没することもあるため、ご注意ください。
登山道中の風景
5月ごろに花を咲かせるシャガの花
焼火神社例大祭と隠岐島前神楽
焼火神社では2年に一度例大祭が行われ、島前三島で伝承されている「隠岐島前神楽」が奉納されます。この神楽は島根県の無形民俗文化財に指定されており、地域の文化と歴史を体感する貴重な機会となっています。
初参り
旧正月には島前の各集落で「初参り」が行われ、家内安全や大漁祈願、商売繁盛などが祈願されます。参拝後には、地域特有のお膳が振る舞われることも特徴です。
焼火神社へのアクセス
別府港から遊歩道入口まで
車で約25分
自転車で50分
焼火神社駐車場から焼火神社まで徒歩25分
焼火神社駐車場から焼火山山頂・展望台まで約1時間
島根県の島根半島の沖合い約65kmの日本海に浮かぶ隠岐諸島にある、西ノ島。隠岐諸島には有人島が4つあり、一つの島で一つの町を形成して2番目に大きな島が西ノ島です。 550万年前の火山の噴火により形成されたこの島は、隠岐を代表する景勝地『摩天崖』や『通天橋』、隠岐のいわがきなどの新鮮な海産物、神楽や田楽などの伝統文化など、「自然」、「文化」、「食」、「ひと」の魅力がある島です。