広島のお好み焼の歴史とは?昭和30年代の「広島オールドスタイル」をご紹介
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広島のお好み焼にどんなイメージがありますか?広島のお好み焼の歴史は古く、現在でも「広島オールドスタイル」と呼ばれる焼き方が継承されています。そこで今回は、みっちゃん総本店の広報担当藤井が、広島のお好み焼の歴史についてお話を伺いました。
広島のお好み焼とは?
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※こちらの記事は、「広島お好み焼みっちゃん総本店【公式】」のYouTubeチャンネルより抜粋した内容となっています。
今回、広島オールドスタイルについて教えてくれたのは「熱狂のお好み焼」の著者であるシャオヘイさんです。
広島のお好み焼は“具材を重ねて焼く”“中華麺が入る”というのが大きな特徴。このような作り方をすれば、広島のお好み焼と括られがちです。しかし実際には、大きく分けて8種類の焼き方が存在するのだそう。その違いは“具材を積み重ねる順番”や“麺”にあります。地域や年代によってさまざまな焼き方が生み出されているのが、広島のお好み焼なのです。
広島のお好み焼!ルーツは?
広島のお好み焼は東京から伝わったものですが、具体的な経路については現在でもハッキリとはわかりません。大正時代の終わり頃には「一銭洋食」という形で広島に伝わっていたそうです。
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一銭洋食とは、一言で表すと「駄菓子屋で売られるような子供向けの料理」のこと。水で溶いた小麦粉の中に少量の野菜やちくわ、蒲鉾、ネギなどを入れ混ぜ合わせて焼いた小さな鉄板焼きです。当時は、醤油の中に酢やコショウ、唐辛子などを入れたソースに似た味のものをかけて子供に提供していました。
「洋食焼き」「壱銭焼き」「べた焼き」などと呼ばれることもあります。
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子供に親しまれていた一銭洋食は、戦後ボリュームアップして大人が食べても満足できる鉄板料理へと変化。現在では広島のお好み焼として愛されており、この一銭洋食こそが広島のお好み焼のルーツと言えるのです。
古くから伝わる!広島オールドスタイルとは?
広島には「広島オールドスタイル」と呼ばれる、一銭洋食を継承するお店はいくつか残っていますが、だんだん減ってきているのが実情です。
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廿日市市にある「田丸屋」さんは、現在でも古くからの広島オールドスタイルを受け継いでいるお店の一つ。創業は昭和33年と古く、広島オールドスタイルを知るには最適な場所と言えます。
では、広島オールドスタイルの特徴はどのようなところにあるのでしょうか?作り方を見ていきましょう。
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まずは、小麦粉を水に溶かした生地を鉄板に丸く広げていきます。
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次に生地の上に魚粉を振り、うどんかそばの麺を乗せてソースを振りかけ混ぜ合わせます。
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「みっちゃん総本店」をはじめ多くのお好み焼店で主流となっているのは、生地に野菜→肉→麺の順番に乗せて焼く作り方。一方、広島オールドスタイルはいきなり麺を乗せるのが特徴で、生地→そば→野菜→肉の順番が基本です。
具材を重ねる順番が現在のお好み焼と違うわけ
具材を重ねる順番が違う理由は、時代的背景が関係していると言われています。
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中華麺がまだ食べられていなかった当初は、餅を入れるのが主流でした。その後餅の代わりに中華麺が入るようになり、野菜や肉を乗せてひっくり返して焼く…というように変わっていったのです。
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また昭和30年代初頭はガス設備などが整っておらず、現在よりも火力が弱かったため鉄板を大きくできなかったことも理由の一つであると考えられています。
昔は小さな鉄板の全面を使い、お好み焼をひっくり返しながら焼かなければなりませんでした。そのため、現在のように麺を生地とは別の場所で焼くスタイルは出来なかったのです。
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現在では、広島オールドスタイルで焼くお好み焼店は減っていますが、この広島オールドスタイルでしか出せない味わいも!麺が野菜の水分を吸うことで、全体的に柔らかく味に一体感のあるお好み焼に仕上がるのが特徴です。
広島オールドスタイルのお好み焼もぜひ楽しんで!
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広島のお好み焼のルーツは、広島オールドスタイルにあります。今のお好み焼につながる歴史あるこの広島オールドスタイルを、ぜひ一度は体験してほしいもの。歴史を知った上でいただくお好み焼は、また格別な味わいがあるのではないでしょうか。「みっちゃん総本店」では、今後もお好み焼にまつわる情報をご紹介していきますのでぜひご覧ください。
昭和二十五年創業。元祖 広島流お好み焼には、井畝満夫のこだわりがつまっています。 “みっちゃん”こと井畝満夫がこだわるのは「毎日でも食べられる、あっさりと飽きのこないお好み焼」。 昔からのスタイルを変えずに、今も元祖 広島流のお好み焼の味を守り続けています。