【常滑焼の陶芸家さん達に同行!薪窯ならではの良さとは?】
愛知県常滑市は日本の文化遺産「六古窯」のひとつ。常滑の陶芸家さんが貴重な薪窯で作品を焼く様子を見学しました。窯詰めや窯焚きの工程は手間と時間がかかり、作品の焼き上がりも自然の影響で多彩です。常滑焼の魅力を再発見できる体験でした。
常滑焼の歴史

常滑焼は、愛知県常滑市で生産されるやきもの日本六古窯の一つで、平安時代末期に始まり1000年の歴史があります。中世には大型の壺や甕が多く作られ、江戸時代以降は急須や日用品が主流に。特に朱泥急須で有名で、現在も伝統を受け継ぎつつ多様な作品が制作されています。
薪窯で焼く常滑焼

今回ご縁があり、常滑焼の陶芸家さん達が薪窯で作品を焼く工程を見せていただくことができました!
陶芸家さんがろくろを回す瞬間に遭遇することはできますが、作品を窯詰めする様子を見られる機会は滅多にありません。今回使用する薪窯は、40年前頃から使われているもので、常滑市内の山中にありました。環境への負荷が理由で、薪窯を新たに作ることは難しいそうで、今ある窯を常滑の陶芸家の皆さんで大切に使っていました。そんな薪窯の窯詰めシーンに立ち会えるなんて、とてもレアな体験です!

陶芸家さん達7名が、それぞれの作品を持ち寄り、半日ほど窯のお手入れをしてから、窯詰めを開始しました。陶芸家さん達はそれぞれが所有する窯がありますが、ほとんどはガス窯か電気窯。「電気窯とは違い、薪窯だと、湿気とか、自然の要素に影響されることで、良い意味で焼き上がりの予想がつかないのが面白いところ。」と陶芸家さん達のワクワクした気持ちが伝わってきました…! ガス窯だと、作品を詰めた時点でおおよそどんな仕上がりになるか予想できるのに対して、薪窯の場合、薪から出る灰が作品に付着し、それが焼かれることで、作者も思いがけない焼き上がりになるそうです! 作品を焼く前の粘土状態のものばかりを窯に詰めるのかと思いきや、陶芸家さん達のなかには、既に焼かれた小さな甕やお皿などを入れる方も。「これはもう一度焼いてみるの。」と何度も重ねて焼く作品もあり、作品の表情が変わるのを楽しんでいるようでした。

窯の中をライトで照らしながら、奥から作品を詰めていきますが、中は狭く、配置していく作業は経験のある一人が担当し、他の方はリレーして作品を渡していきます。大切な作品を扱うので、集中が必要な作業です。奥に詰めるのに1日、手前を詰めるのに1日、最終日に戸を煉瓦でふさぐ作業を、慎重に進めていきました。勝手に、パンをオーブンに入れる感覚で、数時間で終わる作業なのかと思っていた自分が恥ずかしくなりました。

後日、窯焚きも拝見することができました! 薪窯は常に薪をくべていないと温度が一定に保てないので、火をつけてから3日間、交代で朝から晩まで薪当番をしていました!窯の中に温度計を入れて温度のチェックを行いながら、煙突から出る煙が見えるよう鏡を丁度いい角度で設置して、煙の色を見ながら薪をくべていました。とても原始的で面白い!先人たちもきっとそうしていたのでしょう…陶芸家さん達が作品を作る工程は、形作ることだけではなく、焼く工程にもこんなにも時間と労力が要ることを学びました。その中でも、窯焚きが終わったら窯の前でみんなでBBQをしたり、その時間を楽しむ陶芸家さん達の様子もとても印象的でした!
知ることで深まる常滑焼の魅力
この工程を知れたうえで常滑焼の急須や器を見ると、ひとつひとつに込められた手間と時間が思い起こされ、その価値がより深く感じられました。皆さんも、常滑で急須や器を選ぶ際には、どんな窯で焼いたのかな?と想像しながらショッピングを楽しんでみてください!
“常滑市に訪れるすべての方が様々な魅力に触れて、楽しく幸せな気分になり、明日から元気になれる“幸せのチカラ(ハッピー)”を持って帰ってほしい“という想いが込めた「Happy Come On TOKONAME(ハッピーカモントコナメ)」をキーワードに観光PRを行っています。