【群馬】群馬の秋絶景 ― 宝徳寺・吹割の滝・老神温泉を巡る旅
群馬県は自然と歴史文化に恵まれ、秋には寺社や渓谷、滝、温泉が鮮やかな紅葉に彩られます。本稿では紅葉名所とその歴史、郷土の美食をご紹介します。
紅葉と歴史探訪の旅
群馬県は、古代より関東と北陸を結ぶ交通の要衝として栄え、山岳信仰や温泉文化が深く息づいてきた土地です。上毛三山(赤城山・榛名山・妙義山)に代表される山々は、古来より人々の信仰を集め、今なお豊かな自然を守り続けています。
秋が訪れると、群馬の大地は錦に彩られます。由緒ある寺社や温泉地、壮大な渓谷や滝までもが鮮やかな紅葉に包まれ、訪れる人々を魅了します。歴史の香りと自然の彩りが重なり合うその光景は、まさに群馬ならではの秋の醍醐味です。
本稿では、群馬が誇る紅葉の名所とそこに息づく歴史、そして旅のひとときをより豊かに彩る郷土の美食をご紹介いたします。
宝徳寺 ― 床に広がる紅葉の鏡世界
桐生市に佇む宝徳寺は、室町時代に開山された臨済宗の禅寺です。境内は四季折々に花々が彩りを添えますが、とりわけ秋の風景は格別です。中でも名高いのが「床もみじ」。本堂の磨き上げられた床板に紅葉が鏡のように映り込み、幻想的な世界を生み出します。その光景はまるで一幅の絵画のようで、訪れる人々の心を奪い、多くの写真愛好家を惹きつけてやみません。
宝徳寺では、春・夏・秋の「床もみじ特別公開」期間を除き、この幽玄の光景を見ることはできません。なかでも毎年11月中旬頃に行われる「秋の床もみじ特別公開」では、境内の100本以上のもみじが一斉に色づき、関東百名山のひとつ鳴神山の紅葉とあわせて、まさに「紅葉浄土」と呼ぶにふさわしい景色を楽しむことができます。「リフレクション、床に映る世界」と題された公開では、全国的にも数少ない紅葉のリフレクションが体験でき、訪れる人々を夢幻の世界へと誘います。

さらに、宝徳寺は禅の修行道場としての一面も持ち、座禅や写経の体験を通じて、喧騒を離れた静寂のひとときを味わうことができます。秋の紅葉に包まれながら心を整える時間は、ここでしか得られない贅沢な体験といえるでしょう。
織姫神社「もみじ谷」 ― 縁結びの社を彩る秋
足利市の織姫神社は、織物産業の守護神として知られ、機織りの男女神を祀ることから「縁結びの神社」としても人気があります。境内にある「もみじ谷」は紅葉の名所として広く親しまれ、赤や黄色に染まった木々と朱塗りの社殿が美しく調和し、訪れる人々を温かく迎えます。
「もみじ谷」は織姫公園内に位置し、約1,000本のもみじやユリノキが植えられています。紅葉の時期には谷全体が赤や黄色に染まり、木々が織りなす色彩のコントラストが訪れる人々を非日常の世界へと導きます。例年の見頃は11月上旬から中旬で、足利市観光協会のホームページにて最新情報が確認できます。

足利は古くから織物の町として栄え、その歴史は鎌倉時代にまで遡ります。織姫神社周辺を散策すれば、町の歴史的な風情とともに秋の鮮やかな彩りを楽しむことができます。
さらに、織姫神社は女性に人気のパワースポットでもあります。願いを叶えるとされる「229段の石段」や「愛の鐘」、カラフルな7色の鳥居が並ぶ「えんむすび坂」など、ご利益を授かれるスポットが点在しています。七つのご神徳はそれぞれ色に対応しており、人生の様々な面での良縁を結ぶとされています。

【七つのご神徳】
よき人との縁結び(赤色)
よき健康との縁結び(黄色)
よき智恵との縁結び(緑色)
よき人生との縁結び(青色)
よき学業との縁結び(若草色)
よき仕事との縁結び(朱色)
よき経営との縁結び(紫色)
一の鳥居をくぐり、229段の石段を昇ってご参拝いただくことで、願いが叶うと伝えられています。紅葉の美しさと縁結びのご利益が同時に楽しめる、秋の群馬観光に欠かせないスポットです。
吹割の滝 ― 東洋のナイアガラ
沼田市に位置する「吹割の滝」は、群馬県を代表する名瀑で、「東洋のナイアガラ」とも称されます。高さ7メートル、幅30メートルの滝は、岩盤を割るかのように流れ落ち、その迫力は圧巻です。1936年には国の天然記念物および名勝に指定され、巨大な岩が吹き割れた様子からその名が付けられました。片品川の清流が岩盤を浸食して生まれた独特の景観は、訪れる人々を魅了します。

吹割の滝は四季折々に表情を変えます。夏には滝からの天然ミストが全身を包み込み、気分爽快。秋には周囲の木々が紅葉に染まり、白い水しぶきとの鮮やかなコントラストが目を楽しませます。整備された遊歩道や橋を巡りながら、滝を間近で体感できるのも魅力のひとつです。古くから「片品渓谷」と呼ばれ、旅人の憩いの地であったこの場所は、自然の迫力と紅葉の彩りを同時に楽しめる群馬屈指の観光スポットです。

そして滝の感動を味わった後は、すぐ近くの老神温泉へ。良質な温泉で心も身体もゆったりと癒され、秋の旅の締めくくりにふさわしいひとときを過ごせます。
老神温泉 ― 伝説と紅葉に包まれる湯の里
片品川沿いに湧く老神温泉は、開湯千年以上の歴史を誇る名湯です。その起源には、赤城山の「大蛇(おおみずち)」が日光の男体山の「大ムカデ」と戦い、傷を負った大蛇がその矢を突き刺した場所から湯が湧き出した、という伝説があります。この湯で傷を癒した大蛇が男体山の神を追いやったことから「追い神」と呼ばれ、それが「老神」の名の由来となったと伝えられています。
この伝説にちなみ、老神温泉では蛇が守り神とされ、その感謝の気持ちを込めて毎年「大蛇まつり」が開催されます。祭りでは地域の人々による勇壮な行列や神事が行われ、訪れる人々に歴史と文化を体感させてくれます。由来を聞くと少し怖く感じるかもしれませんが、老神温泉にまつわる蛇の伝説や大蛇まつりは、恐ろしさよりも温泉の発見や守護への感謝の気持ちが込められた、地域独自の文化として理解するのが適切です。

紅葉シーズンには温泉街を取り囲む山々が鮮やかに色づき、露天風呂からは錦秋の絶景を望むことができます。古来より旅人や湯治客を癒してきたこの湯の里は、心身ともにリフレッシュできる憩いの場です。伝説、祭り、そして紅葉と温泉の魅力が一体となり、群馬の秋旅に欠かせないスポットといえるでしょう。

あしかがフラワーパーク ― 日本三大イルミネーションと秋の彩り
冬のイルミネーションで全国的に有名な「あしかがフラワーパーク」ですが、秋もまた魅力的です。園内には色とりどりの紅葉が広がり、藤棚や噴水のライトアップと組み合わせることで、昼間とは異なる幻想的な光景を楽しむことができます。藤棚を活かしたライティングは圧巻で、日本三大イルミネーションのひとつとして知られています。

園内には季節の花々や温室植物も豊富に植えられており、秋はコスモスやダリアなどが見頃を迎えます。日中は紅葉と花々を散策しながら、写真撮影や自然の美しさを満喫できます。夜になると、光に包まれるイルミネーションの世界が広がり、まるで夢の中を歩くかのような体験ができます。
また、園内にはカフェやレストランもあり、休憩しながらゆったりと景色を楽しむことができます。アクセスも良く、電車や車で簡単に訪れることができるため、秋の週末のお出かけにも最適です。自然美と人工美が見事に融合するあしかがフラワーパークは、群馬の秋旅をより華やかに彩るスポットといえるでしょう。
わたらせ渓谷鐵道 ― 車窓から望む渓谷の紅葉
群馬県桐生市から栃木県日光市の間藤駅までを結ぶ「わたらせ渓谷鐵道(わ鐵)」は、秋の観光に欠かせないローカル線です。全長約44.1kmを、約1時間半かけてのんびりと走り、四季折々の自然美を楽しむことができます。旧足尾線を引き継いだこの路線は、地元住民や観光客に親しまれ、特に春と秋には懐かしい雰囲気のトロッコ列車も運行され、多くの人々に人気です。

紅葉シーズンには、列車の窓から渓谷を彩る赤や黄の木々、流れゆく渡良瀬川の清流が望め、ゆったりとした時間の中で自然の美しさを堪能できます。トロッコ列車に乗れば、より開放的な空間で紅葉を楽しむことも可能です。鉄道旅ならではの郷愁を感じながら、群馬の秋を満喫できるスポットとしておすすめです。

*ツアーでは、神戸駅から大間々駅まで約30分の乗車予定です。短時間ながらも、車窓からの紅葉や渓谷美を気軽に楽しめる区間となっています。
群馬の秋の味覚 ― 松茸と達磨弁当、そして奥利根の湯葉
旅の楽しみには、やはり食が欠かせません。群馬の秋を代表する味覚といえば「松茸」です。赤城山麓や榛名山周辺は良質な松茸の産地として知られ、香り高い松茸ご飯や土瓶蒸しは、この季節ならではの贅沢な一品です。

また、群馬の駅弁として有名なのが「達磨弁当」です。高崎駅で販売されるこの弁当は、だるま型の容器に郷土料理を詰め合わせており、食べ終わった後も縁起物として持ち帰ることができます。達磨は群馬のシンボルである「高崎だるま」をかたどった縁起物で、七転び八起きの意味を持ちます。達磨弁当は、地元名産の達磨と郷土料理を同時に楽しめるだけでなく、旅の思い出とともに縁起も味わえる、群馬ならではの秋の味覚です。

さらに、奥利根の清水が育む大豆を使った伝統の味も見逃せません。白沢にある「町田屋 白沢店」では、生ゆばや豆腐のすくい体験が楽しめ、醤油や塩、スープなどお好みの味付けで味わえます。昭和25年創業、三代にわたり受け継がれた技術と従業員の温かいおもてなしも魅力です。大豆本来の甘みと旨みを引き出した湯葉や豆腐は、口に運ぶたびに素材の豊かさを感じさせ、秋の群馬旅に彩りを添えます。

松茸や達磨弁当、奥利根の湯葉・豆腐と、群馬の秋の味覚を満喫することで、旅の記憶もより深く、豊かになることでしょう。
群馬の秋を心に刻む旅
紅葉の群馬は、歴史ある寺社や温泉地と、雄大な自然が見事に調和する季節です。宝徳寺の床もみじに心を奪われ、吹割の滝の迫力に驚き、老神温泉でゆったりと癒され、わたらせ渓谷鐵道で移ろう景色を楽しむ――。こうしたひとつひとつの体験が、群馬の秋旅を心に残る思い出へと昇華させてくれます。自然と歴史、そして郷土の味覚が織りなす群馬の秋を、ぜひ五感で感じてください。
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