【広島】穴場観光地:湯来・湯の山温泉へ!自然・グルメ・体験がそろう癒しの1日旅
広島市中心部から車で約1時間の「湯来・湯の山温泉郷」は、国民保養温泉地に指定された癒しの地。豊かな自然と冷泉文化が息づき、温泉めぐりや牧場体験、トレッキングも楽しめる隠れた名所です。 "王道の広島観光"とは一味違う広島の魅力をご紹介します。
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目次
- 湯の山温泉館・森井旅館―温泉の守り神に見守られる癒しの時間
- 砂谷牧場(久保アグリファーム)―広島の山で味わう、しぼりたてミルクの恵み
- 湯来ロッジ――自然の中で過ごす、温泉と癒しのひととき
- こんにゃく彩家 ゆき乃庵――湯来の清らかな水が生む“山の恵みグルメ”
- 大峯山トレッキング――広島最高峰で味わう絶景と非日常の時間
- 誠の桧湯――地域の想いが生んだ、香り高い貸切の湯
- まとめ
- 首都圏・関西方面から広島へのアクセス
- 広島駅から湯来ロッジまでのアクセス
湯の山温泉館・森井旅館―温泉の守り神に見守られる癒しの時間
「広島の奥座敷」とも呼ばれる湯来・湯の山温泉郷。その歴史は古く、湯来温泉は約1500年前、湯の山温泉は約1200年前にさかのぼると言われています。湯来温泉の始まりは、傷ついた白鷺が湯に浸かって傷を癒しているところを発見したことと伝えられています。

そんな湯来温泉から車で約10分の場所にある湯の山温泉は、由緒ある温泉地で、江戸時代には広島藩主の湯治場として栄えました。古くから多くの人々が訪れ、心身を癒してきた歴史ある温泉郷です。

湯の山温泉の中心にあるのが「湯乃山大明神」。温泉の守り神として古くから信仰され、 境内の奥では今も源泉がこんこんと湧き出しています。

この明神のそばに建つ「湯の山温泉館」は、名物の打たせ湯で知られる温泉施設。 23.5度の冷泉を加温した内湯と、源泉そのままの冷泉を交互に楽しむ“交代浴”が人気です。

冷たい湯で体を引き締め、再び温かい湯に浸かると、血流が促されて体の芯からすっきりする感覚が味わえます。

現在、このエリアで入浴できるのは「湯の山温泉館」と4代目森井ご夫妻が営む「森井旅館」のみ。昔ながらの湯治場の雰囲気を残しながら、どちらも源泉の魅力を大切に守り続けています。
砂谷牧場(久保アグリファーム)―広島の山で味わう、しぼりたてミルクの恵み

湯来・湯の山温泉に向かう前に、ぜひ立ち寄りたいのが「砂谷牧場(久保アグリファーム)」。

広島市佐伯区湯来町の澄んだ空気と美しい水、清浄な牧草に囲まれ、牛たちはのびのびと育っています。敷地内には、生乳を使用したジェラート工房「アルトピアーノ」があり、しぼりたてミルクの濃厚な味わいを、牧草地を眺めながら堪能できます。

季節のフレーバーも豊富で、地元野菜や果実を使った限定ジェラートは大人気。また、乳しぼりやバターづくりなどの体験プログラムも開催されており、子どもから大人まで楽しめる観光スポットです。
湯来ロッジ――自然の中で過ごす、温泉と癒しのひととき

静かな森に囲まれた「湯来ロッジ」は、温泉を中心に、食事や地域の体験がひとつの場所で楽しめる“湯来温泉郷のハブ”のような存在です。

温泉は無色透明の冷泉を加温し、加水せずに掛け流し。 内湯と露天風呂があり、どちらも開放的で、四季折々の山々や水内川のせせらぎを感じながら湯に浸かれます。

宿泊はもちろん、日帰り入浴も可能。館内のレストランでは、地元でとれた猪肉を使ったジビエ料理も味わえます。中でも人気は、臭みがなくジューシーな「猪ハンバーグ」。やわらかな肉質と深い旨みが特徴の一品です。
こんにゃく彩家 ゆき乃庵――湯来の清らかな水が生む“山の恵みグルメ”

湯来ロッジの向かいにある『こんにゃく彩家 ゆき乃庵』は、創業昭和43年の老舗・藤利(フジトシ)食品が営むこんにゃく料理専門店。 「山ふぐ」と呼ばれ親しまれてきた湯来名物の刺身こんにゃくをはじめ、この地の豊かな天然水を使った自家製こんにゃくを味わえます。

湯来町の地下水はミネラルが豊富で、オオサンショウウオが棲むほど澄んだ水質。この清らかな水こそが、こんにゃくのぷるんとした食感とやさしい味わいを生み出しています。

田舎こんにゃくと鶏肉を出汁で味付けして香ばしく焼き上げた「山賊串焼」は食べ応え十分。
一方で、白く透き通った刺身こんにゃくは、しっかりとしたコシとみずみずしさが楽しめます。

テイクアウト・イートインどちらも可能で、店頭ではユニークな「オオサンショウウオこんにゃく」も販売中。地元高校生との共同開発から生まれたこの商品は、 “湯来のまちを元気にしたい”という想いが込められています。
大峯山トレッキング――広島最高峰で味わう絶景と非日常の時間

湯来・湯の山温泉郷のすぐそばにそびえる「大峯山(おおみねやま)」は、標高1,050メートル、広島市内で最も高い山です。登山といっても片道約1時間ほどのコースで、初心者でも安心して参加できるガイド付きツアーが人気。
しっとりとした苔や、柔らかい木漏れ日、湿った土の香り…そんな日本の山ならではの魅力を楽しみながら歩くのも、このトレッキングの醍醐味です。

登るほどに視界が広がり、山頂では360度の大パノラマが待っています。晴れた日には、宮島はもちろん、中国山地や遠く九州の山々まで一望できます。息をのむような絶景を前に、湯来の特製スナックと大峯山をイメージしたコーヒー(大峯ブレンド)を味わう時間は格別です。

下山途中にハンモックを張って休憩する時間も楽しみの1つ。ガイドが丁寧にサポートしてくれるので、登山が初めての方にも好評です。

ツアーは、湯来ロッジに併設する「湯来交流体験センター」で申し込み可能。料金は8,000円(ガイド代・保険・温泉入浴券付き)。集合は湯来ロッジ前で、10:30スタートの半日コース。(2025年10月現在の情報)
自然の中で深呼吸しながら、体も心もリフレッシュできるアクティビティです。
夏には、さらにアクティブな体験もおすすめ!水内川の清流をさかのぼりながら滝を登ったり滝つぼに飛び込んだりできる「奥湯来シャワークライミング」や「湯来アドベンチャーE-MTBツアー」も楽しめます。
誠の桧湯――地域の想いが生んだ、香り高い貸切の湯

湯来ロッジのすぐ隣にある「誠の桧湯(まさのひのきゆ)」は、地域の人々の手によって復活した特別な貸切露天風呂です。かつて「湯元」として地元の人に愛された共同浴場が閉鎖され、約20年の時を経て、クラウドファンディングの支援を受けて再生しました。

浴槽や脱衣所には、湯来町産の檜をふんだんに使用。扉を開けた瞬間に広がる木の香りと源泉が湧き出る音が心を静かに包み込みます。加温湯と、源泉そのままの冷泉の2槽があり、温冷交代浴を楽しみながら、自然の音と香りに身を委ねることができます。

1時間4,000円(最大6名まで)の完全貸切制です(2025年10月現在の情報)。鍵の受け取りは湯来ロッジ併設の「湯来交流体験センター」にて。
おまけ

「誠の桧湯」のすぐ隣には、木の香り漂うおしゃれなカフェ「SOZORO」があります。広島ラーメンや地元食材を使った料理が人気。

店主は20年以上インドとギリシャで暮らした経験を持つ女性で、英語も堪能。国内外からの旅人にもやさしく、美味しいご飯と心地よい時間を届けてくれます。
まとめ

広島市からわずか1時間。湯来・湯の山温泉は、温泉だけでなく、自然・食・体験がそろう“小さな癒しの郷”です。清らかな水が育むこんにゃくや牛乳、地元の人々の手で守られてきた温泉、そして広がる山々の景色。どれもここでしか味わえない特別な時間をくれます。
都会の喧騒を離れ、自然と人のぬくもりに包まれる旅へ。次の広島旅では、ぜひ湯来・湯の山温泉へ足をのばしてみてください。
首都圏・関西方面から広島へのアクセス
【新幹線で行く場合】
東京からは新幹線で「広島駅」まで約4時間。大阪からは新幹線で「広島駅」まで約1時間30分。
広島駅からJR山陽本線で「五日市駅」へ向かいます(所要時間は約20分)。その後、「五日市駅」駅前から湯来ロッジ行きの広電バスに乗り換えてアクセスできます。
【飛行機利用の場合】
羽田空港から広島空港まで約1時間20分。
広島空港からはリムジンバスで広島駅へ向かいましょう(所要時間は約45分)。広島駅からJR山陽本線に乗車し、「五日市駅」にて下車。「五日市駅」駅前から湯来ロッジ行きの広電バスに乗り換えるルートが便利です。
広島駅から湯来ロッジまでのアクセス
【広電バス(有料)】
料金:片道1,000円
所要時間:約1時間15分(交通状況により変動)
乗車場所:JR山陽本線・広島電鉄宮島線「五日市駅南口」
行き先:「湯来ロッジ前」行きバス
【最終バス出発時刻】 平日:19:30 土日祝:18:40
バスの車窓からは、広島市街から山あいへと変わる風景を楽しめます。 温泉でのんびり過ごしたあとは、帰りの時間にもゆとりを持って。

【車で行く場合(参考)】
ルート:広島市中心部から国道433号線経由で約60分
駐車場:無料駐車場あり(湯来ロッジ・温泉館前)
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。