今行ける能登 Vol.2 —能登を再発見する希望と再生の旅—
2024年元日の能登半島地震から1年10か月。世界農業遺産にも登録された美しい里山里海、豊かな祭りや食文化、そして人々の営み——。まだ復興の途上にありますが、災害を経ても変わらぬ美しさ、魅力がある能登の姿を感じる旅に出かけませんか。
「地震の被害で行けないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、現在、能登で訪問できない地域はほとんどありません。宿泊施設は一部休業中ながらも、飲食・買い物・体験スポットは次々と再開しています。共同の仮設店舗で力を合わせる人々、新しいメニューを開発するシェフ、再び立ち上がる伝統工芸の職人たち——“震災前に戻る”のではなく、“未来へ進む”能登の姿を、あなたの旅で感じてみませんか。
本特集は今行ける能登のおすすめスポット14ヶ所を、前編・後編でご紹介します。
前編 Vol.1 https://matcha-jp.com/jp/26173
後編 Vol.2 https://matcha-jp.com/jp/26174
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目次
- 旅の始まりは能登空港から
- 8.和倉温泉 お祭り会館 [七尾市] — 祭りの熱気を未来へ
- 9.日本の宿 のと楽 [七尾市]— 七尾湾を望む癒しの宿
- 10.出張輪島朝市 [輪島市] — “出張”から始まる再生の物語
- 11.輪島工房長屋 [輪島市] — 受け継がれる漆のぬくもり
- 12. mebuki -芽吹- [輪島市] — 炊き出しから生まれた新しい味
- 13.禅の里交流館と門前通り [輪島市] — 祈りが息づくまち歩き
- 14.曹洞宗大本山 總持寺祖院 [輪島市] — 2度の巨大地震を越え、祈りをつなぐ
- 今行ける能登 — 旅のまとめ
旅の始まりは能登空港から

今回ご紹介する能登の旅は、能登の空の玄関口「のと里山空港」が起点です。飛行機なら東京(羽田)から「のと里山空港」まで約1時間で訪れることができます。新幹線利用なら石川県金沢市の金沢駅から、空港までレンタカーまたはバスで2時間半です。ANAの能登-羽田便が1日2往復運航し、復興支援者や観光客を乗せています。
「のと里山空港」については前編で詳しく紹介しています。

のと里山空港
[所]石川県輪島市三井町洲衛10-11-1
TEL 0768-26-2000
[営]7:45~17:30
レストランあんのん 9:00~17:00(16:30LO)
売店 セレンディピティ 9:00~17:00
売店 つくし 9:00~17:00
[休]年中無休
8.和倉温泉 お祭り会館 [七尾市] — 祭りの熱気を未来へ

七尾市の和倉温泉にある「お祭り会館」は、能登を代表する七尾の4大祭りの迫力を伝える施設です。「青柏祭(せいはくさい)」の曳山行事がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機に、祭り文化を通した新たな人の流れを創出できるよう観光拠点施設として開館しました。

2024年の震災後は休館していましたが、2025年夏より金・土・日曜と祝日の通常営業を再開。展示室では七尾市の4大祭り「青柏祭(せいはくさい)」「石崎奉燈祭(いっさきほうとうまつり)」「能登島向田の火祭(のとじまこうだのひまつり)」「お熊甲祭(おくまかぶとまつり)」の実物展示が並び、高さ12.3mの曳山や奉燈が迫力満点に迫ってきます。臨場感たっぷりの巨大スクリーンの映像も見応えがあり、人から人へ、脈々と受け継がれてきた祭りの歴史や文化、そして情熱が伝わってきます。




和倉温泉 お祭り会館
[所]石川県七尾市和倉町2-13-1
TEL 0767-62-4332
[営]金〜日曜、祝日9:00-17:00(入館16:30まで)
[休]月〜木曜(祝日の場合は開館) ※事前予約の団体は別途対応
[料]入館料 一般800円、小・中学生400円
9.日本の宿 のと楽 [七尾市]— 七尾湾を望む癒しの宿

七尾湾に面した和倉温泉は、1200年の歴史を誇る名湯。源泉は約90℃の高温で湧き出し、豊富な塩分を含むミネラル泉は、古くから“海の温泉”として人々を癒してきました。2024年の能登半島地震で甚大な被害を受け、20軒の旅館のうち13軒が休館中(2025年10月現在)ですが、一歩ずつ復興の歩みを進めています。
その中で営業を再開した「日本の宿 のと楽」は、和倉温泉を代表する大型旅館。本館の「のと楽」と、敷地内に「ホテル能登倶楽部」「ガーデン能登屋」の2つのホテルがあり、さまざまなタイプの客室、グレードで温泉と美食を楽しみながら滞在できます。おすすめは4階にある「能登島テラス倶楽部」のお部屋。七尾湾と能登島を一望できるオーシャンビューの部屋で、落ち着いたインテリアとジャグジー&露天風呂でプライベート感たっぷりに心と身体が癒せます。各客室にバスルームがありますが、ぜひ大浴場で和倉温泉の上質な湯とくつろぎの時間を味わってください。
館内にはレストランが複数あり、気軽なビュッフェ、グループや家族で利用したい貸切個室、和食の醍醐味を満喫できる本格的な割烹レストランなど、お好みの食事スタイルやメニューから選べます。朝食はビュッフェスタイルで和洋さまざまなメニューが楽しめます。


お部屋 https://www.notoraku.co.jp/rooms
宿泊プラン https://www.notoraku.co.jp/plan
レストラン https://www.notoraku.co.jp/dish
温泉 https://www.notoraku.co.jp/hotspa




和倉温泉 日本の宿 のと楽
[所]石川県七尾市石崎町香島1-14
TEL 0767-62-3131
チェックイン 15:00-18:00
チェックアウト 10:00
10.出張輪島朝市 [輪島市] — “出張”から始まる再生の物語

輪島の朝市は1000年以上の歴史を誇る日本三大朝市の一つ。輪島市河井町の朝市通りにずらりとテントが軒を連ね、新鮮な魚介類や農産物、輪島塗などの民芸品が並び賑わっていました。しかし、2024年の地震と大規模火災で一帯は大きく姿を変えました。輪島朝市の露店主たちは商いの場を失ってしまいましたが、力を合わせ「出張朝市」という形で朝市を継続しています。2024年3月、金沢市の金石港の協力で「出張輪島朝市」として販売を再開し、同年夏から輪島市の「パワーシティー 輪島ワイプラザ」の館内で営業をスタート。復興途上の9月に豪雨被害もありましたが、営業を再開する店を少しずつ増やしながら、河井町の朝市通りの復興も目指しています。



出張輪島朝市
[所]石川県輪島市宅田町41 パワーシティ 輪島ワイプラザ
TEL 0768-22-8733(ワイプラザ輪島店)
[営]9:00~13:00
※ワイプラザ輪島店の営業時間は9:00-19:00
[休]水曜
11.輪島工房長屋 [輪島市] — 受け継がれる漆のぬくもり

「輪島工房長屋(わじまこうぼうながや)」は、輪島市が誇る輪島塗の工房見学、製作体験、漆器の購入ができる輪島と漆器の魅力を発信する施設です。地震の被害が大きかった地域にありますが、2024年6月から工房見学と一部の体験メニューを再開しています。ここでは漆器の加飾技法である「沈金」や「蒔絵」を体験することができ、漆塗りの箸に好みの絵を描いてオリジナル作品が作れます。


「My箸づくり体験」は初心者でも気軽に挑戦でき、作品を当日そのまま持ち帰れるのが魅力です。おすすめの「沈金」の技法は、塗り箸に模様を彫り、そこに漆を塗って金粉を定着させる伝統技で、シンプルで美しい金粉タイプのほか、メタリックパウダーで鮮やかに仕上げるタイプも選べます。自分で作った箸で食事をするたびに、輪島を訪れた思い出が蘇る特別な品になります。


輪島工房長屋
石川県輪島市河井町4-66-1
TEL 0768-23-0011
[営]9:00-17:00
[休]水曜
[料] My箸づくり 1膳2,000円
輪島をめぐるプラン&My箸づくり 1人3,000円(10名以上・2時間30分)
12. mebuki -芽吹- [輪島市] — 炊き出しから生まれた新しい味

「mebuki -芽吹-」は、能登半島地震の被災地・輪島で“再生の象徴”として誕生した居酒屋スタイルの食事処。2021年に「ミシュラン」で一つ星を獲得した「ラトリエ・ドゥ・ノト」の池端隼也シェフを中心に、自身の店を震災で失いながらも、震災直後から約半年にわたり被災者への炊き出しを続けた料理人たちが立ち上げた共同店舗です。フレンチ、和食、ラーメン、バーなど、異なる業態の料理人たちが力を合わせ、技術共有やコラボレーションから多彩なメニューを提供。新鮮な能登の食材を用いた品々が並び、刺身の盛り合わせ、七面鳥ラーメンのほか、日替わりメニューも豊富で、ランチも妥協を許さない料理人たち渾身の日替わりメニューが登場します。カウンター越しに交わされる会話も温かく、輪島の“いま”を体感できるお店です。




Mebuki -芽吹-
[所]石川県輪島市マリンタウン6-1
TEL 0768-23-4567
[営]11:30-14:30/18:00-22:00
[休]日曜
https://www.instagram.com/mebuki_wajima
13.禅の里交流館と門前通り [輪島市] — 祈りが息づくまち歩き

曹洞宗の大本山「總持寺祖院(そうじじそいん)」の門前にある「禅の里交流館」では、總持寺のこと、この地に門前町が形成された歴史や修行の様子などをパネルや映像で紹介しています。2024年の能登半島地震で「總持寺祖院」は多大な被害を受け、「禅の里交流館」も被災しましたが、現在は観光で訪れることができます。ガイドの案内を受けながら「禅の里交流館」から門前の商店街を歩いて「總持寺祖院」へ向かうと、より深く歴史・文化を知ることができます。寺院の前に軒を連ねていた商店の多くが被災しましたが、仮設店舗で営業しながら再建計画が進められています。地元の人々が温かく迎えてくれて、再生への祈りが町を包んでいます。




輪島市 櫛比の庄 禅の里交流館
[所]石川県輪島市門前町走出6-10
TEL 0768-42-3550
[開]9:00~17:00(入館16:30まで)
[休]月曜(祝祭日の場合はその翌日)
[料]入館料 大人320円、小中高生150円
https://www.city.wajima.ishikawa.jp/docs/2013030600032
14.曹洞宗大本山 總持寺祖院 [輪島市] — 2度の巨大地震を越え、祈りをつなぐ

「總持寺祖院(そうじじそいん)」は、石川県輪島市門前にある約700年の歴史がある曹洞宗大本山「總持寺」の開創の地です。1898年(明治31年)の大火で多くの伽藍を焼失した後、本山機能が神奈川県へ移転し、ここは「總持寺祖院」として再建されました。現在も曹洞宗の大本山としての面影を伝え、広大な境内には再建された七堂伽藍や、加賀前田家ゆかりの経蔵などがあります。
しかし、2007年に発生した能登半島地震で坐禅堂が全壊するなど大きな被害があり、総事業費約40億円と14年の歳月をかけて復旧工事が行われ、開創700年の2021年に完全復興を遂げました。その3年後、2024年元日に発生した能登半島地震の激しい揺れに見舞われ甚大な被害を受けましたが、主要建物は耐震修復が功を奏し倒壊を免れました。重厚で趣深い建造物は、震災後に16棟が国の重要文化財に指定され、修復の準備が進められています。現在、寺院内は一部エリアを除き拝観が可能で、事前予約制のガイド付きで見学すると歴史と文化、再建の歩みと祈りの重みを一層感じられます。




曹洞宗大本山 總持寺祖院
[所]石川県輪島市門前町門前1の18番甲
TEL 0768-42-0005
[開] 9:00〜15:00(現在は短縮中/通常 8:00〜17:00)
[休]なし
[料]拝観料 大人500円、中高生400円、小学生200円
別途料金で案内料ガイド1名につき3,000円(事前予約制)
※坐禅体験はお問合せください(精進料理・宿坊は休止中)
※御朱印・お守りなどの受付は拝観時間と同様
※限定エリアのみ見学可
今行ける能登 — 旅のまとめ
能登の旅は、観光というより“人に会う旅”。再建の途中にある今だからこそ、出会える笑顔があります。「支援」ではなく「共に歩む」——その一歩が、地域の未来を照らします。どうぞ、あなたの目で“今の能登”を感じてください。
前編もご覧ください https://matcha-jp.com/jp/26173
1.のと里山空港 [輪島市]
2. NOTOMORI [輪島市]
3.見附島 [珠洲市]
4.すずなり食堂 [珠洲市]
5.道の駅 すずなり [珠洲市]
6.イカの駅つくモール [能登町]
7.能登ワイン [穴水町]
北陸エリア全体を盛り上げる取り組みを行なっています