『ひろしま国際建築祭2025』〜プリツカー賞受賞日本人建築家9名の豪華展覧会
広島・福山と尾道を舞台にした「ひろしま国際建築祭2025」を訪問。前田尚武氏の案内で名建築を巡り、街全体で建築を体感できる魅力を紹介する記事。
建築の巨匠たちが広島に集結──チーフキュレーター前田尚武さんと巡る『ひろしま国際建築祭2025』
森美術館で数々の建築展を手がけた前田さんの"前田式展示"が、世代を超えて建築の魅力を伝える
前田尚武さんに案内していただいた『ひろしま国際建築祭2025』は、建築愛好家だけでなく、建築初心者にとって夢のような体験でした。森美術館で長年にわたり数々の建築展を手がけてきた前田さんの解説は、単なる作品紹介を超えて、建築家たちの思想や時代背景、そして建築が私たちの暮らしに与える影響まで、深く豊かな物語として伝えてくれます。
9名の日本人プリツカー建築賞受賞者をはじめとする世界的な建築家23組の作品が、広島の美しい風景の中で新たな輝きを放っていました。

展示の魔術師──前田尚武さんの「前田式展示」
チーフキュレーターの前田尚武さんは、森美術館において「建築の日本展: その遺伝子のもたらすもの」「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」「モダン建築の京都展」など、数十年にわたって建築の展覧会を手がけてきた展示のスペシャリストです。私が初めて拝見した前田さんの展覧会は建築の日本展で、今回の展示もまさに「前田式展示」で、建築好きもそうでない人も建築をどの世代からも楽しめるように構成されています。「建築は難しいものではありません。私たちの日常と密接に関わる、身近で豊かな文化なのです」と前田さんは語ります。実際に会場を歩いてみると、専門的な知識がなくても建築家の思いや作品の魅力が自然と伝わってくる展示構成に感動します。模型やドローイング、映像資料が巧妙に配置され、来場者が自分のペースで建築の世界に浸れるよう設計されています。



『ひろしま国際建築祭2025』概要
開催情報
会期:2025年10月4日(土)- 11月30日(日)(58日間)
開催地:広島県福山市、尾道市
会場一覧
福山市:神勝寺 禅と庭のミュージアム/ふくやま美術館(ギャラリー)
尾道市:尾道市立美術館/まちなか文化交流館「Bank」(11月3日で会期終了)/LLOVE HOUSE ONOMICHI(後期:11月22日-30日)/ONOMICHI U2/LOG
世界的建築家23組が集結
今回の建築祭の最大の見どころは、建築界のノーベル賞と呼ばれる「プリツカー建築賞」受賞者をはじめとする、世界で活躍する建築家たちの作品が一堂に会することです。
プリツカー賞受賞者と巨匠たち
安藤忠雄 - コンクリート建築の詩人
伊東豊雄 - 流動的な空間の創造者
坂 茂 - 紙管建築で知られる社会派建築家
山本理顕 - 地域性を重視した建築理論の先駆者
妹島和世・西沢立衛(SANAA) - 透明感あふれる建築で世界を魅了
槇文彦(故人) - モダニズム建築の巨匠
磯崎新(故人) - ポストモダン建築の旗手
丹下健三(故人) - 日本建築界の礎を築いた巨匠

次世代を担う建築家たち
藤本壮介 - 「原始的な未来」を提唱する革新的建築家
石上純也 - 極限まで軽やかな建築を追求
長坂常 - リノベーションの新しい可能性を探る
前田圭介 - 地域に根ざした建築実践
国際的な建築事務所
さらに、スタジオ・ムンバイ/ビジョイ・ジェイン(インド)、Clouds Architecture Office(アメリカ)など、国際的に活躍する建築事務所も参加し、多様な建築文化の交流が実現しています。

多彩な展示内容
建築家の思考を可視化
会場では、建築家たちのドローイング、模型、動画を通じて、彼らの創作プロセスと建築哲学に触れることができます。特に印象的なのは、各建築家の初期スケッチから完成した建築物までの変遷を追える展示構成です。山本理顕氏の展示エリアでは自分の「イエ」をシュミレーションすることができます。

特別なインスタレーション
各会場では、その空間の特性を活かした特別なインスタレーションも展開されています。歴史ある寺院建築と現代建築の対話、瀬戸内海の風景と建築作品の調和など、広島ならではの体験が用意されています。



「小さな建築」プロジェクト
市内各所には、堀部安嗣、石上純也、中山英之による「小さな建築」と題したキオスクが設置され、建築をより身近に感じることができます。これらの作品は、建築の本質を小さなスケールで表現した珠玉の作品群です。

多様な楽しみ方
すべての世代に開かれた建築体験
前田さんの「前田式展示」の真骨頂は、来場者それぞれの関心や知識レベルに応じて楽しめる多層的な構成にあります。
- 親子で参加するワークショップ - 子どもたちが建築の楽しさを体験できるプログラム
- 効率よく回れるツアー - 限られた時間で見どころを押さえたい方向け
- 建築文化を切り口とした未来社会への考察 - より深く建築と社会の関係を学びたい方向け
「芸術の秋、建築の秋を存分に堪能していただけるよう、さまざまなアプローチを用意しました」と前田さん。
来場案内
入場料
鑑賞パスポート(福山・尾道共通3日間有効パスポート)
会場販売:3,000円(税込)WEB販売:2,500円(税込)高校生以下および障がい者(+介護者1名):無料
※尾道市立美術館のみ単館チケットの販売もあります。
主催・お問い合わせ
主催:一般財団法人 神原ツネイシ文化財団
詳細情報
公式ウェブサイト:https://hiroshima-architecture-exhibition.jp
Instagram:https://www.instagram.com/hiroshima_arch_exhibition/
ワークショップやイベント情報はこちらから
建築が紡ぐ未来への物語
前田尚武さんとともに巡った『ひろしま国際建築祭2025』は、単なる建築作品の展示を超えて、建築が私たちの生活や社会、そして未来にどのような影響を与えるかを深く考えさせてくれる貴重な機会でした。
「建築は時代を映す鏡であり、同時に未来を創造する力でもあります」という前田さんの言葉が、会場を後にした今も心に響いています。プリツカー賞受賞者から新進気鋭の建築家まで、多様な世代とバックグラウンドを持つ建築家たちの作品が、広島という歴史ある土地で新たな対話を生み出している様子は、まさに建築文化の豊かさを物語っています。
2025年11月30日まで開催されるこの建築祭は、建築愛好家はもちろん、建築に興味を持ったばかりの方、そして子どもたちにも等しく開かれた、稀有な文化的体験の場です。建築の展覧会によって、建築の魅力が世代を超えて伝えられていく──そんな希望に満ちた光景を、ぜひ多くの方に体験していただきたいと思います。
『ひろしま国際建築祭2025』について
広島県、福山市・尾道市の美術館や寺院、ホテルなどの名建築を舞台に、世界で活躍する建築家から未来を担う作家、総勢23組に焦点をあてた、建築の一大イベントト『ひろしま国際建築祭2025』が11月30日(日)まで開催中。
建築界のノーベル賞と呼ばれる「プリツカー建築賞」受賞者の安藤忠雄、伊東豊雄、坂 茂、山本理顕などの巨匠から藤本壮介など次世代を担う建築家まで。彼らのドローイングや模型、動画の展示や特別なインスタレーションを通じ、建築文化を切り口に、私たちの未来社会を一緒に考える機会です。
市内では堀部安嗣、石上純也、中山英之による小さな建築と題したキオスクも見られ、建築を身近に感じながら、芸術の秋、建築の秋が堪能できます。
親子で参加するワークショップから効率よく回れるツアーなど、多様な楽しみ方ができる建築祭です。
【会期】
2025年10月4日(土)- 2025年11月30日(日)(58日間)
【出展建築家・作家】
安藤忠雄、石上純也、磯崎新*、伊東豊雄、川島範久、高野ユリカ、妹島和世(SANAA)、丹下健三*、長坂常、西沢立衛(SANAA)、坂 茂、藤井厚二*、藤本壮介、前田圭介、槇文彦*、山本理顕、VUILD / 秋吉浩気、Clouds Architecture Office、けんちくセンター CoAK、スタジオ・ムンバイ/ビジョイ・ジェイン、UMA / design farm (以上、五十音順・*故人)
開催地
広島県福山市、尾道市の各会場福山/神勝寺 禅と庭のミュージアム、ふくやま美術館(ギャラリー)尾道/尾道市立美術館、まちなか文化交流館「Bank」*1、LLOVE HOUSE ONOMICHI*2、ONOMICHI U2、LOG*1:まちなか文化交流館「Bank」11月3日(月)で会期終了*2:LLOVE HOUSE ONMICHI 後期2025年11月22日(土)- 11月30日(日)
入場料
鑑賞パスポート(福山・尾道共通3日間有効パスポート)・会場販売 3,000円(税込)・WEB販売 2,500円(税込)[高校生以下および障がい者(+介護者1名)] 無料*尾道市立美術館のみ単館チケットの販売あり。
主催:一般財団法人 神原ツネイシ文化財団
ホームページ
展示の詳しい情報はこちらをご覧ください。https://hiroshima-architecture-exhibition.jp
インスタグラム
ワークショップやイベントについてはこちらをご覧ください。https://www.instagram.com/hiroshima_arch_exhibition/
ひろしま国際建築祭の会場近くには、有名建築家・アーティストの作品を同時に見ることもできます。
3年後のひろしま国際建築祭が今から楽しみです!
みなさんの旅が素敵な体験でいっぱいになりますように。

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