川崎で春を迎えよう!男性器をまつる奇祭「かなまら祭」の背景に隠されたストーリーは?
川崎市にある金山神社で毎年4月に開催される「かなまら祭」は、性別や人種、国籍を問わず、誰でも楽しめる春祭りです。鍛治と性の神をまつるこの行事の起源となった歴史的背景や、祭りの見どころを紹介します。
川崎市で行われるユニークな春祭り「かなまら祭」
川崎市で毎年4月に開催される「かなまら祭」は、子授けや夫婦和合、商売繁盛を祈願する日本の春祭りの一つです。
近年は、特に「男性器のご神体をまつる奇祭」として国内外でセンセーショナルに報じられたり、日本のLGBT関連の一大イベントとして注目を集めたりすることもあります。
でも、「かなまら祭」は、「誰もが差別されず楽しめる行事を」という真摯な願いから生まれた、神聖な行事なのです。祭りの歴史的背景や、具体的な内容を見ていきましょう。
「かなまら祭」は子授けを祈願する人たちに人気
写真提供:金山神社
「かなまら祭」は、川崎市にある若宮八幡宮の境内社(※1)、金山(かなやま)神社で開催されています。
鍛冶の守護神であると同時に性神としても信仰されている夫婦の祭神、金山比古神 (かなやまひこのかみ) と金山比売神 (かなやまひめのかみ)を奉り、子授けや夫婦和合の願いが込められた行事です。
その一方で、「かなまら祭」に参加するのは、子授けを願う夫婦だけではありません。LGBTを含む多様な性別、国籍、人種の人たちが、毎年約3万人も訪れているのです。
そうなったのは、この祭りが生まれた歴史的背景が関係しています。
※1:境内社(けいだいしゃ)……本社とは別にまつられている社。
「誰もが差別されず楽しめる祭りを」という願いから生まれた「かなまら祭」
金山神社の歴史は、江戸時代(1603~1868)までさかのぼります。
当時、川崎市は大きな街道の中にある宿場町であり、周辺には飯盛女(※2)たちが多く住んでいました。金山神社には、こうした貧しい女性たちが厄除け祈願をしに来たと言われています。
近代以降も、金山神社には、性病に悩む人が夜中にお参りをしに来ました。こうした状況を見るに見かねた、金山神社の関係者の「誰もが差別を受けず、昼間に楽しめる祭りがあれば」という思いから、「かなまら祭」は生まれたそうです。
そのため、「かなまら祭」では、性的マイノリティーや外国人を含め、誰もがお神輿のパレードなどを楽しめます。実際、3万人以上の参加者のうち約6割は海外から来た参加者だそうです。
なお、川崎市では、かつて4月の初めに「地べた祭」も行われていました。これは、土の中のタケノコが芽吹き出す頃に、タケノコの生命力を自分の身体に取り込もうと、地面に座って飲み食いするイベントでした。
この「地べた祭」も、「かなまら祭」の起源の一つとされています。
※2:飯盛女(めしもりおんな)……宿場町で働いていた娼婦。
3つのお神輿が登場する「かなまら祭」のパレード
写真提供:金山神社
祭り当日は、社殿の前でお参りしたり、境内にある資料館に入ったり、屋台で販売される性器をモチーフにしたお土産を購入したりできます。
金山神社の資料館には、世界中の性神に関連する絵や彫刻、資料が閲覧できます。資料館を見学すると、男性器をまつる「かなまら祭」以外にも、性にまつわるイベントは世界中にあることが分かります。
祭りの目玉は、12時から始まるパレード。ここでは、男性器を模したご神体を収めた3つの神輿が登場します。
写真提供:金山神社
最初に登場するのは、屋根の付いたお神輿の中に男性器を模した黒いご神体を収めた「かなまら舟神輿(ふなみこし)」。
写真提供:金山神社
次に登場するのは、男性器の形をしたピンク色のご神体を載せた「エリザベス神輿」。もともと、東京にある女装クラブ「エリザベス会館」が寄贈したお神輿で、当時はエリザベス会館の会員だけが担いでいました。
現在は、地元のお神輿会の会員が担ぎますが、その際、男性が女装し、女性が男装するとのこと。
最後に登場するのは、大きな四角い屋根の下に男性器をかたどった木製のご神体を収めた「かなまら大神輿」。三つのお神輿のうち、もっとも古いものです。
お神輿のパレードはとても盛り上がります。マナーを守りながら楽しんでください。
なお、お酒も振る舞われますが、参加者は祭りが住宅地で行なわれることを忘れず、節度ある行動をお願いします。
川崎大師駅から徒歩1分で行ける「かなまら祭」の会場
東京から「かなまら祭」を見に行く場合、まず品川駅に向かいます。品川駅から京急本線に乗り換えて京急川崎駅に行き、次に京急大師線に乗り換えて川崎大師駅で降ります。
川崎大師駅から金山神社までは徒歩1分。お祭りの日は多くの人が通りを埋め尽くすので、道に迷うことはありません。
2018年の「かなまら祭」は、4月1日の日曜日、午前11:00~16:45にかけて開催される予定です。
金山神社は住宅街の中にあるため、祭り当日は混雑が見込まれます。できれば12時前に行って、神輿のパレードを見る場所を確保しましょう。
「誰もが楽しめるイベント」が「かなまら祭」の精神。常識とマナーを守って、他の参加者とみんなで楽しんでくださいね!
かなまら祭りにあわせて、川崎の見どころを満喫したい方は、次の記事もご覧ください:「かなまら祭」と一緒に前日祭や川崎市の観光スポットを巡ろう!
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