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最古の歌集「万葉集」の頃と変わらぬ和倉の風景〜時がとまったかのように穏やかな海〜
和倉温泉の目の前に広がる海は、 日本最古の歌集「万葉集」にも、和倉を舞台とした詩が作られています。当時からほとんど変わらない風景が残り、万葉集の時代以降の詩人も和倉温泉を訪れ、この景色を題材に作品を作っています。ぜひ、あなたもこの美しい海を眺めて歌を作ってみてはいかがでしょう?
世界中に古くから詩(ポエム)があるように、日本にも1200年以上昔から「和歌」という詩があります。その代表的な作品集が「万葉集(Manyou_shu)」。日本で最古にして最大の叙情詩集です。万(man)は多いという意味で使われ、葉(you)とは言葉のこと。階級を超えたさまざまな人たちが作った4500以上の作品が収められています。
1200年以上前の詩に残る和倉の風景
その歌集の中で、スター的存在の一人が大伴家持(おおとものやかもち)。彼は473もの詩を万葉集に収めています。この歌集を編纂した人物ともいわれています。家持は、748年に29歳の若さで和倉温泉のある能登をはじめとする地域一帯を治める役人として、当時の都、奈良からやってきました。詩好きゆえ、当然、能登でもいろいろな和歌を残しています。そのうちのひとつが次のもの。
香島より(かしまより)熊来をさして(くまきをさして)漕ぐ船の(こぐふねの)楫取る間なく(かぢとるまなく)都し思ほゆ(みやこしおもほゆ)
万葉集の詩は古い言葉のため、今は日本人でも細かい意味はわからない人が多いです。学者や研究家によると、この和歌は「香嶋から熊来を目指す船の、船頭が休む間もなく楫を漕ぐように、私は絶え間なく都を思う」という意味のようです。また、当時の都・奈良から遠く離れた能登にきて、都の恋人を想ってつくった和歌ではないかと言われています。
穏やかな和倉の海が生んだ詩の情緒
和倉温泉にも大伴家持が詠んだ和歌の碑がある。
和歌の舞台は七尾湾。香嶋は、和倉温泉のある七尾市にあった昔々の港町です。そこから限りなく隣町といっていい熊来という場所に行く際に詠んだものです。当時は、隣町に行くのに陸路よりも海を渡ったほうが楽だったのでしょう。でも、それはいまの七尾湾を眺めていてもわかります。とてもとても静かなんです。だいいち、海が静かでなければこんなロマンチックな歌はできないでしょう? 実際、七尾湾は内海で湾の入り口が狭く、風の影響も受けにくいため1年中穏やか。海に囲まれた日本の中でも数少ない静かな海なのです。特に朝凪(あさなぎ)は最高の瞬間。水面が鏡のようになり、波風たたぬ様子はまるで時が止まったかのよう。とても幻想的です。
そう、和倉温泉の目の前に広がる海は、万葉集が作られたはるか昔から変わらない風景です。万葉集の時代以降の詩人たちも数多く和倉温泉を訪れ、この景色を題材に作品を作っています。ぜひ、あなたもこの美しい海を眺めて歌を作ってみてはいかがでしょう?
なまこは税金だった!?
もうひとつ、和倉温泉一帯には、昔から変わらぬものがあります。それは七尾湾でとれる「なまこ」。大伴家持の時代には大変貴重な食材として宮廷に献上されていました。また、当時は租税として税として収める貴重な産物でした。大伴家持もきっと食べていたに違いありません。
見た目が独特な生き物ですが、コリコリした食感で日本では料理にもだされます。なまこを塩水につけて乾燥させた「いりこ」や、腸を塩漬けにした「このわた」、卵巣を乾燥させた「くちこ」などがあり、ちょっとしょっぱいけれど、うまみがあってとても美味しいものです。日本酒ととても相性がよく、お酒を呑みながらちょっとずつ食べると、器の中のお酒が七尾の海のように思えてきます。
なまこは中国で大変な人気。高級食材で知られ、ここ和倉温泉のお店で買う人も多いとか。ほかにもなんと乾燥なまこを混ぜてあるという甘くて美味しいプリンもあってびっくり!なまこって見た目はいけてないけれど、とてもおいしい食材なんです。和倉温泉のお土産にぜひ!
和倉温泉全般に関するお問い合わせは和倉温泉観光協会へ
住所:石川県七尾市和倉町2-13-1
電話:0767-62-1555
メール:info@wakura.jp
営業時間:8:30〜17:30
定休日:年中無休