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お茶を買うなら専門店で!日本茶インストラクターがいる「茶匠おくむら園」を訪問
味わい豊かな日本茶に出会いたい方は、数多くの茶葉がそろっているお茶の専門店に行ってみましょう。東京にある「茶匠おくむら園」では、日本茶インストラクターが新鮮でおいしいお茶を淹れるためのワークショップも開催しています。記事では専門店ならではの日本茶の楽しみ方を紹介します。
おいしい日本茶に出会うために
みなさんは、日本茶をどこで購入しますか?
1袋100グラムで販売されているスーパーのお茶を選ぶ方もいれば、旅先のおみやげ店で購入する方、オンラインで注文する方もいるでしょう。
日本ではお茶を日常的に楽しむ方が多く、専門店では多くの常連を抱えているそうです。しかし「専門店で買うと何が違うの?」と思う方もいるでしょう。
本記事では実際に専門店を訪ね、専門店だからこそ体験できるお茶の楽しみ方と買い方を紹介します。
今回取材で訪れたのは、日本茶インストラクターがいる東京のお茶専門店「茶匠おくむら園」です。
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東京の商店街にたたずむ「茶匠おくむら園」
茶匠おくむら園は、東京の北部・足立区の関原三丁目商店街にあります。茶匠おくむら園の歴史は、なんと大正時代までさかのぼるのだとか。
茶匠おくむら園ではもともと、静岡県森町で栽培された日本茶のみを扱っていました。しかし近年では、森町のお茶のほかに鹿児島茶や狭山茶も販売しています。
「選ぶ楽しみをお客さんにも体験してもらいたくて、取り扱うお茶の種類を増やしました」と、店長の奥村さん。
奥村さんは日本茶インストラクターという資格をもっています。この資格は、おいしいお茶の淹れ方はもちろん、各種お茶の製造方法や各地域のお茶の特徴、お茶にまつわる文化や歴史など、お茶に関する幅広い知識をもつ方に与えられます。
取材では、江戸時代によく使われていた「茶壷」について、奥村さんからお話を聞きしました。
日本の歴史が詰まった「茶壷」
茶匠おくむら園の売店カウンターの裏には、茶壷と呼ばれる陶器が並んでいます。昔の日本では、お茶の配送や保管は茶壷が使われていたそう。とくに茶壷が江戸幕府へと運ばれる工程は、「茶壷道中」と呼ばれていました。
茶壷道中で運ばれる茶葉は、4月~5月の一番新鮮な時期に摘まれたもの。京都宇治や静岡といった、お茶の産地で有名な場所の茶葉が使われていました。茶壷に茶葉を詰めたら、まずは富士山のふもとなど気候の涼しい場所へと運ばれ保管されます。これは冷気がお茶の風味を増すと思われていたからです。
そして、保管している場所から茶壷を運ぶため、人々が行列を組み、江戸幕府のある江戸(現在の東京)へと歩いていくのです。
山梨県の都留市や長野県塩尻市では、当時の茶壷道中を再現したお祭りが行われています。
最高位の将軍家に献上する貴重な茶葉は、和紙の筒に大切に包まれ、茶壷の真ん中に置かれていました。そのほかの茶葉は、将軍家の茶葉の周りにクッションのように詰めてあったそうです。
ちなみに、茶壷道中のときの庶民の様子は歌となり、童謡となって今も残っています。
専門店でお茶を買う5つのメリット
お茶にまつわる歴史の話の次は、専門店でお茶を買うべき5つのメリットを紹介します。
1. 自分の好みや飲む場面を考えてお茶が選べる
3度の食事とともに、お客さんが来る特別なときに、または仕事に集中したいときに……。専門店では、お茶の種類や産地の特徴を考慮して、それぞれの場面にぴったり合うお茶をオススメしてくれます。
自分好みの、おいしいお茶に出合える絶好の機会なのです。
2. おいしい淹れ方が学べる
「【西新井】心を込めたお茶の淹れ方が学べる日本茶ワークショップ」より
売店の奥には茶房スペースがあり、お茶やお菓子が気軽に楽しめます。また、お茶の淹れ方が学べるワークショップなども開かれています。
日本茶には種類によって、適したお湯の温度や蒸し時間があります。購入したお茶を最大限に楽しむために、淹れ方を教えてもらいましょう。時間をかけずにすぐ飲みたい方は、簡単に淹れられるお茶もあるので聞いてみてくださいね。
3. お茶の新鮮さを保つため、小分けの袋に入れてもらえる
茶葉の袋を開封し空気に触れる時間が長くなると、新鮮さが失われていきます。しかし、100グラムもの量をすぐに使い切れる人は少ないでしょう。
茶匠おくむら園では、小さい袋に茶葉を分けて提供してくれます。これなら新鮮な状態でストックしておけて、味わい豊かなお茶がいつでも楽しめます。
小分けの袋は、上品な和風のデザインが2種類。お店のオリジナルです。小分けをするときは、お茶2~3杯分など希望の量を聞き、グラム数を計って袋に入れ、密封してくれます。友達へのおみやげにも便利ですね!
4. お茶を楽しむアイテムも購入できる
本格的に日本茶を淹れたい方にとって、急須は欠かせない存在。さまざまな地域から取り寄せられた品物の中には、お手ごろ価格で日常的に使いやすいものや、プレゼントにしたくなる高級なものなどさまざま。
茶葉を保管する茶筒にも注目です。 華やかな和柄やチェック柄など、デザインも豊富にあり、大きさや形も選べます。道具をそろえたら、毎日飲むお茶がさらに楽しみになるでしょう!
5. 季節限定のお茶に出合える!
専門店では定番の茶葉のほかに、季節限定の茶葉も販売されています。春なら桜の葉が入った爽やかな茶葉、秋は芋や栗のお菓子に相性のよい茶葉など、訪れるたびに新しい種類の茶葉に出合えます。
プレゼント用にぴったりの、数種類の茶葉が入ったギフトボックスもあります。気品ある和柄のパッケージに包まれた味わい豊かなお茶は、きっと喜んでもらえるでしょう。
日本茶を楽しむなら専門店へ
驚くほどおいしいお茶を味わいたい方は、多くの種類を試してみるのが一番。専門店を訪れて、茶葉の栽培方法や産地の違いを聞き、自分に合ったお茶を選んでみませんか。
専門店で日本茶のことをたくさん知ったら、お茶の楽しみ方もきっと広がります。
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In cooperation with 茶匠おくむら園
2016年よりMATCHA編集者。 能楽をはじめとする日本の舞台芸術に魅せられて来日。 そして、日本文化について日々学べるすべてが私をここに留まらせています。
2012年からいけばな(池坊)と茶道(表千家)を習っています。 勤務時間外に書いた短編小説や劇評は総合文学ウェブメディア「文学金魚」にてお読みいただけます。