【千葉】江戸時代から続くいわしの町・九十九里で、グルメと観光を楽しむ旅!
東京から車に乗れば2時間弱で行ける九十九里町は、江戸時代から栄えてきたいわしの町。老舗の加工会社「カネヨン水産」のいわしのごま漬けや、「海の駅 九十九里」のいわし料理、地域といわしの繋がりを学べる「いわし資料館」など、人気グルメやスポットを紹介します。
黒潮がもたらした恵み!いわし漁で栄えた九十九里町
東京から車に乗って1時間40分ほどで行ける九十九里町。日帰り観光に便利なこの町は、「いわしの町」として知られています。
その起源は江戸時代初期。九十九里浜に漂流した紀州(現在の和歌山県)の漁師が、いわし漁の方法を伝えたことが始まりといわれています。
九十九里の沖合は、水温や塩分濃度がいわしにとって最適な黒潮(暖流)が流れており、餌になるプランクトンも豊富のため、絶好のいわしの漁場です。
さらに、江戸時代には、いわしは食用だけでなく農業肥料としても求められました。こうした中、九十九里ではいわし漁が盛んになり、江戸時代中期には日本全体の漁獲量の3分の1を占め、漁民の数も数万人と、日本一の規模となりました。
現在でも、九十九里町を含む千葉県は、日本有数のいわしの漁獲量を誇っています。
100年の歴史を通じていわしのおいしさを追求!「カネヨン水産」
そんな九十九里町のいわしの魅力を探るため、今回は地元の水産加工の老舗・有限会社カネヨン水産を訪ねました。
震災からの復活のカギは、味へのこだわり
「冷蔵庫がない時代から、いわしの煮干しやみりん干し、綿栽培の肥料となる干鰯(ほしか)などを作ってきました」。
そう話すのは、1922年の創業からいわし加工を手掛けてきたカネヨン水産の代表取締役社長、古川克俊(ふるかわ かつとし)さんです。
通販の実施や、新商品の企画など、柔軟なアイデアで会社を発展させてきた古川さん。
しかし、2011年に発生した東日本大震災により、同社は大きな被害を受けます。「津波の被害により大量の商品を破棄することになったうえ、原子力発電所の事故による風評被害にも悩まされました」。
それから10年かけて、取引は徐々に回復。現在では生産が追いつかず、新たな注文を断らざるを得ないほど、同社の商品は人気となっています。
その背景にあるのは、創業時から変わらない「味へのこだわり」。
「鮮度や脂の質の良い原料を使い、その味わいが活きるように加工しています。例えば、「いわしのみりん干し」は、創業当初からずっと継ぎ足している特製のタレを使っているんですよ」。
未来を見据えた挑戦
近年、いわしの漁獲量が減ってきたり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い観光客が少なくなり、販売量も減ってしまったりするするなど、先行きが不透明な状況が続いています。
そんな中、カネヨン水産は2019年に新工場の建設を開始。2021年にはいわし以外の魚の加工ができる機器も導入しました。それは、水産業の将来を見据えた決断です。
「震災前に100社以上あった地域の水産会社が、現在では半分以下になりました。弊社だけでなく、この町の水産業を未来へ残すためには、挑戦が欠かせません。いわしを大切にしつつ、新しい商品づくりにも挑んでいきます」。
カネヨン水産のオススメ商品
いわしには、カタクチイワシやマイワシといった種類があります。カネヨン水産では、それらを活用したさまざまな商品を作っています。
家庭で愛されている郷土料理「いわしのごま漬」
「いわしのごま漬け」は、「いわしのみりん干し」と並ぶカネヨン水産の看板商品。千葉ブランド水産物認定品の第一号にも認定されています。
「この辺りに住んでいて、この料理を知らない人はいません」。そう古川さんが言い切るほど、昔から正月といった行事や、日々の食卓でも食べられてきた郷土料理です。「家庭ごとに好みの味付けがあります。わが家ではよく祖母が作ってくれました」。
カネヨン水産でかつて百貨店のイベントでごま漬けを出品したところ、好評だったことから本格的に商品化されるようになりました。現在では九十九里のおみやげとしても人気です。
原料は10~2月にかけて九十九里沖で獲れる、旬のカタクチイワシ。これを丁寧に1匹ずつ下処理し、独自の合わせ酢に漬け込んだ後、煎った黒ゴマをたっぷりとまぶします。
カタクチイワシは骨まで柔らかく、さっぱりとした酢加減とゴマの香ばしさが絶妙で、添えられた生姜、唐辛子とも相性バッチリ! 飽きのこないおいしさで、つい食べ過ぎてしまいそうです。
「どんな酒にも合いますし、押し寿司のようにご飯の上にのせて食べる人も多いですよ」と古川さん。
なお、カタクチイワシは、カルシウムやビタミンB2、ビタミンD、コレステロールや中性脂肪を減らす働きのある不飽和脂肪酸が豊富です。そしてゴマのビタミンEには、それらの成分の吸収を助ける作用があります。
カタクチイワシとゴマを組み合わせた本商品は、からだにも優しい逸品なのです。
【手作り】九十九里いわしのごま漬け(500g)(酢漬け) 1,188円 (税込)
郷土料理をヘルシーにアレンジした「真いわしの野菜漬」
「いわしのごま漬け」をヒントに生まれた商品が「真いわしの野菜漬」です。
九十九里の沖合で、5~10月の旬の時期に獲ったマイワシを3枚に下ろし、大根や人参と甘酢に漬け込んでいます。
「真いわしの野菜漬」は「いわしのごま漬け」と比べて、酸味がまろやか。健康を意識した一品で、お酒の肴やご飯のおかずによく合います。また紅白の鮮やかな見た目は、ホームパーティーの料理や、手巻き寿司にもぴったりです。
真いわしの野菜漬800g 1,728円 (税込)
カネヨン水産の商品を自宅で
今回ご紹介した商品や、「いわしのみりん干し」などは、工場併設の直売所のほか、オンラインショップからも購入可能。九十九里町のいわしのおいしさを、ぜひご自宅でお楽しみください。
学んで、食べて、いわし三昧!「海の駅 九十九里」
九十九里町のおみやげや海鮮を求めて「海の駅 九十九里」を訪れました。
入り口では、大きな水槽に入った3,000匹のいわしが出迎えてくれます!
2F建ての施設には、目の前の漁港で水揚げされた魚介が並ぶ鮮魚直売コーナーがあるほか、いわしをはじめとする水産加工品、千葉の名産品や地酒まで、地域の物産品が勢ぞろい。
日本ではここにしかない青い丸形の郵便ポストは、SNS映えする撮影スポットです!
この施設で見逃せないのが「いわし資料館」です。
江戸時代から現在まで続く九十九里町のいわし漁の歴史や漁法の変遷などを、パネル・写真などで紹介。実際に使用されていた漁具や漁船の模型も展示されており、いわしと地域のつながりを知ることができます。
2Fにあるのは、ご当地の食材が味わえるフードコート。今回は海を望むテラス席で、「葉武里(はぶり)」の「いわし三昧」をいただきました。
九十九里町産の新鮮ないわしを使った、多彩な料理がご飯の上にずらりと並んだ「いわし三昧」。
脂がたっぷりとのったいわしを、かき揚げや天ぷら、刺身といった定番だけでなく、蒲焼きや、なめろう(※1)のような珍しい一品にも調理したボリューム満点のメニューですが、女性でもペロリと食べられるおいしさです。
※1:なめろう……千葉県北部にある房総半島の郷土料理。アジやいわし、サンマなどの魚を味噌、ネギなどと一緒に、粘り気が出るまで包丁で叩いて作る。
犬吠埼灯台や銚子鉄道などの観光スポットも
犬吠埼灯台 Photo by Pixta
白い砂浜が美しい作田海岸や、サーファーが集まる片貝中央海岸などがあり、夏には大勢の人で賑わう九十九里町。その近くにある飲食店では、いわしをはじめ、荒波にもまれて肉厚に育ったハマグリなど、一年を通してさまざまな旬の海産物が堪能できます。
また、九十九里町から車で1時間30分ほどの距離には、人気観光スポット・銚子があります。
年間水揚げ量が日本一の銚子漁港や、山頂・離島以外に日本で一番早く日の出が見られる場所として知られる犬吠埼灯台、レトロな列車と車窓からの風景が話題の銚子鉄道などへ足を伸ばすのもオススメですよ!
In cooperation with カネヨン水産
Sponsored by Reconstruction fishery processing industry market recovery promotion center