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【姫路市】革の聖地・姫路が生んだレザーブランド「TAANNERR」
創業110年 を超える老舗皮革メーカーで、日本の製革業界を姫路の地から支えている株式会社山陽。「姫路は革の聖地であること」「革はサステナブルな素材であること」を多くの人に知ってもらいたいと、姫路発のレザーアイテムブランド『TAANNERR(タァンネリル)』を 立ち上げ、革製品の魅力を伝えています。『TAANNERR』に込めた株式会社山陽の想いと、革製品が持つ魅力を紹介しましょう。
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目次
- 「株式会社山陽」創業110年を超えるタンナー
- 山陽が伝えたい2つのこと
- 姫路は「革の聖地」
- 革はサステナブルな素材
- 姫路発のレザーアイテムブランド「TAANNERR」
- 「TAANNERR」の購入方法
- 知っトク情報
- 基本情報
「株式会社山陽」創業110年を超えるタンナー
株式会社山陽(以下、山陽)は、1905年創業の姫路製革所を引き継ぐ形で、1911(明治44)年に現在の地(姫路市東郷町43)で創業。タンナー(皮革メーカー)として、国内で最大規模を持つ、皮革産業界のリーディングカンパニーです。
タンナーとは「鞣(なめ)し」を行う業者のことをいいます。「なめし」とは、皮が持っている機能性を永く維持するために「なめし剤」を使って皮のコラーゲンに化学反応を起こさせることです。
この「なめし」には、いくつか方法があり、山陽は「クロムなめし」「タンニンなめし」「白革なめし」という3種類のなめしが行える国内唯一のタンナーです。
なかでも「タンニンなめし」は、古来から行われている樹木(現在はミモザ)に含まれる天然の植物性成分を使ったなめし方法になります。時間と手間がかかるものの、耐久性に優れ型崩れしにくい「ヌメ革」と呼ぶ素材が出来上がります。革ならではの表情が魅力で、時と共に使う人により異なる風合いの変化が楽しめる素材です。
ヌメ革の製法は「ドラムによるなめし」と「ピット槽によるなめし」があります。
2つの製法の違いは、タンニンの浸透度になります。ピット槽によるタンニンなめしは、ひと月ほどかけて、ゆっくりとなめし剤の成分を革に染み込ませるため、繊維密度が高くなります。そのため、堅牢な革となり、コバ(裁断面)がとても綺麗で、磨きのみで仕上げることができます。
ピット槽によりなめされたヌメ革は「本物のヌメ革」、本ヌメ革と呼ばれます。山陽には国内でも希少な大規模ピット槽があり、最高級のピットヌメ革(本ヌメ革)を生産しています。
山陽の最大の強みは、原料となる原皮(食肉の皮)から製品(革)になるまで、なめしを含む20を越える工程すべてを自社工場で一貫生産ができる設備を持っていること。まさに「皮」が極上の「革」に生まれ変わる全てを手掛ける、国内でも数少ないタンナーなのです。
山陽が伝えたい2つのこと
革は私たちの身近にあり、靴やバッグ、イスなどのインテリア、スポーツ用品、自動車の内装品、アウトドア用品など多くの場面に使われています。にもかかわらず、意外と知られていないことがあります。
それは、大きく2つ。ひとつは、姫路は「革の聖地」であること。
もうひとつは「革はサステナブルな素材」だということです。
姫路は「革の聖地」
姫路は「革の聖地」。この事を知らない人が多いようです。
実は、牛革の国内生産量の約7割を姫路(龍野地域含む)で占めているのです。聖地と呼ぶ理由は、1千年以上も昔の書物に「皮革の産地」として記されている歴史にあります。
発祥については諸説ありますが、いずれも伝説として語られるほど古いものばかりです。戦国時代には、甲胄や鎧、馬具などに盛んに用いられ、江戸時代は姫路藩の財政を支える主要産業のひとつでもありました。
姫路が産地となった理由は、当時の製法として不可欠だった市川の穏やかな水の流れと天日干しに適した気候、広い河原、原料となる牛の皮や塩が入手しやすく、京都や大阪に近い地勢にあったからといわれています。
現在も姫路市には約100社もの皮革関連企業があり、生産量だけではなく品質においても、日本を代表する革の産地になっています。
革はサステナブルな素材
昨今は、新たな技術や新しい素材などに目がいきがちですが、革は昔から作られているもの。しかも、食肉用の牛からお肉をいただくときに出る皮のみを活用しています。動物の命を革製品のためだけにいただくことはなく、100%が食肉の副産物。廃棄されるものをアップサイクルしたものです。せっかくいただいた命。無駄なく使えるものは、ありがたく使わせてもらう感謝の心がこもっています。
革は生き物からのGIFT(贈り物)なのです。
姫路発のレザーアイテムブランド「TAANNERR」
姫路が革の聖地だということ。そして、革はサステナブルな素材であること。この事実を多くの人に知ってもらいたい。だが、素材メーカーから消費者に直接声を届けるのは難しいと考え、直接手元に届く最終商品を姫路から生み出そうと決意したのが山陽です。
2021年に10代目代表取締役社長に就任した戸田健一氏が呼びかけ(当時は社長就任前)、これに応じた若手社員らが、新規事業とは何か、会社の強みは何かを考え、2022年10月に誕生したのが、レザーアイテムブランド「TAANNERR(タァンネリル)」です。(“タァン”を伸ばし気味で強く発音)
「TAANNERR」は、タンナーの英語表記「TANNER」をベースに文字を重ね、ロゴを繋ぎ、“時を超えて続いて行くもの”という思いを込めた造語です。
最大の特徴は、商品づくりに対する考え方。一般的な商品開発は、商品コンセプトが先にあって素材を選ぶもの。山陽が大事にしたのは「主役は革である」ということ。
「こだわり抜いた革の良さを最大限に生かす商品開発」という信念のもと、革を最も知り尽くした山陽だからできる、いい素材と職人の技で一番適した状態に仕上げた革から生まれたブランドです。
「TAANNERR」の第1弾プロダクトは「革好きのための革製品」。素材は最高級キップ(子牛と成牛の中間にあたる牛の革)や希少なピットヌメ革を使うと決め、開発が行われました。
ビジネスシーンに上品な印象を与え、永く愛用できる高級感にあふれる商品ラインナップになっています。
山陽の技術によって生まれた最高級革に厳選した金具や使用糸、洗練されたシンプルなデザイン、バッグ類の縫製は全国に7人しかない日本鞄ハンドバッグ協会技術認定1級保持者に依頼、小物類は豊岡の職人に依頼するなど、商品を永く愛してもらいたいという願いが込められています。
1つのアイテムとしてみれば高価に感じたとしても、価格以上の素材と技術が注ぎ込まれた商品に、革の専門バイヤーも驚く仕上がりになっています。
実際に手に取ると、革に詳しくない者でもわかる質感。堅牢でありながらも重いわけではない。何よりピットヌメ革の気品ある美しさと内装に使っている最高級カーフの肌触りに感動すら覚えます。
本革には、牛それぞれの個性が宿っているため、ひとつとして同じ商品がないと聞けば、永く使い続けることの大切さを感じます。
革は、使い続けることでエイジング(経年変化)が楽しめ、育てる喜びを感じることができる素材です。全ての商品にケアクリームとクロスが付いています。
全ては、サステナブルな素材である牛革を使った、姫路生まれの商品を永く愛して欲しいという山陽の思いが詰まっています。
「TAANNERR」の購入方法
「TAANNERR」は、山陽のオンラインショップの他、ローカルプライムの「買い物」ページからも購入できます。
第1弾プロダクトでは、ビジネスシーンを意識した商品ラインナップになっているので、父の日やお祝い事のプレゼントに喜ばれるはずです。もちろん、自分へのご褒美にも。商品を見て触れてから購入を考えたい人は、公式サイトやSNSを確認ください。
不定期ですがポップアップ店舗やデパートの催し物など、出店情報があります。月に1度ですが、工場見学および革の説明会、即売会を行う「山陽レザー教室」が開かれています。山陽ってどんな会社だろうと気になる人から、革について知りたい人、実際に使っていて聞きたいことがある人まで、幅広く受け付けています。
TAANNERRも展示しており、直接手に取り確認し、気に入ればその場で購入することもできます。開催日や申込方法は、公式サイトで確認ください。
(ライター 塚本隆司)
※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
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基本情報
株式会社山陽
ブランド名:TAANNERR(タァンネリル)
住所:兵庫県姫路市東郷町43番地
電話番号:079-281-2141
公式サイトはこちら
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