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日本のことば事典「出汁とつゆ」
訪日旅行客向けに、難しい日本語や日本ならではの用語について解説します。今回は、和食には欠かすことのできない「出汁(だし)」と「つゆ」についての解説です。
「出汁(だし)」とは、食品を煮て出した汁のことで、日本料理の味の基本となります。日本の出汁は、食品由来のうまみ(※)成分や香りが水の方へと溶け出すと、あとの余分な味や生臭みが汁の方へ出てこないうちに抽出をやめてしまうことが、大きな特徴です。
※うまみ……うまみは日本で発見された新しい味覚の概念。出汁の主成分のこと。
「昆布」と「鰹節」が主な材料
日本で「出汁」というと、昆布(コンブ)と鰹節(かつおぶし)が主に使われています。
「昆布出汁」は、グルタミン酸といううまみ成分が含まれ、乾燥させた昆布を数時間水に浸して出汁をとります。
「鰹節出汁」は、カツオの肉を加熱してから乾燥させて薫製するなどし干し固めた鰹節を削り機で削り沸騰直前の湯に入れて、ひと煮立ちさせてから火を止め、漉して作ります。うまみの主成分は「イノシン酸」です。
「昆布出汁」と「鰹節出汁」の両方を使った「合わせ出汁」は、2つのうまみ成分の相乗効果で大変おいしくなり、煮物や汁物など、さまざまな和食に広く使われています。
このほか、小イワシなどを煮て干した「煮干(にぼし)」や、シイタケを乾燥させた「干しシイタケ」なども、日本独特の出汁の材料です。
「出汁」に調味料を加えれば「つゆ」
出汁をベースにして、しょうゆ、みりん、日本酒、砂糖などの調味料で味つけしたものを「つゆ」と呼びます。それぞれの配合具合を変えることでいろんな料理に使われます。
うどんやそば、そうめんなどのめん料理に使うものは「めんつゆ」、鍋料理に使うものは「鍋つゆ」と呼ばれます。「出汁」だけでは、うまみはあっても味はついていません。「つゆ」になると味がつき、見た目の色も濃くなります。
「暮らし上手」×MATCHA 料理上手の晩ごはん「冷やしきつねうどん」より
「出汁」も「つゆ」も、ひと昔前までは各家庭で手作りされていたものですが、現在では、粉末タイプや液体タイプなどの市販品を利用する人も増えています。お気に入りの味を見つけて、おみやげにいかがですか。