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日本のことば事典「大根おろし」
焼き魚にもお蕎麦にもついてくる、日本料理に欠かせない白いふわふわとした雪のような「大根おろし」。料理の味を引き立たせるだけでなく、「大根おろしに医者いらず」と言われるほど体にもよい大根おろしについて解説します。
大根おろしって何?
大根おろしは大根をすりおろした食品で、爽やかな辛味とほのかな甘味が特徴です。日本では焼き魚料理などを食べる際に一緒に提供されます。
多くの場合、メニューの食味を向上させ食欲を掻き立てる薬味の一種として使用されます。
本記事ではそんな大根おろしの味わい方や、よく使われるメニュー、自分で大根おろしを作る方法などを紹介します。
大根おろしはどうやって食べる?
訪日観光客の方が大根おろしに出会うのは、定食屋などで焼き魚料理を注文した時、あるいは天ぷら料理を注文した時でしょう。
大根おろしはあくまでも薬味なので、そのまま食べることはありません。メインのおかずと一緒に食べるか、他の調味料に混ぜて食べます。
たとえば焼き魚を食べる場合は、ほぐした魚の身と大根おろしを一緒に箸で摘んで食べてみてください。魚の旨味に大根おろしの辛味が加わり、すっきりとした味わいになります。また、大根おろしに醤油を少しだけ垂らしてから、魚と一緒に食べるのもオススメです。
天ぷらと一緒に提供された大根おろしは、天ぷらに直接のせるのではなく天ぷらのつけツユに混ぜて使います。こちらもやはり大根おろしの爽やかな味わいが、天ぷらのツユの旨味を引き立ててくれるのです。
おいしさだけではない大根おろしの力
生の大根にはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化を助ける酵素が含まれていますが、酵素は熱に弱いので、生で食べることによってその力を発揮します。
脂っこい揚げ物や青魚に大根おろしがついているのはとても理にかなった食べ方で、さっぱりおいしく食べられるだけでなく、消化もよくしてくれるのです。
大根おろしを使ったその他の料理
大根おろしをふんだんに使った煮物や鍋は、その様子が雨と雪がまざって降る「みぞれ(Rain and snow mixed)」にみえることから、「みぞれ煮」や「みぞれ鍋」と呼ばれ、大根おろしを使った和え物も「みぞれ和え」と呼ばれます。
また、「おろしそば」や「おろしうどん」は、そばやうどんに大根おろしをたっぷりかけていただきます。薬味としては焼き魚だけでなく和風ハンバーグや和風ステーキ、刺身などにも用いられます。
おいしい大根おろしを作ってみよう!
大根おろしの味が気に入った方は、自宅でも大根おろし作りにチャレンジしてみましょう。作り方は簡単。卸し金(おろしがね)と呼ばれる道具ですりおろすか、フードプロセッサーですりつぶせばOKです。
卸し金は日本の大型スーパーやホームセンターで購入してください。合羽橋など調理器具の専門街で購入するのもよいでしょう。また、チーズ用のおろし器でも代用できます。
大根おろしの味は、大根のどの部分を使うか、どのようにすりおろすか、また水気をどのくらい切るかで変わってきます。
日本では昔から「怒りながら大根をおろすと辛くなる」と言われていますが、辛い大根おろしがお好みでしたらおろし器に対して直角に、力を込めてすりおろしてください。
逆に、甘い大根おろしがよい場合は、大根の側面からやさしく円を描くようにすりおろすとよいでしょう。
大根をすりおろすと、かなりの汁が出ます。そのまま使うと料理の味が薄くなってしまいますし、汁気を取りすぎればパサパサしておいしくありません。ざるに入れて手の裏で押すように搾り、指でつまんで汁が少しぽたぽたと落ちるくらいが丁度よいでしょう。
また、おろし器には目が細かいものと粗いものがあって、目が細かいものを使うとふわふわとした食感に、目が粗いものを使うとシャキシャキとしたものになります。
ふわふわとした大根おろしは淡白な味の卵焼きやそうめんに、シャキシャキとしたものは焼き魚にも合いますし、そのままサラダにしてもおいしいですよ。
大根おろしは、すりおろしてから時間が経つと臭みが出るので、おいしいうちに食べてくださいね。
日本への訪日外国人の方が、もっと増えますように!