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日本のことば事典「おでん」
今や日本の食卓になくてはならない煮込み料理「おでん」。寒い冬はもちろん、冷やしおでんならば夏でもおいしく食べられます。日本各地で手軽な外食として親しまれつつ、家庭料理の定番へと進化してきたおでんの魅力を、本記事でご紹介します。
おでんってどんな料理?
おでんとは、日本の煮込み料理の一種。
平安時代に登場した「豆腐田楽」の"田楽"に「お」をつけ、おでんと呼ばれるようになりました。初めは縦長に切った豆腐に竹串を指して塩を振ったシンプルな焼き物料理だったそうです。
時代を経て具材に味噌を塗ったり、イモなど豆腐以外の具材を使うようになったりと、「田楽=おでん」は変化を続けます。
現在のような煮込みおでんの形になったのは江戸時代末期のこと。その後は、全国に広まり地域差が生まれるまでになりました。
1940年代ごろからは家庭でも作られるようになり、好きな具材を鍋に入れて煮るだけという手軽さで今も愛されています。
おでんの味と種類
おでんの味つけは大きく分けて2つ、昆布だしに薄口醤油の関西風とカツオだしに濃口醤油の関東風です。日本の西の方では関西風が、東の方では関東風が作られる傾向にあります。
なお、東西の境目の名古屋市周辺では、味噌で煮込むおでんが定番となっています。
おでんでよく使われる具材とは?
おでんの具材は「種もの」と呼ばれ、主に大根やじゃがいもなどの根菜類、玉子・こんにゃくといった人気の高い定番種、そして魚のすり身で作られたちくわやさつま揚げなどの「練りもの」があります。
特に練りものの種類はバラエティに富んでおり、ごぼう巻やイカ・エビ巻、うずら巻やウインナー巻などいろいろな具材をすり身で巻き込んだ「○○巻」も増えています。
また地域ならではの種ものもあります。例えば東京を中心とした関東地方おでんでは「すじ」という軟骨入りの白身魚のすり身や、「ちくわぶ」という小麦粉を水で練って茹でたモチモチ食感の種が有名です。
大阪や京都のある関西地方では、鯨の皮や舌を乾燥させた「コロ」「さえずり」が独特の種でした。現在では鯨が手に入らないため、代わりにタコ串や牛すじ肉を串刺しした「すじ」を好んで入れています。
具材の値段は、外食店やコンビニでは1個平均70~100円台程度と安く、家庭で作るためにスーパーで種ものを買えば、まとめてもっと安く買えます。
実はこんな変わり種も!?
おでんの種類や種ものは野菜を中心に年々進化を遂げています。味も和風だけでなく、トマト煮風にしたりカレー風にしたり、夏には冷やして食べるおでんも登場します!
具材も中にはトマト・ロールキャベツ・ブロッコリーや、たけのこ・レンコン・オクラなど野菜の変わり種も使われるようになりました。
おでん屋で、地元の人と触れ合ってみましょう
おでんは専門店のほか、居酒屋や屋台などで食べることができます。最近ではスーパーやコンビニなどでも気軽におでんを買うことができ、より身近な外食文化になってきました。
せっかくならば、屋台や居酒屋、おでん専門店でそこに居合わせたお客さんと話しながら、地元の方とのコミュニケーションを楽しみましょう!
地域のおでんパック、ホームセンターや家電量販店で売られているおでん缶はおみやげにもぴったりです。
こんなにある!ご当地おでん
ご当地ならではのおでんは、日本各地に存在します。
ホタテ・ツブ貝など北海の幸が入る北海道室蘭風、練り物の一種である大角天など地元特有の種が特徴の青森風、カニの甲羅にその身を詰めた「カニめん」を入れる金沢風、鶏がらだしで餃子巻が特徴の博多風、豚足(テビチ)やスパムがメイン種で旬の葉物野菜を添える沖縄風など、どれも一度は食べてみたいものばかりです。
静岡のおでん
注目は静岡風と名古屋風! 静岡風は豚モツなどの種物を使い、仕上げにだし粉と青のりをかけるのが独特です。
一方の名古屋風は、地元名物の八丁味噌で牛すじ肉や里芋などをぐつぐつ煮こみます。牛すじ肉、里芋のとろとろな食感が絶妙です!
日本各地を旅行する時は、地元のスーパーやコンビニでもご当地おでんを探してみてください!
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日本への訪日外国人の方が、もっと増えますように!