日本の真ん中、長野県で味わう、自然と匠の技が織り成す極上の日本酒5選
旅先では、その土地に根付いた様々な名産品を味わえることが醍醐味の一つですが、日本の真ん中に位置する長野県では、酒は外せない名産品です。ここでは、長野県ならではの美味しい地酒をピックアップして紹介いたします。
地酒を味わいに長野県へ行きましょう!
自然の恵み豊かな長野県は、日本酒造りに最適な諸条件を備えています。湿度の少ない爽やかな夏、厳しい寒気が一段と冴える冬、どこまでも澄んだ空気、こんこんと湧き出る清冽な水。さらに、四季折々の自然環境が良質の酒米を生み出しています。豊かな環境に育まれて造り出される「長野県の酒」が美味しいのも納得です。 米と水を選び、仕込み、発酵、ろ過、火入れなど、気を抜けない工程を一つひとつ経てじっくりと造られるのが、長野県の清酒です。清酒は生きているため、手間をかければかけるほど、味わいが深まります。 長野県の蔵元で造られる地酒は、どれも生産数が限られており、長い伝統に支えられてきた杜氏たちの職人技や熱い想い、温もりがそのまま伝わってきます。「ふるさとに生まれ、ふるさとに育った手造りならではの旨さ」。それが長野県の酒なのです。
美味しい水と米は、長野の酒の真骨頂です。
美味しい酒を造るためには、何といっても原料の水と米が良くなければなりません。酒瓶一升の酒を造るには、その約20倍の仕込み水が必要です。水の良し悪しは酒の品質に大きな影響を与えます。酒の味を左右する水に求められるのは、酒造りに必要なカルシウムやマグネシウムを多く含み、酒の味を悪くする鉄分などをほとんど含まない天然の湧き水です。
長野県の酒米は「美山錦」が有名です。これらの酒造りに適した品種を酒造好適米と言いますが、その特徴は「大粒で心白の大きい米」です。酒米にとって大切なのは、良質な水と太陽、適度な風です。大気が汚染されていない土地で太陽光を十分に浴びて育つ土地こそ、酒米作りに適した土地といえるでしょう。そんな環境から生まれた米と水を使って造る長野県の酒には、格別な旨さがあります。
亀の海(土屋酒造店)創業者から続く哲学や伝統を継承
土屋酒造店は、八ヶ岳や浅間山などの山々に囲まれ、自然の恵みが豊かな長野県佐久市に位置する蔵元です。「真の地の酒を醸したい」という想いから、地元の農薬を一切使用せず、良質な土壌で育まれた佐久の米にこだわっています。伝承の古式醸法と新しい醸造技術を融合させて生まれた吟醸酒は、長野県で先駆けて発売され、高い評価を得ています。その中でも「亀の海」は、伝統的な製法で醸したシリーズです。創業者から続く哲学や伝統を受け継ぎ、速醸造りで香りと味わいのバランスが良いスタイルを実現しています。純米大吟醸から本醸造まで、幅広く展開しており、酒のファンから初心者の方、贈答品にも広く受け入れられているシリーズです。
●原料:美山錦(長野県産) ●精米歩合:49% ●飲用適温:5〜15℃ ●容量:1,800㎖ ●価格:3,960円(税込)
今錦(米澤酒造)アルプスの水が醸す長野の銘酒
長野県の南にある伊那谷のほぼ中央、天竜川東岸に位置し、1906年に創業しました。良質の水(南アルプスの伏流水)に恵まれ、酒米は地元産を優先して使用しています。また、今では珍しくなった酒槽で、もろみを搾るのが特徴です。2014年には、地元の食品会社のグループ会社となりましたが、美しい農村の風景を守るため、田植えや稲刈りをグループ全体で取り組んでいます。梨やブドウに似たフルーティーな香りと濃厚な味わい、甘味はあるがキレの良い吟醸酒は、日本酒を知らない方にもぜひおすすめです。また、酒蔵併設のショールームでは、直売と同時に酒器やグッズの販売も行っています。
●原料:美山錦(長野県産) ●精米歩合:55% ●アルコール分:16度 ●容量:720㎖ ●価格:1, 980円(税込)
亀齢(岡崎酒造)伝統的な手法で造られる酒
岡崎酒造の信州亀齢(きれい)は、長野県上田市で、1665年より地元の水と米をたっぷりと使って、限定吸水・箱麹・小仕込みでコツコツと手造りされています。2003年から岡崎酒造の杜氏を務めているのは、女性の岡崎美都里さんです。女性杜氏は日本に25人ほどしかいませんが、岡崎さんは東京の大学で醸造学を学び、大手酒販売会社に就職。その後、代々続く杜氏からも技術を学び、長野県の自然でできる最高の日本酒を目指して日々研究を重ねています。その味わいはフルーツのような華やかな香りが特徴で、口の中いっぱいに広がる感動的な甘さと香りを楽しめます。価格もお手頃で、初めて日本酒を飲む方には衝撃的な一杯になることでしょう。上田市の観光地「柳町」には、酒蔵と直営店があります。
●原料:山田錦(兵庫県加西市産)●精米歩合:55% ●容量:1800㎖ ●価格:3,850円(税込)
小谷錦(北安大國)小谷産の白樺錦で仕込んだ地酒
西に北アルプス後立山連峰の鹿島槍、爺ヶ岳、蓮華岳の秀峰を望み、それを源とする鹿島川、篭川、高瀬川が合流する場所「仁科の里」に、九十余年の歴史を刻む北安醸造があります。山麓から湧き出る澄んだ伏流水と、地元安曇野の大地が育んだ良質の酒米を使い、蔵の伝統に培われた卓越した技で酒造りが行われています。小谷錦は、新潟県との県境にある北安曇郡小谷村の棚田で育てられた酒米「しらかば錦」を使い、フレッシュな味わいが楽しめるよう醸した純米吟醸の生酒です。また、生のものに火を入れる製法により、美味しく飲める期間が長いのも特徴です。華やかな香りと辛口の中に広がるほのかな甘みを楽しめる地酒です。
●原料:美山錦(長野県産) ●精米歩合:55% ●アルコール分:16度 ●容量:720㎖ ●価格:1, 980円(税込)
川中島 幻舞 (酒千蔵野)華やかな香りとすっきりとした味わい
酒千蔵野は、1540年創業の長野県で最も歴史と伝統を誇る酒蔵です。全国的にも7番目の歴史を持つ酒蔵で、戦国武将の武田信玄公が愛飲していたことでも有名です。杜氏は女性の千野麻里子さんが務めています。蔵元の一人娘として、大学で醸造・微生物学を学び、国税庁醸造試験所で2年間の研修を経て日本酒の魅力に目覚めました。先代杜氏に10年間の約束で修行を始め、8年目に先代が急病により引退したため、杜氏に就任。彼女の努力とセンスにより、数々の賞を受賞しています。今回紹介する「幻舞」は、千野杜氏の自信作として限定品となっています。
●原料:美山錦(長野産)●精米歩合:49% ●アルコール分:17度 ●容量:1800㎖ ●価格:3,520円(税込)
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