伝統と匠のものづくりを体験!「360°よねざわオープンファクトリー」
山形県米沢市で毎年9月に開催される「360°よねざわオープンファクトリー」は、日本の美しい工芸や食文化をまるごと体験できるイベント。歴史を感じながら、街歩きをしてみませんか。
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目次
- 1.360°よねざわオープンファクトリーとは
- 2.交通手段と総合窓口
- 3.染め織物の老舗「よねざわ新田」で紅花染め体験
- 4.伝統ある蔵元「東光の酒蔵」で日本酒づくりを見学
- 5.味噌と甘酒を楽しめる「花角味噌醸造」
- 6.木のぬくもりを大切にする「アイタ工業」の国産木材を見学
- 7.日本の美しい歴史が息づく米沢市を満喫しよう!
1.360°よねざわオープンファクトリーとは
「360°見渡す限り美しい山々に囲まれた米沢。そんな風土の美しさとともに、米沢のものづくりの世界観をぐるっと見渡し、実際に触れていただきたい。」
そんなコンセプトで毎年秋に3日間開催される「よねざわオープンファクトリー」は、実際に工房や店舗を巡って見学や体験ができるイベントです。2024年は9月に開催され、全33の企業・団体が参加して、3日間で85プログラムが実施されました。
2.交通手段と総合窓口
米沢駅は、東京駅から山形新幹線で約2時間。まず駅に到着したら、米沢市内を巡るための交通手段を決めましょう。
■交通手段
おすすめは、小回りのきくレンタサイクル。バスの時刻を気にすることなく回遊できます。4時間の利用で1,000円~という安さも魅力的。
・米沢市のレンタサイクル「E-BIKE」 https://e-bike.yamap.com/yonezawa/
公共交通機関なら、バスを使うことも可能です。今回行ったスポットは、どの店も近くに「市民バス」のバス停があり、降りてから徒歩10分以内で着くことができます。
もっと自由に、荷物や距離を気にせず回りたい時は、レンタカーやタクシーが最適!米沢駅にはいくつものレンタカー会社があります。米沢のアクセス情報については、下記の記事も参考にしてみてください!
■総合窓口
このイベントの総合窓口は、米織会館にあります。ここではイベントの案内だけでなく、米沢市内に関する観光スポットや飲食店など、いろいろなことにお答えしますので、遠慮なく質問してくださいね。
また、スタンプラリーも実施しており、スタンプを集めて景品をゲットすることもできます。
◆オープンファクトリー実行委員会(米沢繊維協議会内)
山形県米沢市門東町1-1-87米繊会館
0238-23-3525
https://www.360yonezawa.com/
3.染め織物の老舗「よねざわ新田」で紅花染め体験
1884年創業の「よねざわ新田」は、染め物から機織りまでをおこない、着物や帯になる織物を作っています。中でも山形県の代表的な花「紅花」を使った紅花染の絹織物は、古くから貴族や皇族に愛されてきました。
ここでは3日間、紅花染め体験や米沢織のブローチ作り、織物を作る工程の見学などができます。
紅花染の歴史の説明と工場見学がセットになった今回のツアーでは、江戸時代から続く紅花染のお話を聞きました。
数カ所ゴムで絞るようにとめた白いハンカチを、色素が入った液体に漬けこみます。お酢を入れた途端に、鮮やかな紅色に変わると、歓声が沸き起こりました。
完成するとこのように。敷地内の売店では、同じように染めたハンカチも販売しています。
染め物だけでなく、機織りも見どころが満載。日本庭園のある和室で、囲炉裏と美しい衣を眺めながらのひとときも、極上の時間です。
「染め物から機織りまで、一貫した生産をしているので、出来上がるまでのすべての過程を見ていただけると思います。紅花という花から色素を抽出して染めるというのは、山形県の染め物文化の特徴です。そういったものを、体験を通して感じていただけたらと思います」と、新田社長は話します。
◆株式会社 新田
山形県米沢市松が岬2-3-36
0238-23-7717
https://nitta-yonezawa.com/
4.伝統ある蔵元「東光の酒蔵」で日本酒づくりを見学
小嶋総本店は、IWC2024SAKE部門純米大吟醸酒の部で最高賞を獲得した日本酒「東光」を作る会社です。1597年の創業から、清らかな米沢の雪解け水で仕込んだ純米酒を作っています。
「東光の酒蔵」は、東北最大級の酒造資料館。昔の酒蔵にタイムスリップしたような空間が広がります。今回のイベントでは、酒蔵の見学や無料テイスティング、お酒の利き当て、グラスペイントが催されました。
自然の恵み豊かな地形を生かし、清らかな水をふんだんに使用した「東光」は、海外にも多く輸出される日本を代表するSAKEのひとつ。
歴史を感じさせる館内入口。2階、3階には、ここからは想像できないような酒造りの設備がありました。
酒造見学では、それぞれの工程を行う部屋をひとつずつ紹介してくれます。数多くの手間を経て、日本酒が出来上がることがわかります。
発酵・貯蔵のためのタンクは、中がどうなっているかも見学できます。ふつふつと泡が湧き上がるようすは、日本酒好きにはたまりません。
酒造資料館「東光の酒蔵」ではお酒の試飲やテイスティングも可能です(有料)。
同じ「東光」ブランドでもいくつかの種類があります。繊細できめ細やかな、透明感のある味わいをお楽しみください。また、「飲む点滴」とも言われ健康的な飲料の甘酒も、いろいろな味があり、おすすめです。
◆株式会社 小嶋総本店
山形県米沢市大町二丁目 2-3
0238-23-4848
https://www.sake-toko.co.jp/
5.味噌と甘酒を楽しめる「花角味噌醸造」
味噌は日本人にとって欠かすことのできない調味料であり、伝統的な発酵食品のひとつ。花角味噌醸造は、創業から160年以上味噌造りを営む老舗です。創業当初から変わらない伝統的な杉樽での味噌造りは、独特の深い味わいを生み出します。
「味噌はその土地に根差した文化のひとつです。米沢市は独特の食文化があり、それを支えている調味料のひとつが味噌です。当社は原料に国産米と地元産の大豆と水を使っています。素材を引き立てるための脇役だと思って営み続けています」と、6代目の花角社長は話します。
味噌の原料となる大豆にも、いろいろな種類があることを説明してくれます。
4種類の味噌の食べ比べ
大豆と米糀から造られた味噌は、熟成年数が長くなるにつれ色が濃くなり、味わいに深みが出ます。目で見ても一目瞭然ですが、キュウリにつけて食べ比べたり、お湯に溶かして飲んだりしても、その違いがとてもよくわかります。味噌の奥深さを、実際に味わって感じることができます。
山形県産米「つや姫」で作る甘酒は、店の看板メニュー。みるく味、抹茶味など6種類の味を楽しめます。米のツブツブ感を噛みしめながら飲む甘酒は、さわやかな風味の中に深い味わいがあります。酵素が生きている≪生タイプの甘酒≫は、ここでしか味わえません。
店内では、さまざまな種類の味噌や塩こうじ三五八(さごはち)、フリーズドライの味噌汁、甘酒がテイクアウトできます。イートインスペースもあるので、米沢めぐりの休憩地点としてもおすすめです。
◆株式会社 花角味噌醸造
山形県米沢市大町1-2-23
0238-23-0641
https://kakurikimiso.com/
6.木のぬくもりを大切にする「アイタ工業」の国産木材を見学
アイタ工業は、国産の広葉樹から無垢材を作り出す製材所です。日本で育つ広葉樹は栗、桜、桂などさまざまな種類があり、切り出される木材はそれぞれに表情や特徴が違います。ここではフローリングができるまでの工程見学や、木材を使った工作などのプログラムが実施されました。
山から切り出された丸太から、フローリングになるまでの工程をすべて見せてくれます。広葉樹は針葉樹と違い、年輪の幅が小さく複雑なため、丈夫な木材になるという利点があることなどを丁寧に説明してくれました。
丸太をフローリングの板状に切る裁断は、大きな音で迫力満点。鋭い刃がスムーズに丸太を切っていくようすに圧倒されます。
丈夫な木材にするための大切な工程のひとつに、乾燥があります。ちょうどよい固さにするため、湿度や温度を管理しています。このような細やかな工程があるからこそ、品質のよい木材になるのです。
敷地内には広葉樹に特化したショールームがあり、それぞれの木の違いを実際に体感することができます。裸足になることで、直接足からぬくもりや柔らかさ、心地よさが伝わってきます。材質の違いで見た目だけでなく感触も違うことが実感できるショールームです。
ここでは、無垢材で作った皿や器などの商品も、購入することができます。
「地元産の木材を使うことは、エネルギーの観点からも地球にやさしい取り組みです。当社では山形県産の広葉樹を使っており、木のあたたかさやぬくもりを感じていただけると思います。幅広い年代の方に触れていただきたいです。」
◆株式会社 アイタ工業
山形県米沢市花沢町2845番地
0238-23-1847
https://www.aita-kouyouju.com/
7.日本の美しい歴史が息づく米沢市を満喫しよう!
山形県米沢市には、民の生活を大切にした上杉藩の時代から根付く、さまざまな歴史と伝統文化があります。特に工芸と食文化の営みは、代々続く老舗として市民に愛され続けています。
その魅力を垣間見ることができるのが、毎年9月に開催される「360°よねざわオープンファクトリー」です。第3回の詳細はまだ発信されていませんが、新しいニュースがありましたら、この記事でも紹介していきます。
穏やかな街並みの中に受け継がれる静かな情熱を、あなたも感じてみませんか。米沢のものづくりと、それを支える人々との交流は、きっとかけがえのない旅の思い出になるでしょう。
東北地方の中でも、重要なサムライの遺産が数多く残る米沢のまち。 東京から新幹線で約2時間で到着する、非常にアクセスの良い東北地方の観光地です。 甲冑や着物を身に着けてみたり、合戦に参加してみたり、寺社仏閣を巡ってみたり。かつて、日本のサムライたちが過ごしたストーリーを、米沢で追体験してみませんか。