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「東京・なかのレトロ探訪」-中野の暗渠(あんきょ)道第3弾 上高田地区の暗渠を探索-
かつての川や水路「暗渠(あんきょ)」を散策。第3弾は東京・中野・上高田地区の住宅街を歩きます。「かどや酒店」の中野サイダーで一休み。
こんにちは。令和の中野で昭和の風景探しをこよなく愛する、ナカノ観光レポーターの「十六夜(いざよい)」です。
暗渠(あんきょ)とは、人の手によって地下に埋もれた水路のこと。昭和30年代までの東京には自然水路や農業用水路がたくさんありましたが、人口増加などで埋め立てられ、今ではほとんど見られなくなりました。そんな見えない水辺に想いを馳せた「暗渠探索第3弾」は、中野駅から新井薬師 梅照院を経由し、新宿区中井付近の妙正寺川まで上高田地区を歩きます。
JR中央線・東京メトロ東西線、中野駅北口から中野サンモール商店街を右に曲がり、「中野北口昭和新道(しんみち)商店街」へ。市松模様の提灯をはじめ、一帯がレトロな雰囲気。たくさんの個性的な居酒屋は、夕方からの営業に向けて、まだ眠っているようです。
早稲田通りを渡り、「薬師あいロード商店街」に入ります。最近は新しいお店も増えていますが、文房具店、焼き鳥店、味噌屋、時計店など、昭和で時が止まっているかのような懐かしいお店がいっぱい。
薬師あいロード商店街を抜けて、「新井薬師 梅照院」に到着。
都会のオアシスのごとく、心地よい風を感じます。
新井薬師の門前には、江戸時代から料理屋が軒を連ねていましたが、大正14年11月に新井三業組合が設立されると花街として栄えていきます。当時は25軒の待合茶屋と40軒の芸妓(げいぎ)置屋があり、芸妓が136人いたのだとか。花街は多くの水を使用することから暗渠と関連するのですが、現在、面影はほとんど残っていません。
新井薬師と西武新宿線「中井駅」の間(上高田地区)に、かつて妙正寺川まで流れていた暗渠道が広がります。薬師柳通りから住宅街を蛇行しながら辿っていくと、当時水路だったことを示す壁面の一部が残っていました。
早稲田通りとほぼ平行して谷あいを進みますが、裏道感がとてつもないです。
上高田地区は高低差があり、尾根道の早稲田通りから見ると、こんな感じです。
水分補給のため、早稲田通りに出ました。目に飛び込んできたのは、レトロな佇まいの「かどや酒店」。「中野サイダー」の貼り紙にロックオンです。
店頭にはたくさんのビール瓶が飾られています。一番左には「ナカノさんのビール」も。
店内に並ぶ世界のビール、ワイン、焼酎、日本酒。それぞれに貼られた手書きのPOPから、店主のこだわりと愛情を感じます。
タイル張りのシンクや格天井の扇風機など、昭和にタイムスリップしたみたい。
「ゲリラ豪雨で天井から雨漏りがして、建物を維持するのも大変」と店主が話してくれました。
店内で中野サイダーをいただき、暗渠探索を再開。早稲田通りに並ぶ寺院に沿って、崖下を進みます。
懐かしい牛乳箱を発見!それもかなり珍しい「興真乳業(本社所在地:東京都文京区)」。暗渠探索は、まさに宝探しです。
新宿区中井に入ってすぐの商店街にも暗渠が続きます。「暗渠サイン」である、銭湯やコインランドリーも。
中井の「新杢橋」付近で妙正寺川に合流。今回の散策はここまでです。
途中で飲んだ「中野サイダー」がとてもおいしくて、元気がでました。そういえば、中野サイダーは妙正寺川の近くにある「東京飲料株式会社」が製造しています。水に関わる産業としていつか調べてみたいです。
かどや酒店
所在地:中野区上高田1-34-2
アクセス:JR中央線「東中野駅」から徒歩11分世界のビール200種類、ワイン100種類が揃う、兄弟経営のお店。自分では中野の昭和遺産だと思っています。一度訪ねてみてください。
中野区は、東京都23区の西部に位置しています。サブカルチャーの「聖地」と呼ばれる「中野ブロードウェイ」が特に有名ですが、それ以外にも歴史ある神社・仏閣やグルメなど、多くの観光資源を有しています。 中野駅周辺で「100年に1度」とも言われる再開発が進み、まちの移り変わりが進む一方、昔ながらの人情味あふれる商店街が賑わっているなど、中野のまちは多様な面を持っています。そんなまちの多様性が、約1.7万人、約120カ国の人が住むというまちの特徴にもつながっています。