丹後ちりめんの秘密に迫る TANGO OPEN CENTER
国内最大の絹織物産地が京都府北部の丹後地域にあります。300年の歴史を持つ「丹後ちりめん」。主に着物の生地に使われ、シルクならではの美しさとしなやかさを併せ持ち、「シボ」と呼ばれる凹凸によって、さらっと心地良い肌触りを生み出しています。
〒629-2502 京都府京丹後市大宮町河辺3188 【お車でのアクセス】 〇京都方面[沓掛IC]から(約1時間30分) 京都縦貫自動車道~山陰近畿自動車道~[京丹後大宮IC]~R312で約10分 〇大阪方面から(約2時間) 中国自動車道~[吉川JCT]舞鶴若狭自動車道~[綾部JCT]京都縦貫自動車道~山陰近畿自動車道~[京丹後大宮IC]~R312で約10分 【電車でのアクセス】 〇JR京都駅・JR大阪駅から (特急利用の場合:約2時間30分) 「京都丹後鉄道 京丹後大宮駅」下車
シボ(凹凸)はどうやってできる?
織物はタテ糸とヨコ糸が垂直に交差してできている。丹後ちりめんに使われるヨコ糸は「強撚糸(きょうねんし)」。「八丁撚糸機」という機具を使い、水をかけながら糸を強くねじり合わせて作る。丹後ちりめんの秘密の一つであり、シボに欠かせないものだ。だが、織っただけの「生機(きばた)」の状態ではシボは出ない。もう一つの秘密である「精練」が必要となる。
丹後織物工業組合が加工場で行う「精練」は、ゴワゴワとして硬い生機を熱湯で洗う加工。絹に含まれるセリシン(たんぱく質の一種)や不純物を取り除く。その際に糸が縮み、ヨコ糸の強撚糸にねじりを戻そうとする力が働くことによってシボが現れる。

1300年の歴史
丹後ちりめんが誕生した背景には、雨や雪が多い丹後の気候がある。適度な湿度によって絹糸が切れにくく、絹織物は作りやすい。そのためか、絹織物産地としての歴史は1300年ほどに上る。起源は奈良時代の711年と考えられ、739年には丹後国竹野郡鳥取郷(現在の京丹後市弥栄町鳥取)から絹織物「絁(あしぎぬ)」が聖武天皇に献上され、今も正倉院で保存されている。
ただ、絹織物産地として存在感が大きくなったのは、丹後ちりめんが作られるようになった江戸時代中期からだ。
織物業が衰退し、飢饉(ききん)にも見舞われた丹後の人々を救おうと、京都・西陣で織物を学んだ峰山(現在の京丹後市峰山町)の絹屋佐平治は1720年、シボを持つ丹後ちりめんの製法を確立。丹後の機屋(はたや)に広く伝えていった。
日本遺産、総合産地へ
こうして丹後ちりめんは着物の生地として人気を博し、丹後は日本を代表する絹織物産地となっていった。最盛期の昭和40年代には「ガチャマン」と呼ばれる好景気に沸き、「ガチャッと織れば万単位のお金が入る」と例えられるほどだった。
丹後ちりめんに関する歴史や文化は、2017年に日本遺産「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」として登録されている。
シルクから始まった丹後ちりめんの製法は違う素材にも応用され、ポリエステルなどでも丹後ちりめんが作られるようになった。また、丹後では丹後ちりめん以外の織物も織られ、テキスタイル(生地)の総合産地へと進化している。
産業観光に活路を
先人から受け継がれてきた伝統ある産地を守るため、丹後織物工業組合は産業観光に活路を見いだそうと、新たな挑戦に乗り出した。それが、2023年に掲げた「TANGO OPEN VILLAGE(タンゴオープンヴィレッジ)」の構想。加工場などがある組合本部の敷地内に産業観光に関する機能を付加するもので、国内外から人々を呼び込むことによって産地の価値を高めていく狙いだ。
飲食や宿泊などの機能を計画しており、ゆくゆくはフランス・リヨンなど海外の織物産地にあるような織物ミュージアムの開設を目指す。
構想の第一歩となるのが、2024年6月にオープンしたタンゴオープンセンター。主な機能は、精練などの工程を公開する「オープンファクトリー」と、丹後の織物製品を展示販売する「ファクトリーショップ」の2つだ。

オープンファクトリー見学ツアー
丹後は、きものの後染用生地の生産量が日本一の絹織物産地です。この度、丹後ちりめんの精練加工工程を一目できるファクトリーツアー“精練の世界”を実施いたします。
平日(月曜日から金曜日)ツアー時間10:00~・11:00~・13:30~・14:30~・15:30~ 計5回実施
【要事前予約】所要時間約60分工場見学料18歳以上1,000円(税込)・18歳未満500円(税込)丹後ちりめんくるみボタンワークショップ付き(オリジナルのマグネットやバッチ作りが体験できます)
10名様以上のご予約の場合、60日以上先のご予約の場合、お電話いただけるとありがたいです。少人数様のご予約の場合、他のグループと一緒になる場合がございますので、ご了承ください。TEL:0772-68-5151上記のお電話が繋がりにくい場合は、0772-68-5302もしくは0772-68-5211までご連絡ください。


直営ショップ・ワークショップ
直営ショップでは、丹後織物製品をはじめとするプロダクト、地域産品等を販売いたします。 丹後ちりめんの面白さに触れてもらうワークショップも開催します。ファクトリーツアー、ワークショップ、精練・染色体験のみのご来場も可能です。どなたでもご来場いただけますので、ご家族・ご友人もお誘いの上、ぜひお越しください。各ワークショップにより実施日・料金が異なります。以下よりご確認ください。なお、空きがあれば当日現地でのお申込みも可能ですが、ご予約にご協力ください。
ショップ営業日/平日(月曜日~金曜日)
時 間/10時00分~16時30分 T E L/0772-68-5151上記のお電話が繋がりにくい場合は、0772-68-5302もしくは0772-68-5211までご連絡ください。
場 所/TANGO OPEN CENTER 受付(丹後織物工業組合 加工場内)


ワークショップ(有料・予約制)
カップチリメンワークショップ(所要時間:約30分)2,500円(税込)
丹後ちりめん(ポリエステル)の生機(織ってすぐの状態)をお湯で縮めておにぎりのような巾着袋をつくるワークショップです。


加工場 丹後ちりめん精練・染色体験
〈予約方法〉0772-64-2490 丹後織物工業組合 加工場※お電話にてご予約ください。(平日:8:00〜17:00)
営業日/平日(月曜日~金曜日)
時 間/午前の部 10時00分・午後の部 14時00分
丹後ちりめん精錬・染色体験
〇精練体験(所要時間:約2時間)5,500円(税込) 〇染色体験(所要時間:約2時間)5,500円(税込)
丹後ちりめん生地(1m) or 帯揚げ生地(1.7m)のどちらかお好きな生地を選択いただきます。
(所要時間:約1時間30分)3,300円(税込)
ハンカチ染体験
ハンカチ染めキットを使用した染色体験です。


このモデルコースで紹介したスポット
京都市内から約99キロ、車やバスでは最速90分で行ける海の京都エリア。そんな近くに京都市内とは違う趣を持つ、もうひとつの京都が「海の京都」です。 かつて大陸伝来の先進文化を持つ古代国家(タニハの国)があり、日本創生の秘められた舞台でもありました。 最古の食の神・豊受大神の降臨伝説や大江山の鬼伝説、竜宮伝説など「源流」としての証がいくつも残る「海の京都」エリア。そこには、世界を魅了する京都文化の源である平安・室町時代に都人が一生一度と憧れた天橋立や、300年を紡ぐ絹が織りなす丹後ちりめん回廊、舞鶴・綾部の近代産業遺産群、漁民の営みから生まれた唯一無二の風景である伊根の舟屋、そして戦国の世を今に伝える福知山城など、その時代ごとに散りばめられた日本の魅力があふれています。 また、「海の京都」は松葉ガニ・伊根ブリなどの魚介や清廉な水によって実ったお米や野菜など、食の神様に愛される食材に恵まれた豊穣の地でもあります。さらに自然景観においては世界ジオパークである山陰海岸をはじめ、神仏そして鬼までもが宿る山河が旅人の好奇心を駆り立て、その美しさに心癒されます。 「和を以て貴しとなす」文化が古代から息づき、旅人との出会いに柔らかに応じる優しい人々のいる地域。ここで味わうもの、出会うもの全てが日本のルーツにつながる。それが、天地山海に息づく日本の源流・海の京都なのです。