【福島】二岐・岩瀬湯本・天栄の宿で味わう天然温泉とリトリート時間
東京から2時間程度でアクセスできる、福島県の山あいにある二岐・岩瀬湯本・天栄の3つの名湯。本記事では、貸切風呂や秘湯の風情が楽しめる、隠れ家のような温泉宿をご紹介。週末にふらりと出掛けて、大自然の恵みを堪能してみてくださいね。
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目次
- 福島県天栄村にある3つの温泉「二岐・岩瀬湯本・天栄温泉」とは
- リピート客多数!貸切で楽しめる天栄・岩瀬湯本エリアの温泉宿
- 【二岐エリア】老舗の風情に包まれる。「大丸あすなろ荘」を旅の休息地に
- アクセス情報
福島県天栄村にある3つの温泉「二岐・岩瀬湯本・天栄温泉」とは

全国でも温泉の総湧出量が多い福島県。そのでも、1つの村の中に3つの温泉地がある「天栄村」は、温泉好きにおすすめしたい名湯スポットです。3つの温泉地「二岐・岩瀬湯本・天栄温泉」へ向かうには、JR東北新幹線で東京から1時間半ほど揺られ「新白河駅」で下車。車で30分から1時間ほど走ると、それぞれの温泉地に到着します。

天栄温泉は、新白河駅から1番近くにある温泉地。
2025年11月現在、温泉宿「天栄湯」でしか入浴できないレアな温泉です。天栄湯に宿泊すると、その天栄温泉が貸切で堪能できます。

「天栄湯」からおよそ20分ほどの距離にあるのが「岩瀬湯本温泉」。1,200年以上前に開湯したと言われており、糖尿病や胃腸痛、火傷などの効能が有名です。

さらに「岩瀬湯本温泉」から10分ほど移動すると、969年に開湯した歴史ある温泉「二岐温泉」がお目見え。計5つの露天風呂があり、美肌効果や疲労回復、関節痛に効くと言われる露天風呂巡りができます。
この3つは国民保養温泉地にも指定されており、現在まで多くの人々を迎え、温泉地としての長い歴史を紡いできました。
本記事では、それぞれの温泉の効能や、おすすめの入り方、おすすめの宿泊宿をご紹介。一度訪れれば再訪したくなる、魅力あふれる温泉を巡ります。
リピート客多数!貸切で楽しめる天栄・岩瀬湯本エリアの温泉宿
数十年通い続ける常連客や、湯治で連泊する人々──。静かな山里に佇む「天栄・岩瀬湯本温泉」には、古くから多くの旅人を癒やしてきた歴史があります。
今回は、そんな同地で愛され続ける2つの温泉宿をご紹介。どちらも貸切風呂を完備し、地元の食材をふんだんに使った絶品料理が味わえる、知る人ぞ知る名宿です。
【天栄エリア】完全貸切の森の隠れ宿「天栄湯」

1日1組限定で宿泊ができる「天栄湯」。温泉と美食に満たされる贅沢な旅を堪能できます。

「天栄湯」があるのは、国道118号の脇。新白河駅からは車で40分ほどの場所です。

木々に囲まれた宿の中へ入ると木造の温かな和空間がお出迎え。宿内はほとんど畳で統一されており、天井からは可愛らしい吊るし雛が飾られています。
日帰り利用はできませんが、その代わりに、宿泊者のために温度調整された浴場はすべて貸切!
夜は22時まで、朝は6〜10時まで好きなタイミングで入浴できます。

ワクワクしながら浴場に入ると、二面採光の開放感あふれる空間が広がります。大浴場の周りを木々が囲んでいるため、森林浴をしているような気分が味わえます。周囲の景色も楽しみたい方は、早めのチェックインか、朝風呂がおすすめです。
その日の宿泊者のために用意されたお湯は、やはり特別感満載。無色透明で、入ると肌が引き締まるような感触が味わえます。

これはpH4.0の酸性泉ならではの感覚。殺菌作用が強く、火傷や切り傷、動脈硬化などへの効能があるとされています。
じんわり身体に浸透し、腰やももなど、太い血管のある部分から温まっていきました。酸性泉なので、皮膚や粘膜が敏感な人は入浴後にしっかりシャワーで身体を流してくださいね。

宿泊中の食事も全て個室でいただけるため、プライベート感たっぷり。地元産の「白河清流豚」や新鮮野菜、日本酒などが膳を彩り、味わうほどに心と身体がほぐれていきますよ。
金鉱脈で濾過された冷泉「天栄温泉」。時間を贅沢に使った滞在を楽しみたい時に、おすすめの宿です。
【岩瀬湯本エリア】最大20時間の滞在も。まったり過ごす「ひのき風呂の宿 分家」

「ひのき風呂の宿 分家」は、築150年の歴史深い旅館。名前の通り、館内のお風呂はいずれも檜の浴槽でできており、香り高さと美しい木目の造形が堪能できます。

最大の魅力は、なんといっても最大20時間という滞在時間の長さです。
14時にチェックインしてからは、温泉三昧。「またたびの湯」と「えんじゅの湯」の2つのお風呂は、空いていれば何度でも利用できるため、心ゆくまで名湯を堪能できます。

どちらも貸切で利用でき、使用中かどうかは、お風呂の前にスリッパが置いてあるかどうかで判断します。広々とした造りも嬉しいポイントです。

泉質は「ナトリウム・カルシウム塩化物温泉」。クセのない柔らかなお湯なので、人を選ばず心地よい入浴が叶います。

脱衣所から浴室までゆとりある空間が広がっているため、家族みんなでの入浴も快適。いずれのお風呂もReFaのシャワーヘッドが完備されており、特別な入浴時間を堪能できます。

無色透明のお湯ですが、その効能は抜群。一度入ると湯冷めしにくく、切り傷や火傷、糖尿病などに効果があると言われています。肩までゆっくり浸かれば、日常の喧騒から離れたリラックスタイムが味わえますよ。

お楽しみの食事は、地元で採れた山菜や川魚、全国でも珍しい鯉のお刺身など、この地ならではの名産品が卓を彩ります。

ランチ営業も行っているため、宿泊だけでなく、立ち寄りグルメとしてもおすすめ。「自然の恵みが詰まった美味しいお昼ごはん」を探しているなら、ぜひ候補に入れてみてください。
【二岐エリア】老舗の風情に包まれる。「大丸あすなろ荘」を旅の休息地に

今回旅の休息地に選んだのは、平安の世より湧き続けると伝えられる二岐温泉の名宿「大丸あすなろ荘」。約一千年に渡って愛されてきたその湯は、今も変わらず私たちに大地の恵みを分けてくれています。

暖簾をくぐり、木立の中を抜けてロビーへ。 宿泊者が最初に訪れるこの場所は3階となっており、これは山の形に沿って作られた旅館だからだそうです。

自然を第一に守り、緑豊かな環境で宿泊できる特別な体験が待っています。

今回宿泊した部屋はシンプルですが、冬に嬉しい掘り炬燵付きのスタイル。炬燵でくつろいでいると、いよいよお楽しみの夕食の時間がやってきました。

食事は、2階にある個室やプライベート感のあるお食事処でいただけます。

この日の献立は、お米の甘みが生かされた地酒を皮切りに、松茸の土瓶蒸し、麓山高原豚のお鍋、季節の天ぷらなどが並びました。

「日本秘湯を守る会」の宿でしか飲めないという「秘湯ビール」とともに、季節の献立を楽しみます。

秋の味覚・松茸の味わいが染み出した土瓶蒸しは、まさに「食べる温泉」! 雑味のない透明なスープは最後の一滴まで旨味にあふれ、冷えた身体を芯から温めてくれます。

麓山高原豚は、噛むほどに甘みのある脂がジュワッと広がる贅沢な味わい。そのうま味を肴にビールを飲めば、最高の気分に浸れます。
1時間半ほどかけてゆっくり食事を満喫できました。温泉旅ならではのゆったりとしたペースで、心ほぐれる懐石料理をリラックスして楽しんでみてはいかがでしょう。

お腹が満たされ、お酒が程よく抜けたら、いよいよお待ちかねの温泉タイム。
男女ともに大浴場と露天風呂が1つずつ。 さらに、時間ごとに男女が入れ替わる「自噴泉甌穴岩風呂」と、「渓流露天風呂」(男性用)、「子宝露天風呂」(女性用)など、お風呂のラインナップも多彩です。

中でもおすすめは、合計4つの露天風呂。大浴場の露天風呂は半身浴ほどの深さなので、内湯でじっくり身体を温めたあとのクールダウンにも最適です。

透明なお湯からは湯底の石畳タイルが透けて見え、目でも楽しめる入浴のひとときに。時々肩へ掛け湯をしながら浸かれば、冬場でも快適に入浴できますよ。

朝6時から22時まで入浴できる3つの露天風呂は、大浴場横の外階段を降りて向かいます。右手前に見えるのが、時間帯で男女が入れ替わる「自噴泉甌穴岩風呂」。

かつて川底だった岩盤をそのまま露天風呂にした、全国でも珍しい「足元自噴」の天然岩風呂です。

源泉が湧き出ているのは、足元にある「ポットホール」から。小石が水流で転がって削り取られたこの丸い穴から、生まれたての湯があふれます。 加水・加温を一切せず、ありのままの自然を生かした岩風呂は、どこからかエネルギーが感じられる不思議な空間です。
カルシウム硫酸塩泉の泉質のおかげで、入浴後の肌触りも抜群。何度でも触りたくなるようなしっとり肌が実感できますよ。

男湯の「渓流露天風呂」と女湯の「子宝露天風呂」は、目の前に川が流れている開放感あふれるロケーションが魅力。
どちらのお風呂からも渓流の眺望が楽しめますが、女湯はよりプライバシーが守られた構造になっています。

お湯に浸かって自然の音に耳を傾ければ、心が徐々に落ち着くのを感じます。秋は紅葉、冬は雪景色と、季節ごとに移りゆく森の景色も、この露天風呂の醍醐味です。

「大丸あすなろ荘」の温泉は、日帰り入浴もOK。11時から14時半まで受付しており、大人1,000円、子ども700円、幼児500円で利用できます。

出発の朝を見送ってくれるのは、素材の味が楽しめる優しい朝ごはん。

茶碗蒸しやお鍋、お漬物や焼き魚など、白米がどんどん進むおかずが勢揃い。ボリューム満点の食事で、しっかりと旅のエネルギーをチャージしましょう。

大丸あすなろ荘のチェックインは15時から。早めに到着して、個性豊かな全ての露天風呂を制覇する人も多いそうです。平安時代から続く歴史ある秘湯へ、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょう。
アクセス情報

東京から二岐・岩瀬湯本・天栄温泉へのアクセスは、新幹線とレンタカーでの移動がおすすめ。
東京駅からJR東北新幹線で1時間20分ほど移動し、新白河駅で下車。駅前のレンタカーショップで車を借り、それぞれの温泉までは30分〜1時間ほどのドライブで到着します。
車で移動することで、道中のお土産処や車でしか行けない観光スポットにも立ち寄りやすくなりますよ。
公共交通機関を利用する場合は、新白河駅から出発する「湯ったりヤーコン号」がおすすめ。観光名所の「羽鳥湖高原」や「岩瀬湯本温泉」、「二岐温泉」などに停車するため、宿へのアクセスもスムーズです。事前予約制で1日1便の運行のため、利用の際は事前の計画とスケジュール調整をお忘れなく。
国民保養温泉地とは、温泉利用の効果が十分期待され健全な保養温泉地として、「温泉法」に基づき環境大臣によって指定されています。全国に79箇所の温泉地が指定されています。(2024年10月現在) 国民保養温泉地の選定は、おおむね以下の基準によって行われています。 第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件 (1)利用源泉が療養泉であること。 (2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。 第2 温泉地の環境等に関する条件 (1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。 (2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。 (3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。 (4)災害防止に関する取組が充実していること。