日本の伝統文化を体験できる町、広島県福山のオススメ観光スポット4選
「福山琴」で知られる広島県福山市は、琴や能が古くから親しまれている町。日本の伝統文化や歴史的建築に触れられるスポットが多くあり、日本に興味のある人にはぜひ訪れてほしい場所です。この記事では福山の魅力が詰まったオススメの観光スポットを4か所紹介しています。
広島県の東南端に位置する福山市。
市内には、日本の伝統文化や歴史的建築物にふれられるスポットが多くあります。本記事ではその中から4カ所をピックアップし、その楽しみ方を紹介します。
1.古刹・明王院で国宝の建築物を眺める
本堂と五重塔が国宝とされている明王院は真言宗のお寺。もとは「西光山理智院常福寺(さいこうさんりちいんじょうふくじ)」といい、807年に日本で最も有名な高僧のひとりである弘法大師の開基と伝えられています。
本堂は、全体は和様、細部は中国から伝わった大仏様と禅宗様で造られている折衷様式。日本でも大変珍しい建築物です。本尊には、平安時代の初期の優作である木造十一面観音立像が鎮座しています。
また、堂々とそびえる朱塗りの五重塔にも注目。こちらは五重塔としては、日本で5番目に古いとされている貴重な歴史的建造物です。
境内はあまり広くはありませんが、無料で自由に見てまわることができます。心落ち着ける場所として、地元の人を中心に多くの人々に親しまれている由緒正しきお寺です。
2.喜多流大島能楽堂で能の奥深い世界に触れる
喜多流大島能楽堂は福山ならではの芸能が楽しめる施設。
日本の伝統芸能、能は、福山市では古くから愛好されており、能楽師はもちろん、能が好きで趣味としてお謡(※1)やお仕舞(※2)を習っている方が大勢います。そんな人たちの活動の拠点の一つが、喜多流大島能楽堂です。
※1:謡(うたい)...... 能の歌謡(セリフと歌)をうたうこと。
※2:仕舞(しまい)...... 能作品の一部を囃子(能で使われる楽器)の音楽なしで、面と装束を付けずに舞うこと。
大島能楽堂のはじまりは1958年、大島家三代目の大島久見(おおしま ひさみ)氏が定期公演を始めました時にさかのぼります。趣ある能舞台が現代的な施設にあり、誰でも気軽に能楽の公演が楽しめます。
喜多流大島能楽堂の能舞台で上演された能『三井寺』(写真提供:喜多流大島能楽堂)
大島能楽堂の最大の魅力はもちろん能の公演です。大島家のシテ方(※3)による定期公演は1年に4回あり、能楽の謡や仕舞を習っている弟子による発表会も3回行われます。後者は入場無料です。
※3:シテ方(してかた)...... 能の主役を演じる役者。
1Fにある展示室では福山の能にまつわる展示を見ることができます。能の装束の付け方に関する説明や公演写真の他、大島能楽堂が発行している資料も閲覧可能。能の物語の世界にふれる貴重な体験ができます。
また、実際に能で使われる豪華な装束も近くで見られるのも魅力です。こちらの装束には能作品を連想させるモチーフが織り込まれており、非常に印象的。
定期的に展示変えが行われているので、訪れるたびに新しい発見があるのも面白いところ。なお展示室訪問を希望の場合、事前に大島能楽堂まで連絡してください。
能にもっと親しみたい方は、福山市にある福寿会館にて能の体験もできます。能の謡や舞の体験は、この芸能の楽しさを実感できる大切な機会になるでしょう。
3.神勝寺で禅の世界に浸る
臨済宗建仁寺派 天心山 神勝寺は1965年に建立された臨済宗建仁寺派の寺院です。現在は寺院としてだけでなく「神勝寺 禅と庭のミュージアム」として、禅の教えをさまざまな形で体験できる場となっています。
堂々とそびえる総門をくぐると目前に広がるのは日本庭園の「賞心庭(しょうしんてい)」。美しい日本ならではの風景に心が洗われるはず。
漢字の「心(heart)」をかたどった池や、龍の背のように美しい曲線を描く龍背橋(りゅうはいきょう)、紅葉に覆われる紅葉山をはじめとした木々や花々。どこを見てもまるで絵画のような光景を楽しめます。
敷地内には本堂「無明院(むみょういん)」や禅堂「大徹堂」をはじめ、多くの歴史的建築物、茶室が建てられ、その他にもアートパビリオン「洗庭(こうてい)」や、茶房(喫茶や食事処)、白隠を中心とする禅画のコレクションなどがあり、禅の世界にどっぷりと浸ることができます。
とくに、アートパビリオン「洗庭」には驚くでしょう。伝統的な「こけら葺き」という技法を使い、全体を木材で柔らかく包んだ建物が石の上に建てられている、なんとも特徴的な建造物です。これは石の海に浮かぶ舟をイメージしているそう。
そしてその建物の小さな入り口を入ると、中は真っ暗! しばらく進むとかすかな光を反射する波が見えてきます。暗がりに広がる海原に表現された禅の世界。禅の教えに従い、その核心へ近づこうとする過程を、現代アートを使い体験できる珍しいアートパビリオンです。
4.藤井琴製作所で琴の作り方を近くで見る
日本の伝統的な音色といえば、まずは琴が思い浮かびます。福山市は琴の生産地として有名です。一説には日本国内で造られている琴の7割は福山琴だと言われています。
藤井琴製作所は、福山市内にある琴製作所で、ここで作られている琴は音色の美しさや使いやすさで高く評価されています。
藤井琴製作所を見学すると、琴の作り方を間近で見られます。
琴の甲は、高品質な木材である桐で作られており、甲の仕上がりによって音色が変わります。木材に繊細な刻みが施されるところなど、製作過程の様々な段階で日本のものづくりの技術の高さに驚くでしょう。
演奏者に長年大切にされる楽器になるように、琴の両端にきれいな装飾が施されます。細部までていねいに作られた美しい出来栄えに、工芸士のこだわりを感じるはずです。
また福山では琴を弾く体験もできます。福寿会館の琴体験に参加すると、プロの琴演奏者の指導のもと簡単な曲を弾けるようになるので、興味のある方は参加してみては?
その他の福山の魅力
伝統的な工芸品や建築物、古典芸能などさまざまな文化に触れられる福山。他に福山城、日本の文化体験ができる福寿会館などのスポットもオススメ。福寿会館について詳しくは「日本文化を心ゆくまで味わえるユニークな施設「福寿会館」」の記事をご覧ください。
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