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日本のウイスキーを英語で指南。新宿ゴールデン街のバー「comorebi –saudade-」
ロンリープラネットでも紹介されている新宿ゴールデン街は個性的な小さなバーやパブ、居酒屋が集まる歓楽街です。その一角に日本のウイスキーを英語でレクチャーしてくれるという特別な場所があります。今回はウイスキー専門のバー「comorebi –saudade-」をご紹介します。
日本のお酒というと「日本酒」を思い浮かべる人が多いと思いますが、最近では日本のウイスキーも高い注目を集めています。国際的な権威ある賞を日本のウイスキーが次々と受賞し、世界中のウイスキーファンの垂涎の的となっています。今回は日本のウイスキーを英語でレクチャーしてもらいながら楽しめる新宿のバー「comorebi –saudade-」をご紹介します。
ディープな飲み屋街「ゴールデン街」へ
ゴールデン街はアジア最大とも言われる歓楽街「新宿(しんじゅく)」の一角にあり、小さな低層の建物がぎっしりと立ち並び、ネオンの看板が独特の雰囲気を醸し出しています。
通りはバーだけでなく、パブや居酒屋、スナックなどお酒を中心とした飲食店がひしめき合うディープなエリアです。ガイドブック「ロンリープラネット」で紹介されたことで、ここ数年で多くの訪日観光客が訪れているそう。
そんな細い路地の一角にある、小さな白い看板のお店が今回ご紹介するバー「comorebi –saudade-」です。
ドアの前には英語で書かれたメニューが掲出されていて、店内でかかっているボサノヴァの音楽が流れてきます。それでは、さっそく中に入ってみましょう。
飲むべき一杯を提案してくれるバーテンダー
階段を上がるとクラシックな雰囲気に青白い未来的なカウンターが浮かび上がり、中ではオーナーの高橋伸明(たかはしのぶあき)さんがお酒を作っています。すでに席についているのは香港から東京に観光へ来たというインド系のアディ―さん。さっそく「何か日本のウイスキーをください」と注文すると、高橋さんは「オススメがあります」と切り返しました。
ここで高橋さんが提案したのが、ニッカの竹鶴ピュアモルト。
「せっかく日本に来たので、ここでしか飲めないニッカを試してみませんか?」と提案を受け、アディーさんもチャレンジしてみることに。
一口飲んで「ファンタスティック!」と一言。「素晴らしいウイスキーだ!よい銘柄を薦めてもらって嬉しい」とおっしゃっていました。
ウイスキー好きで色々な銘柄を飲んできたアディーさんも、ニッカの職人気質な味わいはとても気に入ったそうです。
棚には日本のウイスキーとして有名なサントリーの山崎(やまざき)、白州(はくしゅう)に加えて、希少なニッカウヰスキーの「余市(よいち)」、「宮城峡(みやぎきょう)」、「竹鶴(たけつる)」などが置いてあります。
他にもシングルモルトと呼ばれる大麦麦芽100%のウイスキーなどを世界中から60銘柄ほど揃えています。さらにフランスのスパークリング、白・赤ワインに加えて、京都の日本酒「古都(こと)の雫(しずく)」などを提供しています。
バーにかける想い
高橋さんは学生時代に1年のアメリカ留学を経て独学で英語を勉強したそうです。バーテンダーとして5年ほど経験を積んだ後に、この「comorebi –saudade-」をオープンします。その時にウイスキーとワインに特化したお店にしたいと思い、ワインソムリエとウイスキー コンサーの資格を取得したそうです。お店には資格の証書も掲出されています。
ちなみに、高橋さんは音楽がとてもお好きで、自身でも作曲や編曲をするほどなのだとか。
そのため、お店のコンセプトとしてブラジル音楽の「ボサノヴァ」を掲げており、店名も「saudade(郷愁)」というポルトガル語にちなんでいます。ごく稀にアコースティックギターでボサノヴァを弾くこともあるそうですよ。
日本に来たら飲んで欲しいウイスキー
そんな高橋さんが訪日観光客にオススメするのは日本のウイスキー。中でも先ほど紹介したニッカウヰスキーは流通量が少なく日本以外ではなかなか飲むことができないそうです。有名な銘柄と違って小さな工場でこだわりの職人がつくっているので、特に香りが芳醇で個性を感じる味だそう。そして、何よりコスパがよいのも魅力です。ウイスキーは1杯1,100円~で、訪日旅行者は自己申告するとチャージ料(通常500円)が無料になるサービスもあります。
訪日旅行者にはぜひ日本のウイスキーを飲んでほしいという高橋さん。「私はせっかくに日本に来てくれた人たちに、この場を通して有益な情報を提供したいと思っているんです。新宿という旅行客が集まる場所で日本のウイスキーを出している以上は、日本人のホスピタリティを体現する責任があるんです」と力強く仰ってくださいました。
ここでは、高橋さんが日本のウイスキーメーカーの違いや、日本酒の飲み方、日本独自のバーの文化に加えて、観光情報やおみやげスポットなど多岐に渡る情報を居合わせた人にお話ししていました。
もし、日本のウイスキーに興味があるなら、ぜひ、「comorebi –saudade-」でお酒と音楽を楽しみながら、高橋さんのレクチャーを聞いてみてはいかがですか?
新潟生まれ。事業会社でのマーケティングを経験後、2011年からシンガポールへ移住し、出版社や制作会社で編集に従事。2015年に日本へ帰国しMATCHAのライターに。国内外を旅行する中で見つけた新しい発見を、多くの人とシェアしていきたいです。