旅の準備はじめよう
日本最大の騎士像を祀る、奈良県「安倍文殊院」の見どころ
奈良県桜井市にある安倍文珠院は、京都府「切戸文珠」と山形県「亀岡文珠」とともに、日本三文珠のひとつに数えられています。文殊とは、知恵をつかさどる仏の次の位の者。安倍文珠院は日本最大の文殊菩薩像があるだけでなく、境内にある金閣浮御堂が美しく、春には桜、秋にはコスモスが咲き乱れます。
境内のみどころ
抹茶と和菓子も楽しめる「本堂」
桜井市指定重要文化財である本堂。左手に受付があり、そちらで参拝手続きをして中に入ります。
安倍文殊院では、お参りする前に抹茶のおもてなしがあります。「智恵のお抹茶」と奈良特産の吉野葛(よしのくず)が入った、手作りの落雁(らくがん:でんぷんと砂糖などを固めた和菓子)が用意されます。
抹茶で一息ついた後、本堂では僧侶の方がお寺や文殊菩薩の説明をしてくれます。
一風変わった参拝方法が特徴「金閣浮御堂(きんかくうきみどう)」
安倍一族を祀る金閣浮御堂(きんかくうきみどう)。仲麻呂堂(なかまろどう)とも呼ばれるこのお堂では「七まいり」を行います。七まいりはお堂の周りを7周し、7枚のおさめ札を納める参拝方法。
生涯で受けるといわれている7種類の災難除けになるのだそうです。
日本古代のお墓「古墳」
「古墳」と呼ばれる、土を高く盛り上げて作った日本の古代のお墓もあります。
写真提供:安倍文殊院
内部には、左右対称に石が積み上げられています。古代の技術にも関わらず、かなり正確にできています。この古墳は、安倍倉梯麻呂のお墓ではないかと考えられているそうです。
また、こちらは西古墳と呼ばれていて、東にもうひとつ古墳があります。
東の古墳の中には数百年前から閼伽水(※3)がこんこんと湧き出ていることから、「閼伽井(あかい)古墳」ともよばれています。
※3:閼伽水(あかすい)……仏前などに供養される水のこと。
縁結びのご利益に「白山堂(はくさんどう)」
白山堂は、石川県の霊峰「白山」を御神体(※4)とする白山神社から、新たに神仏を迎えた社です。祀られている神様は、日本神話で縁結びに登場する「白山菊理姫(しらやまきくりひめ)」。縁結びにご利益があると言われています。
※4:御神体(ごしんたい)……神が宿る場、または物。礼拝の対象となる。
奈良の山々が望める展望台と安倍晴明堂
展望台には、天文などの知識をもって占術を操っていた「安倍晴明(あべのせいめい)」を祀った安倍晴明堂があります。安倍晴明は、ここに登って天文観測をしていたそうです。
また展望台からは、国の名勝「大和三山(※5)」や、奈良の美しい山々を一望できます。
※5:大和三山(やまとさんざん)……畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)、天香久山(あまのかぐやま)。
安倍文殊院の基礎情報
拝観時間は9:00~17:00。拝観料は本堂、金閣浮御堂霊宝館でそれぞれ必要です。
本堂(抹茶・和菓子付き):大人700円、小学生500円
金閣浮御堂霊宝館:大人700円、小学生500円
両方を参拝する場合は、「二ヶ所共通拝観券」がお得です(大人1,200円、小学生800円)。
安倍文殊院の季節のイベント
季節ごと、安倍文殊院にある仏像などを展示する、「寺宝展」が行われています。
また、3月25日と26日には「文殊お会式(もんじゅおえしき)」という、文殊菩薩の大法要(※6)、3月26日と11月23日はお茶会も開かれます。
※6:大法要……仏教の儀式のひとつ。
安倍文殊院への行き方
安倍文殊院の最寄り駅は桜井駅。徒歩約20分で到着します。また、本数は少ないのですが、バスも出ています。その場合、桜井駅からの所要時間は約10分、料金は190円です。
大阪(梅田)からの行き方
大阪(梅田)からはまず、JR環状線の京橋方面行きに乗り、鶴橋で近鉄大阪線に乗り換えます。
名張(なばり)、青山町、もしくは五十鈴川(いすず)行きの急行に乗れば、桜井駅まで約1時間15分、料金は800円です。
京都からの行き方
京都からは、近鉄京都線の橿原神宮前(かじはらじんぐうまえ)行き急行に乗り、大和八木(やまとやぎ)駅で近鉄大阪線に乗り換えます。
榛原(はいばら)行き準急・名張・宇治山田・青山町・五十鈴川行き急行、いずれも桜井駅に止まります。桜井駅まで約1時間20分、料金は940円です。
安倍文殊院の周辺の観光スポット
安倍文殊院では、長谷寺(はせでら)、室生寺(むろうじ)、岡寺とともに「奈良大和四寺巡礼(ならやまとしじじゅんれい)」を訪日外国人のみなさまにオススメしています。四寺を巡る通訳付きのバスツアーもありますので、詳細は公式HPをご確認ください。
また、同じ桜井市には、世界唯一の十三重塔がある談山神社(だんざんじんじゃ)や、三輪山という山がご神体の大神神社(おおみわじんじゃ)もあります。
古代に都があった奈良ならではの日本を、ぜひ体感してみてください。
※移動時間や交通費の情報は各施設の公式サイトからの情報に基づいて掲載しています。2017年8月現在の情報です。変更になる場合がありますのでご了承ください。
取材協力:安倍文殊院
奈良生まれの旅好きライター。日本の魅力を世界の人々に伝えていきたいです。