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奈良県観光保存版ガイド。アクセス方法、観光名所10選、買い物・おみやげ情報などまとめ
京都よりも長い歴史を持つ古都・奈良。悠久の時の流れを感じられる、神秘的な都市です。そんな奈良への行き方、各エリアガイド、オススメ観光スポットやモデルルートなど、奈良の観光に欠かせない情報をまとめてみました。
奈良とは
奈良県は大阪府や京都府に隣接する自治体です。大阪や京都に比べると観光地としての知名度は低いですが、実は大阪よりも京都よりも長い歴史を持つ土地なのです。
奈良には694年には藤原京、そして710年には平城京という、整備された大きな都が造られました。平城京の時代には、シルクロードの終着地点として国際色豊かな文化が花開き、国宝建造物の数は全国最多を誇ります。
そのため奈良の大仏や、日本最古の木造建築でもある法隆寺といった歴史のある寺社仏閣など、見どころがたくさんあります。世界遺産に登録されたものも少なくありません。毎年秋に開催される「正倉院展」では、当時の蔵から発見された貴重な品の数々が毎年少しずつ公開されるので、それを楽しみにして奈良を訪れる人も多くいます。
また、奈良の地を掘れば必ず何かが見つかると言われるほど未だ発掘され続ける遺跡に、古代ロマンが今でもそこに息づいているのが分かります。
この記事では、古代の息吹を感じ、歴史を体感し、自然を満喫できる奈良をご紹介します。
目次:
1.奈良市内へのアクセス方法
2.奈良の交通事情
3.奈良のエリアガイド
4.奈良の観光案内所
5.奈良のオススメ観光スポット10選
6.奈良のオススメモデルルート
7.奈良のお祭り・イベント
8.奈良のおみやげ10選
9.奈良のショッピング
10.奈良のホテル
11.奈良の「食」
12.奈良の気候、服装
13.そのほか旅のお役立ち情報
奈良市内へのアクセス方法
東京から電車、バスを使って行く方法
東京からはまず、JR東海道新幹線の「のぞみ」「ひかり」もしくは「こだま」で京都まで行きます。それぞれの所要時間と料金は、以下のとおりです。
「のぞみ」……約2時間20分、普通指定席片道13,910円。
「ひかり」……約2時間40分、普通指定席片道13,600円。
「こだま」……約4時間、「ひかり」と同額ですが、JR東海ツアーズの「ぶらっとこだま」を利用する場合、10,100円から利用可能。
京都から奈良へのアクセスは、次の「大阪・京都から電車、バスを使っての行き方」をご覧ください。
東京駅もしくは新宿駅からJR・近鉄奈良駅までは、高速バスや夜行バスも運行しています。所要時間は最長9時間、料金は日によって変動がありますが、片道4,000円から9,500円ととってもお得。夜行バスなら寝ている間に着くので、時間に余裕のない方にオススメです。
詳しくは「電車?バス?新幹線?東京から奈良へのオススメのアクセス方法」の記事をご覧ください。
大阪・京都から電車、バスを使って行く方法
京都から
京都からはJRと近鉄電車があり、JR奈良駅まではJR奈良線の「みやこ路快速」に乗って44分、料金は710円です。近鉄奈良駅までは奈良行き急行に乗れば約50分で料金が610円、近鉄特急を利用する場合34分で、料金は乗車券のほか特急料金が510円要ります。
直通電車は1時間に2本ほどしかありませんので、すぐに直通がない場合は橿原神宮前行き急行に乗り、大和西大寺で奈良行きに乗り換えると早いです。ひとつ注意していただきたいのは、JR奈良駅と近鉄奈良駅は同じ場所にはなく、徒歩15分ほどの距離があることです。興福寺や奈良公園、東大寺に行くには近鉄奈良駅が近く、法隆寺を訪れるのならJR奈良駅からJR大和路線に乗り換えると便利です。
大阪から
大阪からはJRを利用する方法と、JRもしくは地下鉄から近鉄電車に乗り換える方法があります。JRを利用する場合、新大阪駅からはまずJR京都線で大阪駅に出てください。そこから環状線西九条方面に乗り換えて新今宮で大和路線快速に乗れば、JR奈良駅までおよそ1時間20分、料金は920円です。
また、環状線京橋方面に乗れば、鶴橋駅で近鉄奈良行き快速急行もしくは急行にお乗り換えください。この場合所要時間は約1時間で、料金は710円になります。また、新大阪駅から地下鉄大阪市営御堂筋(みどうすじ)線を利用した場合、大阪難波駅で近鉄奈良線に乗り換えで、所要時間は約1時間、料金は840円です。
ちなみに、大阪・京都から奈良までのバスはなく、大阪難波から深夜急行バスがあるのみです。
詳しくは「最短ルートを紹介!京都、大阪から奈良へのアクセス方法」をご覧ください。
奈良の交通事情
・電車
JRと近鉄電車の2社が奈良県内を網羅しているので、行きたい場所に一番便利な路線を利用してください。
JR
JRでは、季節ごとに関西(大阪、神戸、京都、滋賀、奈良、和歌山)のJR線が1日乗り放題の「関西1デイパス」を出しており、料金は大人3,600円です。JR西日本の主な駅の緑の窓口、みどりの券売機で購入できます。本券と引換券を近鉄電車の大阪阿倍野橋駅、京都駅で提示すれば、近鉄電車の大阪阿部野橋駅または京都駅から飛鳥・吉野エリアの往復乗車券と特急券がセットになった「吉野・飛鳥チケット」も手に入るほか、1日乗り放題レンタサイクル駅リンくんも利用可能になります。
近鉄電車
近鉄電車では、土日を含む連続3日間近鉄前線乗り降り自由の「近鉄週末フリーパス」のほか、近鉄沿線の駅から奈良までの往復とフリー区間内の近鉄電車と奈良交通バスが自由に乗り降りできる「奈良世界遺産フリーきっぷ」があり、奈良・斑鳩(1日・2日)コースもしくは奈良・斑鳩・吉野(3日)コースから選べます。近鉄週末フリーパスの料金は大人4,100円、奈良世界遺産フリーきっぷは大人1日コースの1,500円からです。
また関西の私鉄・地下鉄沿線から奈良にお越しの場合、奈良までの往復、そして奈良内の近鉄電車と奈良交通バスが乗り放題になる、「奈良・斑鳩1dayチケット」や「古代ロマン飛鳥日帰り切符」があります。いずれのチケットも料金は出発駅によって変わるので、ぜひ一度窓口でお問い合わせください。
販売している駅は限られているので、詳しくは近畿日本鉄道の公式サイト(英語・簡体字・繁體字・韓国語・タイ語)をご覧ください。
・バス
奈良交通が運行しており、路線バスのほか四季折々観光スポットに臨時バスも出しています。奈良市内を運行している「奈良公園ぐるっとバス」に乗れば、1乗車100円で観光地を効率よく回れます。また、路線バスの各指定区間内を何度も乗り降りできる上に、寺社の拝観料や指定のお店で割引特典がある「フリー乗車券」がお得です。種類と料金は次の通り。
奈良公園・西の京 世界遺産 1-Day Pass(大人500円)
奈良公園・西の京・法隆寺 世界遺産 1-Day Pass Wide(大人1,000円)
奈良・大和路 2-Day Pass(大人1,500円)
聖徳太子ゆかりの里わんデイパス(大人500円)
いずれも、詳しくは奈良交通の窓口でお問い合わせください。奈良交通の公式HP(英語・簡体字・繁體字・韓国語)も参考になるでしょう。
・自転車
奈良県内ではいくつかのレンタルサイクルサービスを利用できます。中でも観光客に人気なのが、明日香村の飛鳥歴史公園を巡るレンタルサイクルサービスです。ちょっとした坂もあるため、最近では電動自転車も利用できるほか、幼児を乗せる椅子つき自転車やヘルメットつき子ども用自転車も用意されています。
料金は電動自転車が1日1,500円、自転車が平日1日900円、土・日・祝1日1,000円です。万一のトラブルや乗捨て(追加料金200円)にも対応しているので、安心して利用できます。
奈良のエリアガイド
①奈良エリア
神の使いとならでは言われる鹿がいることで有名な奈良公園。その一帯には「東大寺」など、世界遺産に登録されている寺社や歴史のある建造物がたくさんあり、「ならまち」には江戸時代の町屋が建ち並ぶなど、歩いているだけで奈良の歴史を感じることができます。また、アーケードのある商店街や「ならまち」にあるショップで、様々なジャンルのショッピングも楽しむことが出来ます。
②飛鳥・橿原(あすか・かしはら)エリア
奈良盆地の南に広がるエリアで、古代遺跡が残っている飛鳥歴史公園のほか、7~8世紀の和歌にも詠われる、天香久山(あまのかぐやま)、畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)からなる「大和三山(やまとさんざん)」は、国の名勝に指定されました。また、日本最古の道といわれている「山の辺の道」、初代天皇を祀る「橿原神宮」、江戸時代の町屋が残る「今井町」など、様々な日本の歴史を気軽に辿ることができます。
③生駒・斑鳩(いこま・いかるが)エリア
奈良の西部、大阪との県境にあたる生駒山は数々の神話や伝説があるエリアとして知られており、信仰の山としても昔から奈良の人々に親しまれています。また、斑鳩(いかるが)は厩戸皇子、別名聖徳太子のゆかりの地であり、「法隆寺(ほうりゅうじ)」など聖徳太子に縁のある施設が点在しています。
④吉野エリア
奈良の中央から南部に広がる山深い地域で、様々な成分を含んだ天然の温泉もいくつかあり、奈良の自然の恵みを満喫できるエリアです。春は桜、夏は紫陽花、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の風景が楽しめます。
詳しくは「 世界遺産の町・奈良観光ガイド〜奈良・飛鳥・斑鳩・吉野などエリア紹介も〜 」をご覧ください。
奈良の観光案内所
奈良市観光センター
近鉄奈良駅に通じる「やすらぎの道」と、JR奈良駅に通じる三条通りの交差点にある観光案内所です。9時から19時まで英語、9時から15時30分まで中国語と韓国語に対応しており、Free WiFiもあります。開館時間は9時から21時です。
住所:奈良県奈良市上三条町23−4
電話番号:0742-22-3900
奈良市総合観光案内所
JR奈良駅の旧駅舎が、現在は観光案内所として利用されています。開館時間中外国語に対応しているほか、インターネットに接続した観光情報検索コーナーもあります。開館時間は9時から21時です。
住所:奈良県奈良市三条本町1082 JR奈良駅北東隣
電話番号:0742-27-2223
近鉄奈良駅総合観光案内所
近鉄奈良駅1Fにある総合観光案内所で、市内の観光地図や各種チラシ、パンフレットなどが手に入ります。開館時間の9時から21時まで、英語対応しています。
どの観光案内所も、オススメの観光スポットやグルメなどをていねいに教えてくれるので、気軽に立ち寄るといいでしょう。
住所:奈良県奈良市東向中町(ひがしむきなかまち)29 近鉄奈良駅ビル1F
電話番号:0742-24-4858
奈良のオススメ観光スポット10選
1.東大寺
8世紀に国を挙げて建立された寺で、世界遺産に登録されています。世界最大の木造建築である大仏殿、素晴らしい彫像が並ぶ法華堂(ほっけどう)、奈良に春を呼ぶ行事「お水取り」が行われる二月堂などがあり、二月堂の境内からは奈良の街並みを一望できます。大仏殿にある高さが約15メートルの大仏と、南大門にある金剛力士立像を、ぜひご覧ください。
住所:奈良県奈良市雑司町(ぞうしちょう)406-1
2.法隆寺
法隆寺は世界最古の木造建築として広く知られており、7世紀に建立されました。現在は、五重塔と金堂を中心とする西院伽藍(さいいんがらん)と、夢殿を中心とした東院(とういん)伽藍に分かれており、世界遺産に登録されています。
法隆寺:奈良県生駒郡斑鳩町(いかるがちょう)法隆寺山内1-1
3.奈良公園
奈良公園の広大な敷地には、東大寺、春日大社、興福寺、正倉院といった、世界遺産に登録されたお寺や建造物に加え、浮見堂や浅茅ヶ原園地(あさじがはらえんち)といった景勝地や奈良国立博物館などたくさんの観光スポットがあり、1日では回りきれないほどです。また、奈良公園の東にある若草山の背後に広がる、春日大社の聖域である春日山原始林には遊歩道もあります。奈良公園で有名なのが、1000頭を超える鹿。夏にホルンで鹿を呼び寄せる「鹿寄せ」や秋に行われる「角きり」は、観光客に人気のイベントです。
住所:奈良県奈良市雑司町469
4.西ノ京:薬師寺と唐招提寺
奈良7世紀に造営が開始され、8世紀に現在の位置に移転された薬師寺。金堂、大講堂、東西の塔など8つの建物から成る寺院です。柱などに使われている朱色が印象的です。
薬師寺から10分ほど北に歩くと、唐招提寺(とうしょうだいじ)があります。唐招提寺は中国から来日した僧侶・鑑真(がんじん)が東大寺で5年過ごした後、旧宅を利用して戒律を学ぶ人たちの修業の道場をはじめたのが始まりで、その後鑑真を支持する人たちが講堂や仮金堂などの建物を寄贈しました。鑑真が亡くなった後に金堂や東塔(落雷で焼失)を建て、8世紀末には今の姿になったといいます。中でも金堂は当時の建築様式を今に伝える、貴重な建築物になっています。薬師寺、唐招提寺いずれも世界遺産に登録されていますので、どうぞお見逃しなく!
薬師寺:奈良県奈良市西ノ京町457
唐招提寺:奈良県奈良市五条町13-46
5.春日大社
春日大社は古来より神事・祭祀を行っていた藤原氏が当時の都、平城京を守るため、神様がいなかった三笠山に神様をお連れしたのが始まりと言われており、藤原氏の氏神様が祀られています。朱の柱、白い壁、檜皮屋根が昔と変わらぬ姿のままなのは、20年毎に社を造り替える「式年造替(しきねんぞうたい)」が行われているからです。こちらも世界遺産に登録されており、朱塗りの廻廊と釣燈籠がおりなす風景が、とても印象的です。詳しくは「今だけ!春日大社 20年に一度の「式年造替」で、140年ぶりの特別参拝を」をご覧ください。
住所:奈良県奈良市春日野町160
6.平城宮跡(へいじょうきゅうあと)
かつての都「平城京」の広大な跡地に、当時の施設を復原した施設が平城京跡です。復原された大極殿、朱雀門や東院庭園、また平城宮跡資料館や復原事業情報館、遺構展示館があります。世界遺産のひとつで、悠久の時の流れを感じることのできるスポットです。
住所:奈良県奈良市佐紀町
7.弥勒菩薩(みろくぼさつ)・中宮寺
法隆寺に隣接する中宮寺には、木造の弥勒菩薩像があります。腰をかけて右足を左足の膝(ひざ)にのせ、手を頬に寄せて思索するお姿がロダンの「考える人」を思い起こさせることから、「東洋の詩人」とも呼ばれ、その微笑みは、「古典的微笑(アルカイック・スマイル)」として知られています。特異な木寄せによって作られたこの菩薩像は、当時の彫刻の最高傑作と言えます。
住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2
8.吉野山
吉野山は桜の名所として知られており、約200種30,000本の桜が咲き乱れる様は、「一目千本(ひとめせんぼん)」と呼称されています。これは、「一目に千本見える豪華さ」という意味です。
また、桜の開花時期には差があり、下千本(しもせんぼん)、中千本(なかせんぼん)、上千本(かみせんぼん)、奥千本(おくせんぼん)の4つのエリアが順に開花するので、長い間桜を楽しむことができます。夏には「蛙飛び行事」や「七夕祭り」、「桜燈火」など、様々なイベントがあり、秋にはロープウェイからの紅葉の眺めも絶景です。雪に覆われる冬には静寂(せいじゃく)が訪れ、節分には鬼が街を練り歩く姿も見られます。
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山
9.石舞台古墳
石舞台古墳は明日香村にある古墳で、墳丘の土がなくなって石棺だけが残っており、当時の権力者であった蘇我馬子(そがのうまこ)の墓といわれています。30数個ある岩の総重量は約2,300トン、天井の石だけでも約77トンあり、当時の優れた土木・運搬技術の高さがうかがえます。飛鳥歴史公園を訪れるなら、ぜひ訪れたいスポットのひとつです。
住所:奈良県高市郡明日香村島庄(あすかむらしましょう)254
10.ならまち
ならまちは元興寺の旧境内を中心とした地域で、正式には奈良町都市景観形成地区と呼ばれています。元興寺は世界遺産に登録されている寺で、その屋根瓦の一部が当時のままという、日本最古ともいわれる瓦が残っています。「奈良市ならまち格子の家」では、間口が狭く奥行きが長い町屋独特の建築を見ることができるだけでなく、江戸時代の暮らしを体感することもできます。おしゃれなカフェやかわいい雑貨店、またいろんな工房もあるので、ショッピングや体験見学も楽しめます。
ならまちを歩いていると、家の軒先に赤いぬいぐるみがぶら下がっているのが目に入ります。これは、ならまちにある仏堂「庚申堂(こうしんどう)」の身代わり猿で、災いを代わりに受けてくれるお守りです。
各名所については、「 1400年の歴史を感じる、日本の古都・奈良の観光名所10選 」の記事もぜひご覧ください。
奈良町情報館:奈良県奈良市中院町21
奈良のオススメモデルルート
2日で奈良を回りきる、オススメルートをご紹介します。
1日目の朝は奈良公園を歩いて東大寺、春日大社、興福寺に行ってみましょう。お昼に奈良の郷土料理をいただいたら、元興寺へ。元興寺を出れば、そこはならまち。残された時間でじっくり歩いてみてください。
2日目は、朝に薬師寺と唐招提寺に行った後、平城宮跡で奈良の昔の栄華を感じてみましょう。お昼に法隆寺へ行ったら、その足で明日香村の石舞台古墳へ。そのほかの古代遺跡群をご覧になりたい場合は、レンタルサイクルがオススメです。
詳しく知りたい方には、「 2日で奈良を満喫する。奈良のオススメ観光ルート 」の記事もオススメです。
奈良のお祭り・イベント
若草山焼き
毎年1月の第4土曜日に行われる若草山焼きは、奈良に早春を告げるイベントです。東大寺、春日大社、興福寺の神仏が集まり、先人の鎮魂や慰霊、さらには奈良全体の防災と世界の平和を祈るもので、600発の花火を合図に若草山に火がつけられます。
開催場所:奈良公園内 若草山一帯
春日祭
春日大社の例大祭で、かつては申の日に行われていたことから申祭(さるまつり)とも呼ばれています。3月10日に春日山中の榊を伐り出して一の鳥居の左右の柱に立てる「辰の立榊式(たつのたてさかきしき)」、11日に祭員一同を清める「巳の祓式(みのはらえしき)」と土地の神を祝い鎮める「牛の御酒式(うしのみきしき)」、そして12日に神前に新しい清砂(きよめすな)を置く「羊の砂置式(ひつじのすなおきしき)をして準備が整えば、13日の祭当日に天皇陛下の奉納物を携えた勅使をお迎えし、国家の安泰と国民の繁栄を祈って儀式が執り行われます。なお、祭の間春日大社はご参拝いただけませんので、ご注意ください。
なら燈花会
なら燈花会(とうかえ)は毎年8月上旬の10日間、奈良公園一帯をろうそくでライトアップする、奈良の夏の風物詩です。「燈花」とは灯心の先にできる花の形をした蝋(ろう)のかたまりのことで、仏教で縁起がよいといわれていることからこの名がつきました。ろうそくの灯火に浮かび上がる奈良の風景は、幻想的かつ神秘的です。
奈良大文字送り火
大文字といえば京都が有名ですが、実はここ奈良にもあります。8月15日に戦没者慰霊と世界平和を祈って、高円山でおこなわれる火の祭典です。神式と仏式が共存する大変珍しいもので、「大」の字は宇宙を意味するといわれています。
奈良のおみやげ10選
奈良といえば柿の葉寿司、奈良漬、大仏プリン、葛餅など、おいしいおみやげがたくさんありますが、どれも生ものなので賞味期限が気になるところ。ここでは、そんな心配のいらないおみやげ10選をご紹介します。
1.奈良漬クッキー
奈良漬を刻んでクッキーに入れたもので、これが意外と合うと好評です。奈良漬のアルコールは蒸発して旨みだけが残り、おいしいだけでなくヘルシーなクッキーです。
2.鹿サブレ
横田福栄堂の鹿サブレは、奈良の鹿をイメージして作られたサクサクのサブレ。見た目もかわいいと、定番のおみやげとして人気の商品です。
3.御神鹿のふん
ネーミングに一瞬眉をひそめてしまいそうですが、奈良のおみやげの定番。ピーナッツをベースに、しょう油味と、チョコレートでコーティングしたチョコ豆の2種類があります。
4.奈良にしかない飴
「ぜいたく豆本舗」では昔懐かしいお菓子のほか、大仏様や鹿の顔がモチーフになっている金太郎飴(※1)があります。
※1:金太郎飴(きんたろうあめ)……切った断面が顔になるように細工された棒状の飴。
5.あられ酒
奈良の酒蔵として有名な「春鹿」が作る飲用みりんで、かつて都の貴族が重宝した「甘美酒」、和製リキュールです。後味の残らない、上品な甘さをぜひ一度お試しください。
6.鹿みくじ
春日大社で購入できる「鹿みくじ」は、奈良の伝統工芸である一刀彫でできています。ひとつひとつ手作りで顔の表情も違うので、お気に入りのものを探してみてくださいね。
7.化粧筆
奈良の伝統工芸に奈良墨や奈良筆があり、上質の書の道具を揃えに来る人も多いのですが、「あかしや」ではその技術を生かした高品質の化粧筆を多く取り揃えています。
8.ならふきん
鹿や東大寺、春日大社の万燈籠(まんとうろう)など、奈良の風景が描かれた綿素材のふきんで、吸収がよいと好評です。
9.鹿グッズ
鹿のキーホルダー、鹿のしおり、鹿のクリップ、木の鹿カードスタンドなど、鹿をモチーフにしたかわいいグッズがたくさんあります。
10.仏像スタンプ
仏像グッズもいろいろありますが、奈良国立博物館ミュージアムショップで手に入る仏像スタンプは、遊び心もあって和むデザインです。
奈良のショッピング
JR奈良駅のVIERA
JR奈良駅の高架下にあるVIERAには、奈良みやげを扱っている「奈良みやこ路」や、柿の葉寿司や奈良漬などの特産品や名産品が豊富な「奈良銘品館」など22店舗入っていて、おみやげ探しにとても便利です。
近鉄奈良のTime’s Place 奈良
近鉄奈良駅構内にあるTime’s Placeには、奈良みやげの「GOTO-CHI」をはじめ、柿の葉寿司や和菓子のお店など14店舗あります。
奈良のホテル
日帰りで訪れる人も多い奈良は、他都市に比べて宿泊施設が少ないのですが、その中でも選りすぐりのものをご紹介します。
JR奈良駅よりデッキで直結している「スーパーホテルLohasJR奈良駅」は、1泊10,000円以下にもかかわらず温泉「あすかの湯」に入ることができ、朝食が無料。新しいホテルなので清潔感もあり、観光にも便利で申し分のないホテルです。
また、同じくJR奈良駅に直結している「ホテル日航奈良」は4つ星ホテルながら、プランによっては12,000円から利用できます。
もっとリーズナブルに奈良に滞在したい方は、近鉄奈良駅に近く観光に便利な「奈良ゲストハウス3F」や「ゲストハウス粋」、ならまちで町屋を宿として提供している「町屋ゲストハウスならまち」があります。
奈良で特別なひとときを過ごしたい人には、「料理旅館江戸三」がオススメです。奈良公園内にある数寄屋造り(※2)の離れ5棟、つまり全5室しかない旅館ですが、2食つきでも通常プランでお一人様20,000円から利用できます。また、老舗「奈良ホテル」や「登大路(のぼりじ)ホテル」といった4つ星高級ホテルも人気です。
「やなせ屋」では町屋宿泊体験ができます。詳しくは「日本家屋に泊まろう! 奈良・五條の町家宿泊体験レポート」をご覧ください。
※2:数奇屋(すきや)作り……茶室風の日本の建築様式。
奈良の「食」
奈良には名物の食べ物がたくさんありますが、その中でも代表的なものをご紹介します。
奈良漬
奈良漬は、白うりやきゅうり、生姜などの野菜を塩漬けにし、何度も酒粕(さけかす)に漬け替えながらできた漬物で、その歴史は8世紀にまでさかのぼります。熟成させるには3年から17年かかるそうで、アルコール分を含む奈良漬は他の漬物とは違った独特の風味がします。
茶がゆ
奈良の伝統的な朝ごはんである茶がゆは、米をほうじ茶などのお茶で炊いたおかゆのことで、1200年も前から僧侶の食事として食べ継がれてきました。奈良の茶がゆは水分が多めで、さらっとしているのが特徴です。
柿の葉寿司
山に囲まれた奈良では、運搬方法や冷蔵技術のなかったその昔、海産物や塩が貴重でした。薄くすいた塩鯖(しおさば)をにぎり飯に添え、柿の葉で包んで重石をきかせたものを、夏祭りのご馳走として食べたのがはじまりといわれています。今は鯖だけでなく鮭や鯛、穴子に海老も加わり、一口サイズの寿司がひとつひとつ柿の葉に包まれているのが食べやすいと好評です。
詳しくは「 葉っぱに包まれた不思議な寿司、奈良名物「柿の葉寿司」とは? 」をぜひお読みください。
奈良の気候、服装
奈良の北部は盆地のため、夏はかなり蒸し暑く冬はとても寒いのですが、雪が積もることは少ないです。春と秋は過ごしやすく、夏は暑さ対策を、冬は防寒を十分にしてください。また、山間部の冬の冷え込みは厳しいのでさらなる防寒が必要になるほか、春に吉野山へ桜を観に行く場合でも防寒対策を忘れずにお出かけください。
そのほか旅のお役立ち情報
外貨と日本円を両替したいときは、銀行の外貨両替サービスやセブンイレブンのATMを利用してみましょう。
手持ちの現金がなくなったときは、「PLUS」マークのあるATMを探してみましょう。簡単に海外キャッシングサービスを利用することができます。
ホテルに宿泊する際、日本語が使えると便利です。簡単なフレーズを紹介。
日本には、外国人観光客向けの便利なWi-Fiサービス「Japan Connected-free Wi-Fi」があります。事前にアプリをダンロードしておきましょう。
photos by PIXTA
日本への訪日外国人の方が、もっと増えますように!