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【東京・谷根千】100年続くロングセラータワシ「亀の子束子」の秘密
"亀の子束子"は日本の偉大な発明品の1つ。野菜を洗ったり、掃除や健康目的でも使える便利グッズです。創業1907年、100年以上も愛され続けるタワシの秘密を探りに、MATCHA編集部が東京・谷根千にある直営店を取材しました!
「亀の子束子(かめのこたわし)」という名前を知らなくても、亀が描かれた袋に入ったタワシを見たことがある人もいるでしょう。亀の子束子は日本の家庭や学校など、日本のいたるところで使用されています。
亀の子束子は、鍋や食器だけでなく、体を洗うこともできるすぐれもの! MATCHA編集部が、東京・谷根千にある亀の子束子の直営店で、その歴史や魅力を聞きました!
100年の歴史をもつ「亀の子束子」とは
1907年(明治40年)創業、100年の歴史をもつ「亀の子束子」。創業者の西尾正左衛門(にしおしょうざえもん)が、辛そうに家事を行う母親を見て、タワシの開発を思い立ったのだといいます。
貧しい家に生まれた彼は、便利な商品を発明して母親に恩返ししようと考えたのです。幾度の失敗を乗り越え、西尾はついに最初の商品"亀の子束子1号"を発明。
ヤシの繊維を使った、シンプルで環境に優しいタワシでした。このタワシは、当時の掃除の常識が一変するほどの大発明だったのだとか。
商品の名前の"亀の子"は、西尾の息子が、木桶の水に浮かぶ亀を見て思いついたもの。タワシの形は亀に似ているうえ、亀は長寿の象徴で縁起がいいからこの名をつけたそうです。
「もっと多くの人に手にとってほしい」谷中にも開業
「亀の子束子」の本店兼工場は、JR板橋駅近くにあります。
しかし、「若者や訪日観光客など、もっと多くの人に"亀の子束子"を手にとってほしい」という思いから、2014年に東京・谷根千の谷中にも直営店をオープンしました。谷中は、多くの職人の店が軒を連ね、観光地でもある場所です。
「亀の子束子 谷中店」の店内には、商品がたくさん並びます。スタッフが、用途に合わせたオススメの商品を紹介してくれますよ。
近隣の銭湯「朝日湯」でも、亀の子束子を掃除に使っています。「もし亀の子束子がなかったら、銭湯を清潔に保てない」と、朝日湯で働く人は言います。
"グッドデザイン"受賞、亀の子束子1号
同社の看板商品"亀の子束子1号"は、野菜についた泥を落としたり、まな板や包丁などの調理器具、そして皿を洗うときにぴったりのタワシです。
その見た目も質も、100年前とほとんど同じ。ヤシ繊維の密度を大切にし、熟練の職人の技で、耐久性や洗浄力の高いタワシを作り続けています。
2013年には、時代を超えて愛される商品に与えられる"グッドデザイン・ロングライフデザイン賞"を受賞し、ふたたび脚光を浴びるようになりました。
店長オススメ!"棕櫚たわし"
店長のイチオシは、"棕櫚たわし(しゅろたわし)"。強度と柔軟性をかねそなえた細かな繊維のタワシは、汚れをきれいに落とすことができます。乾きがはやいのも特徴です。
棕櫚たわしは、陶器などの傷がつきやすいものにも使えます。料理人のなかには、「木製のまな板を洗うときは、棕櫚たわしじゃないと!」という人もいるのだとか。
現代のニーズに合わせた"亀の子スポンジ"
発売と同時に話題になり、ファッションブランド「BEAMS」や「UNITED ARROWS」でも商品が販売されはじめたのが、おしゃれな"亀の子スポンジ"です。
銀イオン成分を加えたスポンジで、菌の繁殖を抑える効果も。日本食品分析センターのテストによると、使用後6時間には、食物中毒の原因になる菌のほとんどが殺菌できたそうです。
スポンジの厚さにもこだわりが。女性が手に持ったときにフィットする2.7センチで、お皿が洗いやすいんです!
さまざまなタワシ
「亀の子束子」では、上で紹介したもののほかにも、多様なタワシをとりあつかっています。
貝殻のように可愛らしい見た目なのは、サイザル麻を使った"白いたわし"。軽い汚れなら、洗剤をつけなくても清潔に皿を洗えます。柔らかい感触が特徴で、キッチンに飾ってもおしゃれです。
カラフルなタワシ"シマシマ"は、持ち運びに便利。ホワイトパームとポリプロピレンでできています。釣り具や弁当箱を洗ったり、万能なアウトドアのお供としても活躍しますよ。
大きめの"健康たわし"シリーズは、入浴時のマッサージや、体の角質をとりたいときに使えます。材質や硬さの違う4種類があり、商品の名前は「亀の子束子」の社員の姓から取っています。
たとえば、サトオさんは性格が優しいので、一番柔らかい素材のタワシの名前は"サトオさん"です。
おみやげや限定商品も!
タワシのほかにも、日本旅行のおみやげになりそうな商品もありますよ。オススメは、金の亀と小さなタワシがついた"亀の子キーホルダー"。健康や恋愛、開運、合格などレトロな包装が特徴です。
直営店でしか買えない商品が、トートバッグです。レトロさとモダンさが合わさったルックスで、取材したMATCHA編集部も欲しくなってしまいました!
まとめ
「亀の子束子」は、100年以上継承される職人技を生かしながらも、現代の生活にマッチする新しいタワシを生み出してきました。
この企業努力のおかげで、タワシは毎日の暮らしや、料理や銭湯など職人の活躍する舞台で、欠かすことのできない存在となったのです。タワシはもはや、キッチンの片隅にひっそりと置かれる道具ではなくなりました。
取材後、MATCHA編集部は亀の子束子を使って、自宅のエアコンのフィルターと浴槽を洗いました。力を入れずに洗えて、洗剤もあまり使わずに汚れを落とせました。部屋が快適な空間に生まれ変わりましたよ!
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In cooperation with Kamenoko Tawashi