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日本一の料理道具オタクが開発!劇的に料理が楽しくなる5つのアイテム
日本中の道具が集まる街、浅草・かっぱ橋。そこに、プロから一般客まで絶大な信頼を集める料理道具店があります。豊富な品揃えの店内には、なんと社長自ら企画・開発した商品まで! そんな「料理道具オタク」の社長が厳選した、とっておきの商品をご紹介します。
浅草・かっぱ橋で大人気!料理道具店「飯田屋」
「肉を焼くのに特化したフライパンはありますか?」「ヤマイモをできるだけ細かくおろせるおろし金がほしい」「いや、もうちょっと小さいサイズがいいなぁ」
そんな料理道具に関するすべてのワガママに応えてくれる店が、日本を代表する道具の専門街、浅草・かっぱ橋にあります。
「飯田屋」は日本各地、そして世界中から料理道具を仕入れ、販売する専門店。プロの料理人から一般のお客さんまで「ここに来れば理想の料理道具が見つかる!」と絶大な信頼が寄せられています。
開発にも関わる"日本一"の料理道具オタク
社長の飯田結太(いいだ ゆうた)さんは、"日本一"とも称されるほどの料理道具オタク。しかも、ただ詳しいだけではありません。
「この商品は、僕が開発に関わりました」。なんと自ら、料理道具を企画・開発してお店で販売しているのです。ほとんど力を入れずに使えるピーラー、あらゆるパンをうまく切れるパン切り包丁……ユニークな発想で生み出された商品には、技術とこだわりが詰め込まれています。
料理道具で埋め尽くされた店内はまるでジャングル
そんな飯田屋のこだわりアイテムを、実際に使って試してみました。本記事では8,500種類あるという店の商品から、飯田さんが厳選した5アイテムをご紹介。知られざる料理道具の世界に迷い込みましょう!
1.驚くべき切り心地!「エバーピーラー」
現在、飯田さんがもっとも自信を持ってオススメしている商品が、こちらの「エバーピーラー」。飯田さんが企画して生まれた商品です。
企画のきっかけは、お客さんの一言でした。「リューマチで手の不自由なお客さんが『握力が弱くても使えるピーラーがほしい』と探しに来られたんです。いろいろ商品を試してもらったのですが、切るのに力が必要だったり、ピーラー自体が重かったりして、どれも合いませんでした」
後日、飯田さんは市販されている約200種類のピーラーを使い比べましたが、どれもお客さんの要望に応えられそうになかったといいます。
こだわりは、刃の角度
左が通常のピーラーの使い方。右がエバーピーラー。野菜を持つ位置を変えることで、手を傷つけることがない
「じゃあ、もう自分で作ってしまおう」
飯田さんはいくつものメーカーに企画を持ちかけましたが、断られ続ける日々。「そんな中、あるメーカーから『切れ味がよすぎたら、指を切ってしまう』と言われたんです」
ピーラーは通常、上から下の方向に使います。しかしそれだと、切れ味がいいピーラーの場合、指を切ってしまう恐れがある。飯田さんはそれを聞いて「ピーラーの使い方自体を変えたらいいんじゃないか?」と思いつきました。
「野菜を持つ手の位置を変えて、ピーラーの刃の角度に傾斜をつければ、手も傷つけることなく、スムーズに切ることができるのではないか、と」
試作したピーラー。すべて1度ずつ刃の角度が異なっている
企画に賛同してくれた岐阜県のメーカー「SUNCRAFT(サンクラフト)」と共同開発し、17種類のピーラーを試作しました。試作品では1度ずつ刃の角度を変えて切りやすさを追究。「角度が30度になったとき『これだ!』と決まりました」
硬い刃で、みずみずしい切り口に
エバーピーラーで切ったあと。切り口がみずみずしく光っている
無事完成し、現在販売されているエバーピーラーを実際に使ってみました。まず持ってみると、確かに非常に軽い。
そして、驚くほどなめらかな切り心地! ほとんど力がいりません。野菜の切り口は、水をかけたような潤いがあります。
カボチャのように硬い皮の野菜もきれいに切れる
この潤いは、刃の硬さに関係があります。「エバーピーラーの刃は、手術用のメスと同じレベルの硬さ。刃にとって硬さは非常に重要なんです」と飯田さん。
右側が一般的なピーラーで切ったあと。切り口が白っぽくザラザラしている。左側がエバーピーラー
刃が軟らかいと、次第に摩耗して切りにくくなってきますが、エバーピーラーの刃は非常に硬いため長持ちします。また、野菜の細胞を壊さず切れるため、なめらかでみずみずしい切り口になるのだそう。一般的なピーラーだと細胞が壊れ、ザラザラした切り口になるといいます。
長く使えるピーラー
左が最後の試作品。キャベツなど大きな野菜も切れるようにと、最終的にサイズを大きくして右の形になった
現在は飯田屋の看板商品の1つになっているエバーピーラー。もし切れづらくなってきたとしても、刃だけを別売りしているため、買い換えることなく本体はそのままずっと使えます。
「料理道具は、使えば使うほど手に馴染んできます。せっかく馴染んだのに交換するのはもったいない。刃だけ交換して、ずっと長く使ってほしいと思っています」。そんな飯田さんの願いとこだわりが随所にみられる逸品です。エバーピーラー(SUNCRAFT)は、税込2,200円。
2.すべてのパンに対応できる「パン切り包丁」
パン切り専用の包丁「せせらぎ」。こちらも飯田さんが開発に関わった商品です。
通常のパン切り包丁と、何が違うかわかりますか?
実は、1本の包丁の中に、異なる2つの刃があるのです。前方部分の刃は波が大きく、中心部から後方にかけての刃は細かい波になっています。
硬いパンでも、軟らかいパンでも
この刃の違いによって、パンの硬さに応じて切り分けることが可能に。前方部分は硬いパンを切るのに適しています。
試してみると、硬いパンにもスッと入っていきました。気になるパンくずも、ほとんど出ません。
包丁の真ん中部分は、食パンなど軟らかめのパン用。軟らかい生食パンで試してみましたが、ほとんど力を入れずに切ることができました。
この1本で、すべてのパンが切れる
店内にある、パン切り包丁に特化したコーナー
飯田さんは従来のパン切り包丁に疑問を持っていました。「パンは、ドイツのパンのように硬いものから食パンのような軟らかいパンまで、さまざまな硬さがある。なのに、すべてを1つのパン切り包丁で切るのはおかしいんじゃないかと」
こうしてできたのが、1本であらゆるパンに対応できる包丁でした。これがあれば、どんなパンを買っても安心です。パン切り包丁「せせらぎ」(SUNCRAFT)は、税込5,500円。
3.料理が劇的に楽になる!「ぶんぶんチョッパー」
ここからはオリジナル商品以外の、飯田屋の人気商品をご紹介していきましょう。
「店にある商品の中で、私の妻が『一番便利!』と言ったのがこれです」と飯田さんが見せてくれたのが写真のぶんぶんチョッパー。
ヒモを引くだけでみじん切りに
なんと、ヒモを引くだけで野菜がみじん切りになるという便利アイテム。
「こういう商品はこれまでもあったのですが、サイズが小さかった。ぶんぶんチョッパーは大きいので、大きな野菜でもみじん切りにすることができます」と飯田さん。
ニンジンを使って試してみました。
何度かヒモを引っ張っていくと……。
硬い生のニンジンが、こんなに細かいみじん切りに! 飯田屋の中でも1、2を争う人気商品といい、現に取材中も目の前でお客さんが購入していきました。ぶんぶんチョッパー(K&A)は税込2,420円。
4.極上の食パンが焼ける「手編みの焼き網」
京都の職人が手編みで作っているという焼き網。飯田さんは、「これでぜひ食パンを焼いてほしい」と言います。
この焼き網は、網が二層構造になっています。そのため、適度な距離を保ちながら、5分足らずの短時間で食パンに焼き色がつきます。
一気に焼き上がるため、表面はカリカリの焼き加減、内部は水分が残っていてしっとり。数万円の家電製品を買わずとも、この1枚で極上の食パンを食べることができます。
飯田さんはこのクオリティに感動し、たまらずこの焼き網を作った京都の職人を訪ねたそう。「実際に作業現場を見ると、本当に1枚1枚心を込めて作っていたんです」。職人さんに熱意を伝え、少量ずつ仕入れられるようになりました。
手編みの焼き網(辻和)は、税込3,300円。
5.人生を変えてくれた「おろし金」
「楽楽おろしてみま専科 極み」
「これは、僕が"おろし金界のベンツ"と呼んでいる品です」と飯田さんが取り出したのが、大きく重厚なデザインの大根おろし器「楽楽おろしてみま専科 極み」。
大根をおろしてみると、細かく鋭い刃が大根をしっかりととらえ、みるみるうちに大根おろしになっていきます。豪快な切れ味が気持ちいい!
これは、飯田さんが店で働き始めてまもない頃に出会った、思い出の商品でもあります。「当時お客さんに『大根が軟らかい食感になるおろし金はない?』と聞かれたんですが、商品を使ったこともなく全然わからなかった。いろんな商品を取り寄せて使い比べたら、このおろし金だけ仕上がりがまったく違ったんです」
できた大根おろしは、ふわふわの食感。しかも、大根が甘い。「大根は細胞が壊れることで辛味成分が出てきます。でもこれは刃の切れ味がいいので、細胞が壊れない。辛味成分が抑えられて、甘みが感じられるんです」。飯田さんが解説します。
「そのお客さんにもこのおろし金を買っていただけました。実際に自分で商品を使って試さなければ、売ることはできない。そのことに気づいたという意味で、僕の人生を変えてくれた品なんです」
「楽楽おろしてみま専科 極み」(Arnest)は税込5,500円。
「道具なんて全部一緒」と思っていた
現在はオタクを自認する飯田さんですが、意外なことに、もともとまったく料理道具に関心がなかったと話します。
「大根おろし器について全然知らなかったように、僕はオタクでも何でもなかった。『道具なんてみんな一緒だろう』とすら思っていました」
家業だった飯田屋に20代で入社してもあまり興味が持てず、仕事に身が入らない日々が続いていたそう。
そんなある日、1人のお客さんが来店しました。サラリーマン風のお客さんで、ケーキ型を探しに来たといいます。
飯田さんがいくつか商品を見せると、その人は言いました。「素材はステンレス? ニッケルは何%、クロムは何%含有されてるの?」
専門的な質問についていけず、答えられずにいると、お客さんが事情を話します。「子どもが重度の金属アレルギーで、市販のケーキ型はどれも金属でできているから使えない。でも自分の子には、ケーキの味を知らずに育ってほしくない。だから金属を使わないケーキ型を探しているんです」
結局よい商品を見つけられず、お客さんは何も買わずに帰っていきました。この出来事に大きなショックを受けたという飯田さん。
「専門知識も商品もない専門店なんて、最悪です。その時から、あらゆる料理道具を自分で試して、知識をつけようと決めました。自分の経験と知識をもとにお客さんに話をすると、みんな嬉しそうに買ってくれるんです」
道具によって、人の人生に関わることができるーーこの道を天職と感じた飯田さんですが、ケーキ型を探していたお客さんは、あのとき以来、来店していないといいます。
「僕は店のすべてのコーナーに、プラスチック製品を置いています。あの方がいつでも店に来れるように」
食文化を、道具で変えたい
飯田さんは、「僕たち道具屋の使命は、道具を進化させていくこと」と語ります。「鍋ができて『煮る』ことが始まったり、フライパンができて『焼く』ことが始まるなど、料理の進化は、まず道具から始まりました。
ピーラーは小さい道具ですが、これまでより少し切れやすくなることで、未来の食文化が少しだけ変わるかもしれない。そんな進化に関わりたくてこの仕事をしています」
店に来て、選んでほしい
「ぜひ店に来て、手にとって料理道具を見てもらいたい」と話す飯田さん。
「ネットで買っても、自分の思っていた品じゃなかった、ということがよくあります。だからお店に来て、実際に実物を触って試してから買ってほしいんです」
店内にはスタッフが作成したポップがいたるところに
飯田さんのモットーは、「すべての人にとって使いやすい料理道具はない。でも、目の前の人にぴったり合う道具は必ずある」。
お客さんとの出会いによって、新しい道具が生まれてきました。今もまた、飯田さんは新商品を開発中。"その人"に一番合う料理道具を追究し続けています。
浅草・かっぱ橋の飯田屋に来れば、あなただけの料理道具が、きっと見つかるでしょう。
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In cooperation with 飯田屋
MATCHA Editer.