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浅草「江戸たいとう伝統工芸館」で、いまも息づく日本の工芸技術を知る
「江戸たいとう伝統工芸館」では、東京の下町を代表する工芸品が展示されています。入場は無料! 日本の伝統工芸についてより深く学びたい方には必見の施設です。
東京都の中心部は、全部で23の「区」に分けられています。浅草のある台東区は、その中でも一番面積の小さい区です。一方、伝統的な工芸品を手がける工房が、東京で最も密集しているのも台東区です。浅草を含む台東区は、東京でも有数の「モノづくり」の町なのです。
そんなモノづくりの町浅草に、東京の伝統工芸を一同に集めた施設があります。本記事でご紹介する、「江戸たいとう伝統工芸館」です。
江戸の工芸品を一度に鑑賞できる、江戸たいとう伝統工芸館
日本最古の遊園地「花やしき」のすぐそばにある、浅草ひさご通り商店街を中ほどまで進むと、「匠(たくみ)」と大きく書かれた幕を見つけることができます。そこが「江戸たいとう伝統工芸館」の目印です。
そもそも「江戸」とは、150年近く前まで使われていた、東京の昔の呼び名です。台東区で今も守られている工芸の歴史は、江戸と呼ばれた時代から続いているのです。
そんな江戸の工芸技術のすばらしさを広く日本、そして世界の人々に知ってもらうため設立されたのが「江戸たいとう伝統工芸館」というわけです。
東京中の工芸品が展示される2階
館内は1Fがインフォメーションカウンターを含むロビーとなっており、2Fが工芸品を鑑賞できる展示コーナーになっています。
ここでは全部で45種類あると言われる江戸工芸の中から、特にみなさんに知っていただきたい工芸品をご紹介します。
江戸切子
江戸切子(えどきりこ)は、江戸時代後期に江戸の日本橋で生まれたと言われるガラス工芸です。二層のガラスの表面を削って意匠性を加える技法のため、ガラスの透明感と美しいデザインの両方を楽しむことができます。
その繊細な美しさと技術性の高さから、1985年には東京都の伝統工芸品に、2002年には国の伝統的工芸品にも指定されています。
「江戸たいとう伝統工芸館」では近くから美しい江戸切子の工芸品が見られます。
江戸指物
「指物(さしもの)」と呼ばれる家具類です。昔から人口密集地だった浅草では、このような日用家具の技術が発展しました。
京都には精巧な彫り物がデザインされた「京指物」がありますが、こちらの江戸指物はまた違った特徴を持っています。
江戸指物は木目を活かしたシンプルなデザインで、彫り物などの装飾はあまり施されません。使えば使うほど味が出るため、いまでもファンの多い工芸品です。
銅工芸
美しく輝くこちらのカップやお鍋は、銅板を叩いて作った銅工芸です。器の表面にできた、細かな小さな穴は、すべて職人さんが手作業で銅板を叩いて作った証拠です。
神輿工芸
浅草では、三社祭を始めとするお祭りが1年を通し町をにぎわせています。お祭りと言えばお神輿(みこし)。
そのため、浅草周辺には、きらびやかなお神輿の装飾を手がける職人さんもいらっしゃいます。
こちらの五重塔の模型は、そんなお神輿職人さんが技術を活かして作ったもの。
近くに寄って観察すると、細部までこだわった精巧さに気づくことができます。このような技術が、日本のお祭りを支えているのです。
ヤスリ
美術品のような派手さはないものの、興味深いのがこちらの「ヤスリ」です。こすって磨くだけの道具なのに、なぜかこんなにも沢山の種類が展示されています。
写真中央にある細長く大きなヤスリは、刀の鍔(つば)用。鍔とは日本刀の刃と持ち手を仕切る装飾具のことです。
こちらのプロペラのような形のヤスリは、ブーツのかかとを研磨するためのもの。
こちらは下駄に鼻緒(靴紐のようなもの)を、取り付けるために使うヤスリです。
職人の集まる町だからこそ、職人の使う道具も工芸品として発達したのだそうです。
毎週土日に開催の、モノづくり実演会
毎週土日曜日には、1Fフロアの畳の間で、職人さんによる伝統工芸の実演会が行われています。
職人さんの生の技術を目にしたい方は、ぜひ土日にお立ち寄りください。
江戸工芸に見惚れたら、おみやげコーナーへ
1Fのカウンターには、展示品と同じく職人の手で作られた伝統工芸品が販売されています。
2Fの展示品に魅了されたなら、こちらで江戸工芸を購入してはいかがでしょう? 気に入った品物を見つけたら、ぜひお買い求めください。
江戸たいとう伝統工芸館では、この他にも2Fの展示品を競り落とすオークションや、実際にモノづくりを体験できる「手作り教室」も開催しています。不定期開催のため旅行者の方は予定を組みづらいかもしれませんが、タイミングが合ったならぜひ参加してみてください。
江戸たいとう伝統工芸館
住所 :台東区浅草2-22-13(浅草ひさご通り商店街内)
開館時間 :10:00〜20:00 ※週末の職人による実演は11:00〜17:00
入館料 :無料
電話番号 :03-3842-1990
言語対応 :日本語、英語
公式HP :江戸たいとう伝統工芸館
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