世界三大漁場・三陸の釜石へ!伝統を生かしたサンマ・イクラの食べ方を楽しむ
世界三大漁場のひとつ、三陸沖に面する釜石は、サンマやイクラなどの魚介がたくさん獲れます。ここで地域伝統の調理方法を大切にしながらおいしい加工品を作っているTRS食品や、オーシャンビューとともにグルメが楽しめる「魚河岸テラス」などを紹介します。
水産物の宝庫、三陸の釜石
寒流(親潮)と暖流(黒潮)が交わる地点にあり、魚のエサとなるプランクトンが豊富な三陸沖。季節ごとにさまざまな魚介が獲れることから、「世界三大漁場」のひとつに数えられています。
その三陸沖に面する岩手県釜石市の周辺も、サンマやサケ、サバ、ブリ、イカ、スケソウダラなど、多彩な海の幸に恵まれた漁場。
港内の岸壁で釣り糸を垂らす人々の姿からも、海の豊かさが感じられます。
この地の人々は、獲れたての新鮮な魚介を、刺身で味わったり焼いて食べたりするだけでなく、潮風にさらして干したり、塩や醤油で漬けたりして、保存食に加工してきました。
釜石にはそうした伝統を引き継ぐおいしい加工品がたくさんあります。今回は、三陸産の魚介を使って人気の加工品を作っているTRS食品を訪ねました。
三陸への思いを込めた「TRS」の社名
漁業から加工業へ
TRS食品の前身は、昭和の初期に釜石市の隣・大槌町(おおつちちょう)の吉里吉里(きりきり)地区で創業した田中漁業です。
かつては太平洋の全域で魚を獲っていましたが、だんだんとイカの塩辛やボイルホタテなどの加工が中心になってきたことから、1999年に分社化し、TRS食品有限会社が設立されました。
社名の「TRS」は、「TRY SANRIKU」の頭文字を取ったもの。「三陸産の良質な魚の旨みを活かした味づくりと、その発信に挑戦しよう」という思いが込められています。
東日本大震災と、自社ブランド「潮風堂」立ち上げ
TRS食品は、2011年の東日本大震災で、加工場が全壊する大きな被害を受けます。
しかし、それでくじけることなく、残った本社の建物を活用し加工を再開。2012年には自社ブランド「潮風堂(しおかぜどう)」を立ち上げ、三陸産のサケやサンマ、サバ、タコ、スケソウタラなどを使った加工品を手掛けるようになりました。
「取引先を開拓するため、魅力的な商品の開発が必要でした。幸い、私たちは漁業者なので魚の知識がある。どんどん商品数を増やしていきました」。営業部長の田中茂(たなか しげる)さんは、そう振り返ります。
土産土法でおいしい食品づくりを
TRS食品の加工は基本的に土産土法(※1)。獲れたての魚介類を丁寧にさばき、その旨みを活かして味付けしています。さらに、干物に関しては、風が均等に当たるロータリー式の乾燥機を導入するなど、品質の向上に努めています。
震災後、大槌町での防潮堤建設に伴って、TRS食品は2017年に加工場を釜石市に移転。2019年には本社も移転し、新たなスタートを切っています。
※1:土産土法……地域でとれた食材を地域に伝わるやり方で調理したり食べたりすること。
TRS食品の人気商品
こんなTRS食品には、さまざまな人気商品があります。
おみやげにぴったりの「骨まで食べるお魚」
同社の「骨まで食べるお魚」シリーズは、サンマやサケ、ブリを調味して焼いた商品。高圧高温処理により、骨まで食べることができるようやわらかく仕上げています。
常温保存が可能で、袋から出してすぐに食べられる手軽さが、おみやげとして人気の理由です。
全5種のうち主力は、サンマを岩手県産の山葡萄ワインなどで作ったタレに漬けて焼いた「三陸魚の山ぶどう漬焼き(さんま)」。岩手県のレストラン「ロレオール田野畑」の伊藤勝康(いとう かつやす)シェフの提案・監修により、開発したそうです。
山葡萄の酸味がほどよく利いた甘辛いタレとサンマの相性は抜群で、ご飯が進む味です。
なお、サンマは三陸を代表する魚で、日本では昔も今も秋の味覚として親しまれてきました。「骨まで食べるお魚」シリーズには、サンマを使った「三陸干物の塩焼き」「三陸干物のみりん焼き」もあり、それぞれ異なるサンマの旨みを味わえ、楽しく食べ比べできます。
骨まで食べるお魚セット:税込3,240円(サンマの山ぶどう漬焼き ・干物の塩焼き ・干物のみりん焼き、サケのこうじ漬焼き、ブリのこうじ漬焼きが各1袋)
伝統の味をアレンジした看板商品「紅葉漬け」
TRS食品の創業の地・大槌町では、昔から刻んだ生のサケをイクラと一緒に醤油に漬け、保存食として食べていました。
ただ、醤油漬けは時間が経つと味や見た目が変わってしまいます。そのため、同社では岩手県産の米麹と自家製塩漬けイクラを使ってアレンジ。
こうして生まれた「吉里吉里三昧 鮭の紅葉(もみじ)漬け」は、今や同社の看板商品となりました。
脂ののったサケの甘みとイクラのやさしい塩味、米麹の深い旨みが一体となり、ご飯はもちろんお酒にもぴったり。箸が止まらないおいしさです。
吉里吉里三昧 鮭の紅葉漬:税込1,296円(120g)
岩手ならではの味をご自宅で
TRS食品の「潮風堂」ブランドの水産加工品は、オンラインで購入できます。
「骨まで食べるお魚」シリーズは常温で150日、「紅葉漬け」は冷凍で1年と賞味期限が長く、自宅で手軽に味わうのにもってこいです。
ショッピングも食事も楽しめる「魚河岸テラス」
釜石のおみやげを購入しようと訪ねたのが「魚河岸テラス」。釜石湾を一望できる名所で、物販スペースのほか、オーシャンビューが楽しめる4軒の飲食店があります。
1Fの物販スペースには、TRS食品の商品をはじめ、さまざまな水産加工品が販売されています。
買い物を楽しんだ後は、2Fの飲食店「ヒカリ食堂」へ。釜石産や岩手県産食材をふんだんに使った料理が評判の店です。
人気メニューの一つ、「釜石サーモンとイクラの漬け丼」(定食スタイル、税込1,350円)は脂ののったサーモンとプチプチした食感のイクラの取り合わせが絶品。
また、三陸名物の魚・ドンコを使った「ヒカリ印のどんこの唐揚げ丼」(単品、税込800円)も、釜石ならではの料理として見逃せません。
なお、生の魚介類を購入したい方は、JR釜石駅そばの「サン・フィッシュ釜石」にも立ち寄ってみてください。ここでは、購入した魚介類を焼いて食べる海鮮バーベキューも楽しめます。
SNS映えする釜石大観音
Photo by Pixta
釜石でぜひ行ってほしいのが、釜石大観音です。高さ48.5メートルの白亜の像で、1970年に建立されました。海抜120メートルの展望台からは、釜石湾や三陸復興国立公園のリアス式海岸を楽しめます。
大観音の中には三十三観音や七福神の像があり、また、周辺にもスリランカから寄贈されたお釈迦様の遺骨を祀った仏舎利塔、不動明王を祀る不動殿など、見どころが多くあります。
さらに、釜石大観音は「恋人の聖地」に選定され、恋愛成就のパワースポットとしても人気なのだとか。SNS映えする写真撮影スポットもあちこちにあり、旅の思い出づくりにぴったりです。
釜石で、観光とグルメを満喫してくださいね!
Main image by Pixta
In cooperation with TRS食品
Sponsored by Reconstruction fishery processing industry market recovery promotion center