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日本のことば事典「おにぎり・おむすび」
日本で古くから愛される軽食・携帯食「おにぎり・おむすび」。炊いた米を手で握って成形し、中に様々な具材を入れるシンプルな料理です。安くて手軽でおいしいおにぎりは、日本に来た際にぜひ食べていただきたい食品のひとつ。その基本情報を紹介します。
「おにぎり・おむすび」とは日本人なら誰でも食べたことのある、米飯を握り固めた料理のこと。その歴史は古く、おにぎりの原型と考えられる蒸したもち米を握り固め塊が、紀元1世紀の遺跡から発見されているほどです。
兵士の携帯食として、また旅人の携帯食として発展し浸透していったとされるこの食べ物。今でも、急いでいるときやちょっと小腹が空いたときの軽食に、運動会やハイキングなどの行楽のお供にと、日本人の食卓には欠かせない料理のひとつです。
おにぎりとおむすびの違い
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「おにぎり」と「おむすび」とは、どちらも炊いたご飯を手で握り、中に具材を入れた食品です。地域、お店、家庭によっても呼び方はさまざまですが、どちらかが正しいわけでもありません。大きな違いはないとされていますが、呼び方が異なる理由にはいろいろな説があります。
数多い説の中からいくつかご紹介します。まず日本神話に登場する創造神「タカミムスビ」と「カミムスビ」に由来するという説。山を神格化していた古代の日本人は、神の力にあやかるために米を山の形に握った「おむすび」を食べたとされています。
ほかには、平安時代に高い身分の人々は「おむすび」、庶民は「おにぎり」と呼んでいたという説や、「おにぎり」は「鬼を切る(悪霊・悪運をとりのぞく)」、「おむすび」は「縁を結ぶ(よい出会い・人間関係を築く)」という思いを込めているという説などがあります。
作り方とその形
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「おにぎり・おむすび」の作り方の基本はいたってシンプル。炊いたご飯を温かいうちに両手で握り、好みの形に整え、中に具材を入れるだけです。ひとつ作るたびに少し手を濡らし、手のひらに軽く塩をつけて次の一つを握ります。形には三角形や丸型、俵型があります。
最近では星形やハート型をかたどったおにぎりもあります。握ることはせずに、ご飯や具材を海苔で包んで仕上げる「おにぎらず」という新しいスタイルのものも近年流行しています。
数限りない味のバリエーション
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おにぎり・おむすびの味には、組み合わせによってさまざまなバリエーションがあります。おにぎり・おむすびの外側と、内側の具材にわけて説明しましょう。
まずはその外側。外側は海苔が巻かれているものがオーソドックスなイメージですが、その他にも薄焼きの玉子で巻いたものや、表面にふりかけ、とろろ昆布、ゴマをまぶしたものなどが見られます。
次に内側の具材で古くからの定番とされているものには、梅、おかか、昆布などがあります。鮭、タラコ、明太子、ツナをマヨネーズで和えたツナマヨ、海老をマヨネーズで和えた海老マヨなどは、ここ十数年ほどで新たに定番となった人気の具材です。
またエビの天ぷらがトッピングされた「天むすおにぎり」、外側が肉で巻かれた「肉巻きおにぎり」などの変わり種が出てくるなど、アイディアと工夫で数限りなくバリエーションが増えています。
日本旅行の時はここで食べよう
おにぎり・おむすびの価格は、お店や具材によって多少の違いはありますが、ひとつ100円台から200円台という手頃な値段です。全国のコンビニエンス・ストア、キオスク、お弁当屋さん、居酒屋などで販売されています。
専門店もあります。「おむすび権米衛(ごんべえ)」は首都圏を中心に多くの店舗を展開している専門店。東京最古のおにぎり専門店といわれている老舗「おにぎり浅草宿六 (あさくさやどろく)」で目の前で握ってもらうのもよい経験になるでしょう。
日本人なら子どものころから慣れ親しんできた手作りの味、おにぎり・おむすびをぜひ一度味わってみてください。