今行きたい富山のおすすめ観光スポット Vol.3 高岡市〜南砺市〜砺波市
富山県は、南北にのびる日本列島の中心、本州の中央北部に位置し、北は日本海(富山湾)に面し、三方を北アルプス立山連峰などの急峻な山岳地帯が囲み、深い湾を抱くように大きく平野が広がっています。本記事では、富山県の西、呉西(ごせい)エリアでおすすめしたい観光スポットを何百年と続く伝統とこの先も守り続けたい文化と合わせてご紹介します!
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目次
- 富山県の西部 伝統的な文化が色濃く残る呉西エリア
- 匠の技と歴史が息づく高岡市
- 日本随一の職人のまち 南砺市・井波
- 富山の伝統と革新が織りなすウイスキー造り 砺波市・三郎丸
- 呉西エリアで富山で受け継がれる伝統文化に触れる旅を
富山県の西部 伝統的な文化が色濃く残る呉西エリア
富山県は、「海・山・平野」がコンパクトに詰まっているエリアです。多様な地形が観光や産業、生活に密接に関わっており、中央部に位置する呉羽丘陵を境目として東と西で大きくエリアが分かれます。
東側は呉東(ごとう)エリアと呼ばれ、富山市を中心に立山連峰や黒部ダムなど自然と都市が調和し、近代的な魅力が際立ちます。西側は呉西(ごせい)エリアと呼ばれ、歴史や伝統工芸が息づき、文化的な景観が際立つエリアです。
当記事では呉西エリアの高岡市、南砺市、砺波市の観光の見どころをご紹介します。呉東エリアの記事は以下をご参照ください。
匠の技と歴史が息づく高岡市
高岡市は、江戸時代から続く工芸の町として知られ、特に高岡の銅器をはじめとする鋳物の技術やデザインは、世界からも注目されています。匠の技術が光る工芸品から、鋳物メーカーによるファクトリーツアーまで、高岡市は工芸文化を体感できる魅力が満載です。
そんな高岡のお土産にぴったりの高岡の伝統や魅力を感じられる特別な和菓子「高岡ラムネ」をご紹介します。
伝統的な落雁の木型で作られる美しい「高岡ラムネ」
通称「山町筋」と呼ばれる伝統的建造物群保存区域にある「大野屋」は、江戸時代から続く老舗の和菓子屋です。代表銘菓「とこなつ」をはじめ、万葉の歌人・大伴家持の歌に因んだ銘菓を中心に、四季折々のお菓子など多数取り揃えております。
そんな老舗和菓子屋の長女として生まれた大野悠さんが、高岡の文化の新旧を織り交ぜた和菓子として生み出したのが「高岡ラムネ」です。
悠さんが、若い方向けの和菓子作りを考えている際に、落雁の木型にヒントを得て、試行錯誤の果てに辿り着いたのがラムネ菓子でした。
大野屋が180年以上の歴史の中で使ってきた木型と培った技、和菓子の季節や行事に合わせ生まれた美しい造形、さらには富山県産コシヒカリや国産素材を組み合わせ、職人がひとつひとつ手作りしているラムネです。ふんわり柔らかな口どけの後に、国産の素材が香る優しい味に仕上がっています。
季節や高岡のモチーフに合わせて異なる形がセットになっています。パッケージも思わず全種類揃えたくなる可愛さです。全種類が揃う大野屋 高岡木舟町本店はJR高岡駅北口より徒歩7分です。高岡の魅力が詰まったお土産として、喜んでもらえること間違いなしです。
高岡市までのアクセス
主要都市から高岡市までは新幹線、電車、飛行機、バスと旅のスタイルに合わせて様々なアクセス方法があります。
日本随一の職人のまち 南砺市・井波
高岡市から車で約40分南に行くと、木彫りのまちとして知られる南砺市の井波地区があります。井波彫刻の職人が手掛けた美しい彫刻が、寺院や町家の欄間、玄関、看板など随所に見られ、町を歩くだけで、伝統の技と木の温もりを感じることができます。
井波の木彫刻は由緒ある寺、瑞泉寺の歴史とともに生まれました。井波の人々は、信仰や文化の中心であった瑞泉寺を大切にしながらまちを切り開いてきました。しかし、その瑞泉寺が200年前に大火災で消失してしまったのです。井波の人々は象徴を再建しようと、京都の東本願寺より彫刻師を迎え入れました。そのたった一人の技術がまちの人々に伝わり、現在は150人もの彫刻師が活躍する"日本一"の木彫りのまちとなったのです。井波は「宮大工の鑿(のみ)一丁から生まれた木彫刻美術館・井波」として日本遺産にも登録されています。
そんな井波の歴史とともに大切にされてきた瑞泉寺には、数多くの精緻な装飾が施されており、壮大な美術作品として楽しむことができます。
尚、現在瑞泉寺はナイトミュージアム企画を実施しています。
寺内の木彫刻を夜ライトアップして見ることで陰影が生まれ、昼間より彫刻の緻密さを感じることができます。
また、井波彫刻師の解説を聞きながら鑑賞できるので、井波彫刻の技術への理解を深めることができます。
井波・瑞泉寺ナイトミュージアムにお申し込みたい方は、以下お問い合わせフォームよりご連絡ください。
また、井波には職人に弟子入りできる宿「Bed and Craft」があります。職人と同じ道具を使って、本格的なものづくりを学ぶという特別な体験を提供する一棟貸切宿が全部で6棟あります。
6棟それぞれの部屋の随所にその部屋を手がけた職人のこだわりを見ることができます。キッチンやお風呂、洗濯機などの家電も備わっており、暮らすような旅をお楽しみいただけます。アート好きな方、日本の伝統文化体験を求める方にとっては何泊でもしたくなる宿となること間違いなしです。
富山の伝統と革新が織りなすウイスキー造り 砺波市・三郎丸
高岡市と南砺市の間に広がる砺波市は、庄川が南北に流れる肥沃な土地に恵まれ、農業が盛んな地域です。砺波米とチューリップ球根が特に有名で、水田裏作として広まったチューリップは現在球根出荷量日本一となっています。
そんな砺波には、北陸最古の蒸留所「三郎丸蒸留所」もあります。その歴史と未来志向の製造方法で、ウイスキー愛好者を魅了し続けています。
三郎丸蒸留所の歴史
三郎丸蒸留所の母体である若鶴酒造は、1862年に創業しました。庄川の清らかな伏流水を使用した若鶴酒造の清酒は、需要がどんどん伸びる最中、1939年に第二次世界大戦が始まり、米が統制され、厳しい状況に置かれます。
そこで若鶴酒造二代目の稲垣小太郎が目をつけたのは、米以外の原料からアルコールを作り出す方法でした。キッコーマンの工場長を務めた経験から発酵に深い知見を持つ有識者を迎え入れ、1947年若鶴醗酵研究所を設立しました。
最初は、統制外であった菊芋を庄川の河川敷で栽培し、アルコールを取り出すという研究から始まりました。そして1949年には焼酎の免許を取得します。その後、研究を進めていき、1950年には雑酒の製造免許、1952年にはウイスキーと甘味果実酒(ポートワイン)の製造免許を取得し、本格的に蒸留酒の生産に力を入れ始めました。
1952年にウイスキーの製造免許を取得して、若鶴酒造が初めて発売したウイスキーが「サンシャインウイスキー」でした。「サンシャインウイスキー」の名称は「戦争の中ですべてを失った日本で水と空気と太陽光線からできる蒸留酒によってふたたび日をのぼらせよう」という思いから命名されました。
そんな蒸留所も老朽化が進行し、かつての蒸留塔も取り壊されて久しくなりました。
「北陸唯一の蒸留所を、そしてこれまで続いてきたウイスキー造りを途絶えさせるわけにはいかない。 」
若鶴酒造は2016年「三郎丸蒸留所改修プロジェクト」を立ち上げ、資金確保のためにクラウドファンディングに挑戦しました。60年以上守り続けてきたウイスキー造りへの情熱、そして富山のウイスキーを世界のウイスキーに育てるという挑戦を呼びかけたところ、2500万円の目標額をはるかに超える支援があり、2017年7月北陸でただひとつの見学のできるウイスキー蒸留所として生まれ変わりました。
団体での見学予約の問い合わせはこちらのメールアドレスまで。 Wtaishogura@grncorp.co.jp
高岡銅器の伝統技術を基盤に開発した蒸留器「ZEMON」
三郎丸蒸留所は、高岡銅器の技術を受け継ぎ、世界初の鋳物製銅錫合金単式蒸留器「ZEMON(ゼモン)」を開発しました。「ZEMON」は、従来の蒸留器と比べて高品質・高寿命・短納期・コストダウンを実現した、富山発の画期的な蒸留器です。
銅錫合金の効果でよりまろやかで高品質な蒸留酒の製造を実現しています。さらに、高寿命化・高メンテナンス性に加え、製造期間の短縮やコストダウンなど従来の蒸留器の課題を解決する画期的な蒸留器として世界でも高く評価されています。
南砺市井波の技術を活かしミズナラ樽「三四郎樽」を開発
三郎丸蒸留所は、井波地区の木工の伝統技術と豊かな自然を活かして、富山県産ミズナラを用いたウイスキー樽の製造を開始しました。「ジャパニーズオーク」として海外でも評価の高いミズナラを鏡板部分に用いた「三四郎樽」を商品化し、使用しています。ウイスキーにとって樽は容器ではなく原材料で、樽はウイスキーの味に大きな影響を及ぼします。樽を直したり再生したりと大切に長く使う技術が求められるようになることで、日本のウイスキー産業にとっても樽工房の果たす役割はますます大きくなっていきます。そんな樽づくりを井波でやるならと、「三四郎樽」は林業を営んできた地元企業がひとつひとつ職人が手作りする伝統を守り続けています。
また、ウィスキーの原料となる大麦の貯蔵庫にはネズミなどから原料を守るウィスキーキャットの木彫りが見守っています。
三郎丸蒸留所のウィスキー作りは随所から地域の営みを感じることができるのも魅力のひとつです。
呉西エリアで富山で受け継がれる伝統文化に触れる旅を
高岡市、南砺市、砺波市は、富山県西部の魅力的な観光スポットが凝縮されたエリアです。地元の方が大切に繋いできた伝統や職人の技に触れながら、その歴史や文化を学ぶことができます。是非、富山ならではの風土と魅力を体感し、心に残るひとときを過ごしにきてみてください。
北陸エリア全体を盛り上げる取り組みを行なっています