ラピュタは実在した!?山奥に眠る幻の廃墟
東京から新幹線で2時間、日本海に面した新潟県。その阿賀町の山奥に眠る持倉鉱山跡は、1920年に閉山してからというもの約100年間も放置されてきた鉱山の跡地です。今では当時の重厚な事務所跡や製錬所跡が限定的に残っており、一部のマニアの間では伝説化されている遺構です。車輛で行ける林道の終点から道なき道を徒歩で進む必要があり、到達難易度も高い場所として知られており、それ故にその遺構は幻だとかラピュタだとか形容され、今も人々の心を魅了し続けています。
新潟県阿賀町の三川インターを降り、県道17号を西へ進み、五十母川を渡ってすぐに左折します。その後、「林道持倉線」の案内に従って左折すると、細い林道に出ます。舗装されていない道を進むと、数台の車が停められるスペースに到着します。そこからは、いよいよ徒歩移動の始まりです。装備を整えて冒険に出発しましょう!
推奨装備
- 害虫や傷から体を守るための長袖長ズボン(濡れても良い服装)
- 熊よけの鈴やスプレー
- ヤマビル対策に塩またはヒル忌避剤など
- できれば長靴
駐車スペースには看板が立っており、自由に使えるヒル除けスプレーも置かれています。季節によってはヒル対策が必須になるため、感謝して使わせてもらいましょう。
また、熊に注意するよう念押しされた看板もあります。熊対策も万全にしていきましょう。ヒルと熊、そしてスズメバチに注意が必要です。
最初の道は草木が茂っていて、真夏には草木の繁殖が行く手を阻むことがあります。藪をかき分けて進むことも考えておきましょう。訪問のベストシーズンは、熊やハチが大人しい5月から6月です。
歩き始めて数分で崩落した道への案内板に出会いますが、無視して真っ直ぐ進みます。山奥では電波が入らないため、迷子には注意しましょう。
進んでいくと、やがて砂防ダムが現れます。ここで一休み。ここまで10~15分ほどですが、それ以上かかる場合は道を間違えた可能性があるので引き返しましょう。
砂防ダムを過ぎると、徐々に道が消えていきます。そして、赤い印を頼りに断崖にへばりついて進むことになります。右側は川、道は険しくなります。ロープを掴みながら慎重に進んでいきましょう。
しばらく進むと脚立を使った即席のハシゴが現れます。これを下りれば、目的地まではもう少しです。
ハシゴを下り、川沿いを上流に向かって進んでいくと…おお!見えてきました!持倉鉱山事務所跡です。神殿のような外観が厳かな雰囲気を醸し出しています。スタート地点から徒歩で15~20分程度の道のりでした。
この静かな山奥に堂々とたたずむ遺構は、まさに「ラピュタ」と呼ぶに相応しいものです。自然に飲み込まれていく姿は、まるでヨーロッパの古代遺跡のようで、感動します。ここまで苦労して来た甲斐がありました。
持倉鉱山は1860年頃から採掘が始まり、1920年に閉山されました。それから約100年、山奥でゆっくりと朽ちていっています。この場所は、まるでゲームの世界に迷い込んだかのような感覚を与えてくれる壮大な遺構です。
そして、さらに強者には冒険が待ち受けています。事務所跡と川を挟んだ対岸に、精錬所跡がひっそりと眠っています。鉱石から金属を取り出す施設であるこの精錬所も見逃せません。精錬所跡に行くには、川を渡る必要があります。流れがあるため、慎重に渡りましょう。ヒル対策も忘れずに!編集部員が半袖半ズボンで挑み、ヒルにやられた経験があります。
川を渡り終えると、背丈ほどもある藪が待ち受けています。これをかき分けて進むと、精錬所跡のトンネルに到着します。そこには、息をのむ美しい光景が待っています。
人がほとんど訪れないこの山奥で、ゆっくりと自然に飲み込まれていく人工物の美しさを目の当たりにしました。それはまさに「ラピュタ」の世界そのものでした。
持倉鉱山は、まさに昔栄えた神殿のような姿をしていました。人里離れた山奥にあり、非日常的な体験を存分に味わうことができます。道にさえ迷わなければ、軽いハイキングとして楽しめるスポットです。ただし、害虫や獣対策はしっかりと行いましょう。冒険気分を味わいたい方に、おすすめのスポットです!
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