兵庫県はこう楽しむ!現地に息づく文化と歴史の秘密を探る
なぜ明石海峡大橋はあれほど壮大なのか?有馬温泉が名湯の一つとして称えられる理由は?そして、なぜ神戸牛はこんなに美味しいのか?兵庫県を満喫しながら解き明かしたい様々な秘密をライターのKenkoがお伝えします。
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目次
- 迫力満点の競りが行われる「明石浦漁業協同組合」
- 98階建ての高さからの眺めはやはり格別。「明石海峡大橋見学」
- 手作り和菓子、職人の語りを耳で楽しむ「杵屋」
- 優雅な和服に身を包んで姫路城や好古園を散策
- すべての刀に炉火を超える情熱が込められる「田中一之刃物製造所」
- 灘五郷の地酒の甘く芳醇な秘密を解き明かす「白鹿博物館」
- 細い路地に魅力的スポットが隠されている「有馬温泉街」
- 神戸牛の秘密を学ぶ「KOBE Beef GALLERY」
- 自分で作る、天然の和式ろうそく「松本商店」
- おすすめの兵庫旅行の宿泊先について
- 美味しい食事や美しい写真だけではない旅の楽しみを満喫しましょう
迫力満点の競りが行われる「明石浦漁業協同組合」
兵庫県は日本で唯一、2つの海域を持つ場所であり、ひとつはカニやホテルイカで有名な日本海側の海域、もうひとつは鯛やタコで有名な瀬戸内海側の海域です。瀬戸内海側では海苔の生産量が多く、直近2年間では日本一です。また、明石付近は潮流が速く、栄養が豊富で、水温も適しているため、このような環境で育まれた明石の海苔は、黒々として艶があり、食感が厚く、ほのかな香りが漂います。単体で食べても非常に美味しく、食べ始めると止まらないほどです。
明石漁業協同組合の特別な点は、捕れた魚を海水が常に注がれている生け簀に一度入れてから、毎日11時に行われる活魚の競りを待つことです。時間になると漁港は一気に人々の声で溢れ、活気に満ちます。各地から集まった業者が一斉に集まり、司会者は驚くほどのスピードで話し、専門の業者でなければその内容を理解することは不可能です。業者たちはお互いに干渉しないよう、手のジェスチャーだけで入札し、全てが猛スピードで進みます。少し緊張感がありながらも、面白い体験です。
98階建ての高さからの眺めはやはり格別。「明石海峡大橋見学」
明石海峡大橋は、世界で2番目に長い吊り橋で、明石海峡を横断し、神戸市と淡路市を結ぶ非常に重要な交通の要所です。橋内には「舞子海上プロムナード」が設けられており、一般の観光客も利用でき、エレベーターで海面から47メートルの展望スペースまで上がって海の景色を楽しめます。さらに詳しく明石海峡大橋について知りたい場合は、見学ツアーに申し込むことができます。
見学ツアーは事前予約制で、2か月前からオンラインで予約可能です。毎日開催されているわけではないので、旅行を計画する際には公式サイトで確認することをおすすめします。冬季は天候の影響で見学が休止されます。見学料金は1人5000円と少し高めですが、橋の建設に携わったエンジニアが全行程に同行して説明してくれるうえ、普段見られない高さからの絶景を自分の目で確かめられます。塔の頂上からの開放的な眺めは、まさに心が晴れ渡るようで、非常に価値ある体験です。
手作り和菓子、職人の語りを耳で楽しむ「杵屋」
杵屋は創業100年以上の和菓子店で、和菓子が全国菓子博覧会で受賞した実績を持つ、姫路地域で非常に有名な老舗です。店内では洋菓子も販売しており、併設された喫茶レストランでは軽食も提供されています。姫路地域の和菓子は江戸時代後期の藩主と深い関わりがあり、歴代藩主が茶道を愛していたことから、菓子文化の発展が促進されました。
体験コースは初級、中級、上級の3段階の和菓子に挑戦します。春の体験コースでは桜の和菓子、秋は桔梗と菊の和菓子を使用し、季節に応じて内容が変わります。小道具や材料はすべてお店が用意し、体験者は店主の説明を聞くだけで、制作技法や小道具のほか、和菓子にまつわるさまざまな小話も教えてくれます。所要時間は約40分ですが、多くの知識を得ることができます。
優雅な和服に身を包んで姫路城や好古園を散策
杵屋と同じ二階町商店街にある服飾店「うたかたの恋」は、和服や浴衣のレンタルを提供しているお店です。料金は手頃で、簡単なヘアアレンジも含まれています。店主の手際よい技術で、女性たちはあっという間に美しく変身できます。商店街は姫路城や好古園などの人気観光地からも近く、徒歩10~15分程度。衣装を替えて下町の街並みを散策すれば、気分も一新されることでしょう。
姫路城と好古園は隣接しており、多くの観光客がこの2か所をセットで訪れます。両方に入場できるセットチケットも販売されています。日本一の名城である雪のように美しい姫路城を見学した後、堀沿いを約10分歩けば好古園に到着します。好古園は池泉回遊式の日本庭園で、敷地面積は約1万坪。園内にはいくつかの異なるテーマを持つ庭園、茶室、レストランがあり、多くのドラマがこの場所でロケを行っています。
すべての刀に炉火を超える情熱が込められる「田中一之刃物製造所」
三木市はかつて金物(刃物)の製作で名を馳せた場所で、田中一之刃物製造所はこの地にあります。代々受け継がれ、現在は4代目にあたります。日本の包丁は特に海外で高い評価を受けており、心に描く理想の包丁を求めてわざわざ訪れる訪日観光客も多いです。
刃物を販売している場所は数多くありますが、一般の人々が見学できる刀具工房は少ないです。専門の工房は広くはなく、大型の製造機械が至る所に置かれ、いつも炉が燃え盛っているためです。しかし、田中さんは多くの人に良い刀がどのように作られるかを知ってほしいという思いから、工房を開放し、見学や体験を提供することに決めました。
体験中は田中さんが常にそばにいて説明してくれます。炉の中で鉄材を目で見て確かめ、何度も鍛え打ち直す姿は、職人たちが一振りの良い刀のためにどれほどの労力と情熱を注いでいるかを感じさせます。高温の炉と重いハンマーを使う作業を実際に体験すると、技術を持つ熱い職人たちに対して深い敬意を抱かずにはいられません。
灘五郷の地酒の甘く芳醇な秘密を解き明かす「白鹿博物館」
西宮市にある灘五郷地区は、長い酒造りの歴史を持ち、江戸時代から現在に至るまで続いています。灘五郷では、天然の良質な湧水「宮水」と、六甲山から吹く乾燥した冷たい風「六甲おろし」の影響により、特に美味しく芳醇な日本酒が醸されています。宮水(西宮の水)は、発酵を促進するリン、カルシウム、カリウムなどの豊富なミネラルを含む硬水であるため、白鹿の日本酒は辛口で濃厚な味わいが特徴です。
白鹿博物館は、かつての酒蔵を前身とし、現在では酒造りの歴史を紹介する博物館に生まれ変わっています。館内では昔の酒蔵の様子が再現され、当時使用された多くの酒造り道具が展示されています。音や映像を使って情景が強調され、酒造りの道具に実際に触れることができる唯一の場所でもあります。
白鹿博物館は、記念館と酒蔵の2つのエリアで構成されており、隣には白鹿自家経営のレストラン「白鹿クラシックス」もあります。ここでは日本酒に合う日本料理が提供され、様々な日本酒の試飲も楽しめます。
細い路地に魅力的スポットが隠されている「有馬温泉街」
有馬温泉は長い歴史を持ち、日本三古湯の一つであり、また日本三名泉にも数えられています。ここは豊臣秀吉と深い縁がある場所で、駅近くの湯けむり広場には彼の像が立っています。親水公園を越えると、秀吉の正室・ねねの名前を冠した赤い小さな橋が見え、その橋のたもとにはねねの像があり、秀吉の像と向かい合っています。
有馬温泉街は大きなエリアではありませんが、周囲を山に囲まれ、建物は斜面に沿って建てられており、とても良い雰囲気です。メインストリートにはたくさんのお店が立ち並び、散策するだけで目が回るほど楽しめます。特におすすめしたいのが、元祖三津森本舗です。ここは有馬温泉名物の炭酸煎餅を最初に発明したお店で今でもここに来たら絶対に買いたいお土産の一つです。
この温泉地の泉質は、主に鉄分とナトリウムを含む塩化物泉で、湯の色が橙褐色の「金泉」と、ラドンを含む炭酸泉と炭酸を含む放射能泉の「銀泉」に分かれており、それぞれに効果があります。有馬温泉街には現在、7つの源泉が点在しています。
この温泉街は、ただぶらぶらと散策するだけでも十分楽しい場所ですが、もし地元のガイドの説明があれば、さらに面白くなるでしょう!ガイドは有馬温泉にまつわるさまざまな小話を知っており、普通の観光客が足を運ばないような路地裏にも案内してくれます。ガイドツアーは約2時間なので、ぜひ参加を検討してみてください!
神戸牛の秘密を学ぶ「KOBE Beef GALLERY」
神戸ビーフ館は、神戸牛とその美味しさについて深く理解できる展示館です。神戸牛の称号を得るためには、厳しい認定制度を通過する必要があります。まず、日本原種の黒毛和牛「但馬牛」の血統を持つことが求められ、子牛の頃から良質な飼料で丁寧に育てられます。数年後、食肉センターに出荷され、衛生検査を経て市場に出されます。最終的には、霜降りの油脂、筋肉の模様、重量などの複数の条件によってランク付けが行われます。館内ではNo.3~No.12のサンプルが展示され、来館者が比較できるようになっています。
館内では、文字や模型を使用して神戸牛の血統や認定基準について説明しており、わかりやすい動画や文献も閲覧できます。これらの書籍は主に日本語ですが、英語、中国語、韓国語、フランス語などの多言語資料も用意されており、神戸牛を一度味わってみたい訪日客がより理解できるよう工夫されています。展示館にはレストランも併設されており、A5等級の神戸牛が提供されています。
神戸市内にはさまざまな牛肉料理店がありますが、私が一番好きなのは鉄板焼きです。鉄板の前でシェフが美しい霜降りの牛肉を一枚ずつ切り、生肉の赤が徐々に焼かれて美味しそうな色に変わる様子を見ながら、最後には自分の口に運ぶ瞬間は本当に楽しめます。柔らかい肉質は、一口ごとに幸せを感じさせてくれます。ここで私のおすすめは、三宮エリアに6つの支店を持つモリーヤ(Mouriya)です。このお店は明治時代から140年以上の歴史を持つ老舗で、各支店にはそれぞれ異なる特色があります。事前に公式ウェブサイトで行きたい支店を選ぶことをお勧めします。
自分で作る、天然の和式ろうそく「松本商店」
和式ろうそくの由来は、最初は冬に花を供えられないため、素色のろうそくに花の模様を描いて鮮やかさを表現したことにあると言われています。時が経つにつれて、模様も多様化してきました。西洋のろうそくとの大きな違いは、使用する原材料です。西洋のろうそくは石油を使っていますが、和式ろうそくは櫨樹果実から抽出された植物性のろう油を使用しています。和式ろうそくの芯は中空になっているため、燃焼中の炎の揺れ方が穏やかで、消えにくい特徴があります。また、融点が低いため、ろうそくの光は暗めですが、柔らかい光を放ちます。
細長いろうそくに模様を描くのは、実はあまり簡単ではありませんし、下書きをする機会もないため、注意深く正確に描く必要があります。数回描くうちに少しずつ慣れてくるでしょう。体験中、職人が色の調整や模様の提案を教えてくれます。松本商店の本店は西宮で神戸の近くにあるため、体験コースではシンプルで特徴的な神戸タワーが人気の選択肢となっています。彩色したろうそくは、体験終了後に自分で持ち帰ることができます。
おすすめの兵庫旅行の宿泊先について
これまで多くの観光地や体験ツアーを紹介してきましたが、最後に、厳選に厳選を重ねたおすすめ宿泊施設をご紹介します。せっかく日本に来たからには、温泉を存分に楽しめる宿泊施設を選びたいですよね?和風旅館が好きな方には、姫路エリアにある「夢乃井」をおすすめします。
さまざまな温泉施設が揃い、旅行中の移動で疲れた体と心を癒し、リラックスさせてくれます。客室には和室や洋室に加え、家族旅行向けのファミリールームやペット同伴可能な部屋も用意されています。
一方、神戸エリアでは夜景を見逃すわけにはいきません!洋風ホテル派にぴったりの「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」は、その流線型で波のようなデザインが印象的で、まさに唯一無二の選択肢です。
すべての部屋に独立したバルコニーがあり、窓を開ければ美しい海景や港の夜景を一望できます。ホテル内には西洋料理、中華料理、そしてバーを含む4つのレストランがあり、各レストランで異なる料理を楽しみながら絶景も堪能できます。美食と美景の共演—ぜひご堪能ください。
美味しい食事や美しい写真だけではない旅の楽しみを満喫しましょう
洋風のロマンがあふれる港町「神戸港」、真っ白で美しい歴史的名所「姫路城」、夜景が有名な「六甲山」……これらは兵庫県を訪れる際に誰もがまず思い浮かべる著名な観光地ですが、実際には地元の日常に深入りし、文化や歴史を理解し体験することで、旅行がより深いものになるのです。明石海峡大橋はなぜこれほど雄大なのか、有馬温泉はなぜ三大古湯と三大名湯の称号を持つのか、神戸牛はなぜこんなに美味しいのか?兵庫県を異なる方法で探訪してみると、深い旅行の楽しさに気づくことでしょう!
兵庫では、歴史も風土も異なる個性豊かな五国において、地域の人々が主体的に課題解決に取り組み、未来を切り拓いてきました。「震災からの創造的復興」、「人と環境にやさしい循環型農業」、「豊饒な大地や海に育まれた食材」、「挑戦を繰り返してきた地場産業」、「郷土の自然と暮らしの中で受け継がれてきた芸術文化」など、地域を豊かにする取り組みには、世界が持続可能な発展を遂げていくための多くのヒントが秘められています。 2025 年「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催される大阪•関西万博は、こうした兵庫の取り組みを国内外に伝える大きなチャンス。 地域の「活動の現場そのもの(フィールド)」を地域の人々が主体となって発信し、多くの人を誘い、見て、学び、体験していただく 「ひょうごフィールドパピリオン」を全県で展開します。