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街へ出よう!春の空を泳ぐ鯉のぼりは、今後ますます見られる風景になる
春の心地よい風に揺られながら、透き通るような空を気持ちよさそうに泳ぐ鯉のぼり。日本の江戸時代から当時の名残をとどめる習慣について紹介します。
春の心地よい風に揺られながら、透き通るような空を気持ちよさそうに泳ぐ鯉のぼり。この風景を見ると、春だなあ、この家庭には男の子がいるのかな?と思ったりしませんか? 一歩進む歩幅が大きくなるほど、心も弾みます。
今日は日本の江戸時代から当時の名残をとどめる習慣について紹介したいと思います。
鯉のぼりとは
鯉のぼりとは、筒状の紙や布に描かれた鯉の旗です。高い所にぶら下げられるため、まるで空をゆらゆらと泳いでいるように見えます。
4月から5月5日まで、都会も地方も関係なく、観光スポットか否かにも関わらず、日本各地で見ることができます。大きい物で全長8メートルもあり、近くで見ると非常に迫力があります。
鯉のぼりの由来
鯉のぼりの発祥由来は「男の子が元気に育つよう、神様にお祈りするため」だそうです。というのも、鯉のぼりが生まれた当時は武士の時代。男の子が強く、たくましく成長し活躍できるように、という親の願いが込められました。現在は男の子、女の子問わず、家庭で子どもが産まれれば鯉のぼりを揚げるのが風習となっています。
これは江戸時代中期の庶民が、戦国時代に味方と敵を見分けるために掲げた「のぼり」という旗を参考に、鯉を描いたことから広まっていきました。
中国には「鯉が流れの激しい滝を登りきると龍になる」という伝説があります。この言い伝えから、江戸の庶民は縁起の良い鯉を我が子に重ねたそうです。
街へ出よう。鯉のぼりは今後ますます見られる風景になる
前述したように、鯉のぼりは「男の子が元気に育つように」と両親が願いを込めてベランダや庭先に掲げたものです。戦後まもなく人口増加に伴って、鯉のぼりを揚げる風景がよく見られるようになりました。
我が家にもありました、団地サイズの鯉のぼり。父いわく、幼少期は田舎に行って、5月の空を泳ぐ立派な鯉のぼりを見て喜んでいたそうです。
それが、近年は少子化の影響もあるでしょうし、鯉のぼりが民家や公園、各地の観光スポットに掲げられている姿を見ることが少なくなっていると言われています。
しかし、ここ3,4年間ほど、街で鯉のぼりを見かけたという方も多いのではないでしょうか? 鯉のぼりはかつてのように揚げられるようになったのです。なにせ子どもを通して次世代に希望を託す象徴ですからね。
しかし少子化しているのだから、鯉のぼりは見る機会は少なくなっている、という反対意見もあるでしょう。
もちろん少子化は顕著ですが、各家庭で余ってしまった鯉のぼりを揚げて春の季節を感じたい、誰かに寄付してまた悠然と空を泳いでほしい、あるいは幼かった当時を思い出したいという大人がいるのではないでしょうか。
事実、母がこんなことを言っていました。団地サイズの鯉のぼりは、決まっておとうさん、おかあさん、こどもの3匹で構成され、順々にサイズも小さくなっていきます。
家族が生まれると鯉のぼり一家にも一匹の小さな鯉のぼりが足されるのですが、団地サイズはそれより小さいものは売っていません。
そうなると、スーパーで販売しているお菓子の”鯉のぼりのおまけ”を団地サイズの鯉のぼりに足すのです。ふと、ベランダで隣宅を見るとお菓子のそれが揚がってたりして。つい、揚げたくなっちゃうのよね。
こういう大人たちはわんさかいれば、今後はますます、子どもがいなくても鯉のぼりは揚げられ、あなたの目に触れることがあるはずです。
鯉のぼりに見る高齢化社会の象徴は、ややおもしろみのある風景です。古き団地を覗いてみてください。子どもはいないのに、団地の空を鯉のぼりが泳いでいますから。
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