旅の準備はじめよう
人混みに疲れたら訪れたい、自然あふれる東京の無人駅5つ
世界一の乗降者数を誇る、新宿駅のある東京。人口も約1,300万人と人であふれる東京ですが、駅員のいない「無人駅」があることを知っていますか? 本記事では東京にある無人駅をピックアップしました。おみやげ処やお洒落なカフェ、おいしいレストランとともに紹介します。
ふたつの顔をもつ"東京"
Photo by Pixta
日本の面積の1%にも満たない場所に、日本の人口の約10%が集まる東京。主要駅の新宿は、世界一の乗降者数を誇ります。
みなさんの中には、東京を「人が多く忙しい街」とイメージする人も少なくないでしょう。
それでは、上の写真はどこの景色だと思いますか? ……実は、ここも東京にある駅の1つ。JR青梅線、二俣尾(ふたまたお)駅の周辺です。電車は1時間に平均2本、乗客はわずか、駅員は常駐していません。新宿駅から電車で約2時間の東京西部には、自然豊かな景色が今も残っているのです。
今回は人混みを避けて観光したい方にオススメする、JR青梅線が走る東京の無人駅を5つ紹介します。緑あふれるのどかな東京を、ぜひ感じてみてください!
1.森に囲まれてアフタヌーンティーが楽しめる「日向和田」駅
新宿駅から約1時間30分、日向和田(ひなたわだ)駅に到着。ドア付近のボタンを押してドアを開けましょう。JR青梅駅から奥多摩行きに乗ると、電車の扉は押しボタン式に変わります。
改札が無い代わりに、都心では見かけないICカード読み取り機が設置されています。これから紹介する駅にはすべてこの機械があるので、駅から出る際にはこちらにICカードをタッチして精算してください。
周辺には多摩川が流れ、上には高い橋がかかっています。紅葉の時期は周囲の山々が紅や黄色に色づき、絵にかいたような美しさ。
駅舎から出て右方向に歩き、しばらく道なりに進むと、ぽつりぽつりとお店が見えてきます。
中でも目を引く建物は、イギリス風ティーレストラン「Rose Town Tea Garden」。以前はウエディングチャペルとして使われていた建物をリノベーションし、レストランにしたのだとか。アメリカ人ご夫婦の方が運営しているため、英語対応も充実しています。
メニューはスープやサンドイッチ、スコーンなどがセットになって用意されています。ダージリンやペパーミントなど、ポットティーの種類も充実。森や川を眺めながら、優雅な時間を過ごせます。
2.村上春樹の小説に登場した「二俣尾」駅
「二人が降りたのは『二俣尾(ふたまたお)』という駅だった。駅の名前には聞き覚えがなかった。ずいぶん奇妙な名前だ」
これは、国内外で人気の小説家、村上春樹(むらかみはるき)の小説『1Q84』に出てくる文章。二俣尾駅は、小説の主人公が訪れた土地の1つとして描かれた場所です。
無人駅はもちろん、券売機もありません。ICカードを持っていない方は、写真のオレンジ色の機械を使って乗車駅の証明書を発券しましょう。赤いランプの隣のボタンを押すと、切符サイズの券が出てきます。
駅の周辺には小学校やレトロな本屋、多摩川にかかる橋、海禅寺と呼ばれる寺院があり、散策にぴったり。
駅から15分ほど歩いた場所には、家具屋の工房だった場所をリノベーションして作られた、「noco BAKERY&CAFE」があります。
店内は広々としていて、心地のよい音楽が流れていました。パンを選んでレジヘ持っていき、飲み物と一緒にオーダーしましょう。カフェ利用の場合はパンを温めてくれます。
天然酵母を使って作られたパンは、ほのかな甘みが口いっぱいに広がり、いつまでも食べていたくなるほど。コーヒーは同じ市内で焙煎されたものを提供しています。
3.お酒好きは行くべき「沢井」駅
本来は駅名が書いてあるはずの駅入り口の看板が、真っ白になっている沢井駅。駅前は静かですが、地域で有名な観光スポット「清流ガーデン 澤乃井園」の最寄り駅です。
澤乃井園は駅から5分ほど歩いた場所にあります。日本酒や豆腐を作る小澤酒造株式会社が手がけた休憩処で、地域で作られた日本酒や、自家製豆腐料理が楽しめる場所です。
木々に囲まれた庭園には椅子とテーブルが設置されており、近くを流れる多摩川を眺めながら穏やかな時間を過ごせます。おみやげを買いたい方は売店に立ち寄りましょう。豆腐はもちろん、地域の食材で作られたジャムやお茶なども購入可能です。
4.登山や宿坊体験をするなら「御嶽」駅
大きな駅舎をもつ無人駅・御嶽(みたけ)。紅葉の時期に綺麗な姿を見せる御嶽渓谷や、山登り初心者にオススメの御岳山は、地域で人気の観光地です。駅の周辺にはカフェや登山用品店、観光案内所もあり、駅前散策も楽しめます。
御岳山の頂上には神社があり、宿坊が点在しています。宿坊によっては季節に応じて滝行体験も実施しているので、東京のユニークな思い出作りに訪れてみてください。
5."東京の秘境”と騒がれる「白丸」駅
山の一部を切り崩して作られたような白丸駅。奥多摩駅へ向かって電車がトンネルの中へ消えていく様子は、どこか別の世界へと向かっていくかのよう。
西日のさす時間に到着したからか、ICカード読み取り機からは哀愁を感じました。
Photo by Pixta
周辺の見どころは、白丸ダムによって誕生した白丸湖(白丸調整池)。エメラルドグリーンの水に周囲の山々が写り、絶景が広がります。湖ではカヤックを楽しむ人の姿が見られました。
お腹がすいたら、オーガニックレストラン「森の中のお肉レストラン アースガーデン」へ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。こだわりの豚肉を用いた肉料理が自慢のお店です。肉汁たっぷりのハンバーグはとてもやわらかく、スプーンで切っていただけました。
テラス席もあり、木々を見つめながら優雅なひと時を過ごせます。散策疲れを癒す場所としても、ぜひ訪れてみてください。
まとめ
都心の雰囲気とは一変して、自然あふれるもう1つの東京。川も山もあるこの地域は、実はアウトドアレジャーが楽しめる場所としても人気があります。
登山はもちろん、トレッキングなど自然を楽しむには絶好の場所。東京から日帰りで、リラックスしたひとときを楽しみたい方は、5つの無人駅をぜひ訪れてみてください。
In cooperation with noco BAKERY&CAFE,森の中のお肉レストラン アースガーデン
MATCHA編集者兼フリーライター。東京生まれ東京育ち東京在住。これまで渡航した国は30か国以上、住んだ県は4県。日本旅行はもうすぐ全都道府県を制覇!「読んだからこそわかるその土地の魅力」が伝えられることを目指して記事を作っています。森とお寺とラクダが好きです。