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京都「瑠璃光院」。日本画のように美しい紅葉を愛でる
一度は訪れたい秋の京都。京都市内北東部にある「瑠璃光院」は紅葉の名所として知られます。数年前には最長4時間待ちの行列ができた人気スポット。噂の紅葉とはどんなものでしょう? 山の紅葉も色づく11月中旬、参詣した様子を紹介します。
瑠璃光院とは?京都中心部からのアクセス
京都・比叡山のふもと、瑠璃光院があるのは風光明媚な八瀬の地。5世紀に起こった壬申の乱で、背中に矢傷を負った大海人皇子(天武天皇)が釜風呂で傷を癒されたと言い伝えられ、古来「矢背」とも記されていたとか。
平安時代からは保養地として、貴族や武士に愛されてきました。
山に囲まれた静かな地でひっそりと佇んでいる瑠璃光院が一躍有名になった理由は、庭を彩る見事な紅葉。近年SNS映えする紅葉の名所として瞬く間に噂が広がり、毎年多くの参詣客で賑わっています。
瑠璃光院には、春と秋の特別公開期間にしか入ることができません。
この特別感も人気に火がついた要因でしょう。
筆者が訪れた2021年秋期は、コロナ禍の影響もあって事前予約制での入場でした。
毎年公式サイトに詳細が掲載されるので、興味がある方は事前にご覧下さい。
瑠璃光院へのアクセス
京都駅からは、17系統大原行きのバスに乗ると直通で瑠璃光院の最寄りのバス停まで行くことができます。
そのほか、叡山電鉄・八瀬比叡山口駅からも好アクセス。比叡山へ行く際に立ち寄るのも良いでしょう。
【叡山電鉄】「八瀬比叡山口駅」下車 徒歩5分
【比叡山ケーブル】「八瀬駅」下車 徒歩5分
【京都バス】「八瀬駅前」下車 徒歩7分
【瑠璃光院】
京都府京都市左京区上高野東山55
https://rurikoin.komyoji.com/
瑠璃光院・秋の特別拝観へいざ参詣
では境内に入ってみましょう。
事前に瑠璃光院公式サイトから入場予約をしていたので、受付所で名前を伝えます。
門をくぐって参詣料の支払いを済ませ、階段を登ると、書院が見えてきました。
まだ紅葉が青々としています。
比叡山の入り口である八瀬は多少の高地になるので、市内中心からは少し紅葉の時期が遅れるのでしょう。
桜と紅葉のピークはあらかじめ読むのが難しく、旅先で最盛期に出会うのは、まさに運頼みです。
まだ早かったか…と肩を落としかけながらも、噂の紅葉写真が撮影できるという書院の2階へ。
迎えてくれたのが、この景観!思わず息を飲んでしまいます。
紅葉は木によって青かったり赤かったり、はたまた散ってしまっていたりするので、タイミング早すぎたのか遅すぎたのか?
紅葉狩り初心者の筆者には、今ひとつ読みにくいのが実のところです。
そして、瑠璃光院最大の撮影スポット『瑠璃の庭』の景色はというと…。
圧巻の紅葉!黒塗りの写経机に紅葉が映り込、鏡のよう。この景色を見るため、撮影するために全国から参詣客が訪れているのです。
机の前はまるで陣取り合戦のよう。机の前は陣取り合戦のようでしたが、真正面の位置を確保。しかし、このとき正面からはガラス戸が反射してしまっていたので、斜めの構図で机にカメラを置いて撮影しました。
正面だけが、正解ではありません!
スマホで上手に紅葉を撮影するコツ
さてここで、スマホで紅葉を上手に撮影するテクニックを知っていますか?
屋外と室内に明暗差がある場所では、スマホのカメラが自動で明るさを調整してしまいます。室内の暗さに合わせて、屋外も明るく調光され、紅葉の色がはっきり出ず明るくとんでしまうことも。
そんなときは、スマホの明るさ調節で少し露出を暗くしてみてください。紅葉の色が濃くなり、室内とのコントラストもはっきりするので、より美しい紅葉写真を撮ることができます。
写経で心を落ち着ける
この日は、葉の緑が多く紅葉のピークには少しタイミングが早かったようです。しかし、十分に美しい紅葉と、京都ならではの雅な数寄屋造りの空間に心洗われたひと時でした。
写経スペースでは熱心に机に向かう人たちを見かけました。受付で写経の用紙をもらえます。時間がある方は、写経体験で心落ち着けてみてはいかがでしょうか。
貴重な遺構も
書院の1Fに降りると、縁側に座って瑠璃の庭を真近に見ることができます。多くの人が腰かけていますが、2Fほどの混雑はありません。
さらに、1Fには八瀬名物の「かま風呂」があります。日本式蒸し風呂の原型とされ、現存する希少な遺構だそう。大切に祀られており、神秘的なオーラを放っていました。
京都・瑠璃光院の紅葉は必見
幕末に活躍した三条実美公ゆかりの美しい茶室など、瑠璃光院にはほかにも見どころがたくさん。どの角度から眺めても、自然豊かな借景を望むことができます。
瑠璃光院の名庭がみせるしとやかな季節の移ろいは「京都っていいな」と、改めて思わせてくれるはず。秋に京都を訪れたら、ぜひ瑠璃光院にも行きましょう。
Photo by Karin