【釜石】オープン・フィールド・ミュージアム -持続可能な観光地で自然と人から学ぶ旅【東北・岩手】

東北・岩手県に位置する釜石の地域コンセプトは「オープン・フィールド・ミュージアム」。まち全域が博物館である、として、漁業、農業、林業など地域の人々の生業である一次産業を体験できるプログラムが豊富です。持続可能な観光地を目指す取り組みは高く評価されており、世界的なサスティナブル・ツーリズム認証団体「Green Destinations」による「持続可能な観光地」TOP100にも5年連続で選出されています。 知れば知るほど好奇心が刺激される釜石。たくさんの魅力からその一部をご紹介します。
1.釜石はどこにある?
2.“不撓不屈”が住民の精神
3.自然との共生を学ぶアクティビティプログラム
4.鉄のまち釜石 日本近代化の礎を築いた橋野鉄鉱山
1.釜石はどこにある?
釜石市は本州北部の東北6県のひとつ、岩手県の南部沿岸地域に位置する港町です。三陸復興国立公園の中心にあり、親潮と黒潮の豊かな恵みを受ける三陸漁場や美しい景観を誇るリアス式海岸が広がります。
釜石を訪れるには、東北新幹線の新花巻駅からJR釜石線に乗り換えて約2時間で到達するほか、東京や仙台と直接繋がる高速バスも運行されています。中尊寺で知られる奥州平泉や、日本の民俗学の原点となる地・遠野が近隣に位置しており、周遊プランも計画できますよ!
2.”不撓不屈”が住民の精神
2011年に東日本大震災の被災地となった釜石。釜石を襲った大津波は最大遡上高19mにも達し、沿岸に広がる住宅や市街地を飲み込んでいきました。歴史の中で培われてきた地元住民のスピリット“不撓不屈”の精神-どんな困難にも負けず、諦めないで立ち向かうこと―を体現するように、市民それぞれが復興の道を歩んできています。
津波による被害が特に大きかった根浜・鵜住居地区の観光交流拠点「うのすまい・トモス」では、そのスピリットの一端を知ることができます。震災の被害の大きさと後世への教訓を伝える「いのちをつなぐ未来館」は特に訪れたい施設です。東日本大震災のパネル展示を自由見学できるだけでなく、館内ガイドさんに案内を無料でお願いすることができます。

館内無料ガイドツアー
3.自然との共生を学ぶアクティビティプログラム
海と山に囲まれた釜石では、豊富なアクティビティプログラムが楽しめます!大槌湾の根浜海岸には遠浅の海が広がり、静かに打ち寄せる波と水平線の美しさを堪能できます。震災で一度失われた白い砂浜は、まちの復旧が進むなかで再び蘇りました。三陸随一の美しい海水浴場は地元住民の誇りでもあります。

根浜海岸
海岸の目の前に立つレストハウスでは、地元漁師さんが案内する漁業体験プログラムや、地元インストラクターと行くSUP、シーカヤックなどのアクティビティを申し込めます。漁業体験は旬の魚貝類の養殖場見学や収穫作業を通じて漁業を学んだあと、美味しいシーフードランチが楽しめます。地元の方がコミュニケーションをとりながら案内をしてくれるため、アクティビティを通じて自然との共生を感じることができるでしょう。隣接する根浜シーサイドキャンプ場ではテントや寝袋をレンタルできるので、1泊するのもおすすめです。

漁業体験プログラム

東北自然道ハイキング
4.鉄のまち釜石 日本近代化の礎を築いた橋野鉄鉱山
釜石の歴史は日本の近代化の歩みと密に関わっています。釜石市内から車で45分ほどの山中にある橋野鉄鉱山は日本で初めて連続出銑に成功した地として有名で、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として2015年にUNESCO世界遺産に登録されました。橋野鉄鉱山では現存する日本最古の高炉跡などが見学できます。なお冬季はインフォメーションセンターが休業します。

橋野鉄鉱山 高炉跡
橋野での連続出銑を成功させた大島高任は近代製鉄業の父とも呼ばれ、釜石駅前広場ではその銅像を見ることができます。銅像の背後には釜石の産業の核ともいえる日本製鉄の製鉄所がそびえたつことに気が付くでしょう。
駅から車で10分ほどの距離にある「鉄の歴史館」を訪れると、原寸大に復元された日本初の洋式高炉模型や、日本で三番目に開業した釜石鉄道で運行していたC20型ミニSLを見学することができます。「鉄の歴史館」は高台にあるので、釜石湾と釜石大観音の美しい景色も楽しめます。

「鉄の歴史館」からの眺望
自然の恵みと脅威を糧に歴史を重ねてきた釜石。その魅力はまだまだ伝えきれないほどたくさんあります。
釜石ではラグビーも人気のスポーツ。地域クラブである釜石シーウェイブスRFCが本拠地とする鵜住居復興スタジアムでは2019年ラグビーワールドカップも行われました。お土産屋さんをのぞいてみると、ラグビーボールや鉄鉱石をモチーフにしたユニークなお菓子も見つかります!
ぜひ釜石を体験しにきてくださいね。