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日本のことば事典「除夜の鐘(じょやのかね)」
訪日観光客向けに、難しい日本語や日本ならではの用語について解説します。今回は「除夜の鐘(じょやのかね)」。12月31日の大晦日(おおみそか)から寺で鐘をついて新年を迎える、日本の年越しスタイルについてご紹介します。
除夜の鐘(じょやのかね)とは、大晦日(おおみそか:1年の最後の日のこと)の夜に寺で鳴らされる鐘のことで、大晦日の夜のことを除夜と呼ぶことからこの名前がついています。
鐘(かね)を108回鳴らす理由
通常、鐘は大晦日に107回、新しい年になってから1回の計108回鳴らされます。
この108という数は、人間が一生のうちに経験する煩悩(※)が全部で108種類あることに由来しているといわれています。
※煩悩……ぼんのう:仏教の教えで、心の迷いや苦しみのこと
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そこで1年間の煩悩を取り除くため、日付が変わる24:00前に107回、年が明けてからは「その年の煩悩に悩まないように」という意味をこめて最後の1回をつくことになっています。
鐘の音を聞きながら迎える新年
日本では大晦日の深夜(寺によるが大体23:00前後から)になると、全国の大半の寺で除夜の鐘をつきます。冬の夜空に響きわたる鐘の音を聞きながら、気持ちを引き締めて新しい年を迎えるのが、日本の昔ながらの年越しスタイルです。
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奈良の「東大寺」や京都の「知恩院」には大きな鐘があることで知られ、17人の僧侶が力をあわせて同時に鐘をつきます。
寺によっては参拝者(さんぱいしゃ:神社、寺院などの宗教施設を訪れて、神仏などに祈りに行く人のこと)一人ひとりに鐘をつかせてくれるところもあります。
早く着いた人からついて108回になったら終わりというところもあるので、鐘をつきたい場合は早めに出かけるとよいでしょう。
ライター兼翻訳者、時にマーケティング調査員の顔も。訪日旅行客向けに東京都内レストランメニューの翻訳データ・ベースの作成や、宿・ホテル情報検索サイトの翻訳も手掛けてきました。旅行と食材研究が趣味です。