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日本のことば事典「鏡餅(かがみもち)」
訪日旅行客向けに、難しい日本語や日本ならではの用語について解説します。今回は「鏡餅(かがみもち)」。新しい年の幸せを願って神様に供える餅の飾り方や、飾った餅を食べる鏡開きという行事についての説明です。
鏡餅(かがみもち)は、年神様(としがみさま:年始に各家庭に迎え入れて祀る神のこと)に供えるために、前年の年の暮れから用意される餅(もち:もち米を蒸かしてついて作った食品)のことです。鏡餅を飾る習慣は14世紀頃から始まっていたといわれています。
鏡餅の飾り方
通常、鏡餅は丸く伸ばした餅を2段に重ね、上にみかんより一回り大きい橙(だいだい)を乗せた状態で飾ります。地方によってはこれに干したコンブや干し柿(柿を干したもの)、海老などの山海の幸を飾るところもあります。
鏡餅を乗せる台のことを三宝(さんぽう)といいますが、三宝がなければ盆などの上に飾ってもよいとされています。
また橙は一度木に実をつけると2〜3年は落下しないため、長寿(ちょうじゅ:長く生きること)を願う意味が込められていますが、こちらもなければみかんで代用することができます。
鏡開きについて
年末から年明けまで飾られた鏡餅は、1月11日の鏡開きの日に片付けることになっています。この日は餅を小さく割って、雑煮(ぞうに:新年を祝って食べる料理のひとつで、餅と野菜などが入った汁物。地域によってレシピが異なる)や、
Photo by yoppy
汁粉(しるこ:アズキを煮て砂糖などで味付けをした汁の中に、餅を入れたデザート)などにして食べる習慣があります。
最近は始めから切り分けられた餅が鏡餅の形をしたケースに入って売られている商品がたくさん出ているため、現代でも手軽に鏡開きを行うことができるようになっています。
ライター兼翻訳者、時にマーケティング調査員の顔も。訪日旅行客向けに東京都内レストランメニューの翻訳データ・ベースの作成や、宿・ホテル情報検索サイトの翻訳も手掛けてきました。旅行と食材研究が趣味です。