世界遺産の見方が変わる? ~世界遺産に行く前に30分立寄りたい無料穴場スポット~
世界遺産センターは、富岡製糸場と絹産業遺産群の総合ガイダンス展示施設。1階2階に展示があり、1階に映像が観られるシアタールームがあります。1階は世界遺産の全体像を伝えるフロア。2階には更に詳しいことに対応するための4遺産の展示と「まゆだまテーブル」という体験型デジタル展示設備があります。
上信電鉄「上州富岡駅」を降りてすぐ目の前の右手にレンガ造りの建物があります。2020年にオープンした群馬県の施設です。なんといっても入館料無料が嬉しいポイント。駅から富岡製糸場に向かう途中にあり、お得な穴場スポットといえます。
広場内にショップやカフェもありますが、一番駅に近い東側のレンガの建物が「群馬県立世界遺産センターセカイト」。セカイトのコンセプトは「世界遺産の価値を分かりやすく伝えていくこと」。その世界的な価値に触れてから各世界遺産を見学したほうが、より分かりやすくなるというのも納得できるポイントです。
ここでいう世界遺産とは、富岡製糸場と絹産業遺産群、具体的には次の4つの遺産をさします。富岡製糸場(富岡市)、田島弥平旧宅(伊勢崎市)、高山社跡(藤岡市)、荒船風穴(下仁田町)です。
センター建物について
繭を置いていたレンガ造りの倉庫をリノベーションして、展示施設に改装。富岡製糸場が明治5年に設立で、こちらは明治35年頃の倉庫だそう。通路を作る関係で一部新しいものもありますが、レンガも当時のもの。基本そのまま活かされているんだとか。
ただ、今の建築基準法に合うように、鉄骨と糸をモチーフにした炭素繊維素材で耐震補強しているといいます。隈研吾建築都市設計事務所がデザインに入っており、周辺の広場と富岡市役所と一体的に統一感のあるデザインになっているのが特徴です。
世界遺産センターは、富岡製糸場と絹産業遺産群の総合ガイダンス展示施設。1階2階に展示があり、1階に映像が観られるシアタールームがあります。1階は世界遺産の全体像を伝えるフロア。2階には更に詳しいことに対応するための4遺産の展示と「まゆだまテーブル」という体験型デジタル展示設備があります。
いちおしスポット1「シアタールーム」
世界遺産の価値がギュッと15分でわかる「シアタールーム」。 開館時間中、基本的に毎時00分と20分と40分という設定で同じ内容が上映されており、都合のよいタイミングで観ることができます。
「全体像をパネル等でみた後で、奥のシアタールームで映像を観ていただく。この15分の世界遺産ガイダンス映像を観るだけで、もう世界遺産の価値に触れられます。どんなに時間がない方でも15分寄っていただければ大丈夫!」とセンター研究員の中島さんは話します。たった15分で、世界遺産についての見方が変わるという素晴らしい体験をぜひ味わっていただきたいです。
いちおしスポット2「花まゆとユネスコ世界遺産一覧表記載認定書」
センター1階入口でまず目に飛び込むのが、繭で作られた大きな花「花まゆ」。繭の輝きが豪華で美しいのが印象的。次に花まゆの花の反対側に、ケースの中に英語で書かれた立派な文書が展示されています。ユネスコの世界遺産一覧表記載認定書です。
本物は外務省にあるのでレプリカですが、レプリカも6枚しか存在しないとのこと。群馬県のものがここにはあります。他は文化庁に1枚。あと残り4枚は富岡市、伊勢崎市、藤岡市、下仁田町の各関係自治体にあるのだといいます。傍にはユネスコに提出した推薦書と全く同じ資料も展示されています。写真には渋沢栄一、ポールブリュナの姿も。
いちおしスポット3「まゆだまテーブル」
2階フロアの真ん中にある「まゆだまテーブル」という体験型デジタル展示設備。テーブル上のイラストや人物のところに繭玉型の板を置くと反応して、音や説明が出る仕組みになっています。関係性やつながりがある先に光の矢がシュッと飛んでいくのも面白く、小学生にも大人気。ぜひ養蚕と関わりの深い猫ちゃんも探してほしいですね。
いちおしスポット4「絹の国ぐんまの宝地図」
こちらも2階フロア。富岡製糸場が群馬県に設置された理由の1つとして養蚕地帯ということがあります。これだけの養蚕、製糸、織物に関係する、史跡、建物、記念碑等が現在も残っているのが、群馬県の形の床地図上で把握できるようになっていて面白いです。
富岡製糸場と養蚕部門の絹産業遺産群、トータルで1つ。世界遺産の価値
県立世界遺産センターの研究員である中島さんは語ってくださいます。「なぜ世界遺産になったのか?その価値が分かった方が、特に産業遺産というものは見え方が変わってきます」。世界遺産として、世界的な価値と、そのつながりも重視しているのだとも話します。当時生産量に限界があった生糸の大量生産を実現した「技術革新」、世界との「技術交流」。製糸部門の富岡製糸場と養蚕部門の田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴。総合的にトータルで一体とみることで世界遺産の価値への見方がさらに深まるそうです。
来場者は、今は国内の方がメインですが、インバウンドの方も徐々にみえるとのこと。すべてではないですが、映像にも展示パネルにも英語を併記。全体の展示解説パンフレットも5か国語(日本語、英語、中国の繫体、簡体、ハングル)が用意されています。またダウンロードできるものとして、スペイン語、ポルトガル語、フランス語版のパンフレットもあるのだとか。
「来ていただいた方に満足してもらいたい、喜んでもらいたい、世界遺産について理解して触れていただきたいという想いで運営しています。よくわかったとか、富岡製糸場以外の絹産業遺産群の世界遺産にも行ってみたいとか、そう言ってもらえると嬉しいですね」と中島さん。
明治期の日本において、世界へ向けた産業を担った絹。現在もなお、その関わりのある建物や遺産が存在し見ることができます。そして、それが世界に認められる世界遺産となって群馬県にあります。
先人たちが、困難を乗り越え知恵を絞り、改良と実践を重ね産業を確かなものへと築いていきました。その価値を分かりやすく伝える群馬県立世界遺産センター「セカイト」は、今につながる大切な光をつないでいると言えるでしょう。
群馬県立世界遺産センター セカイト 基本情報
住所:群馬県富岡市富岡1450-1
TEL : 0274-67-7821
FAX : 0274-67-7822
開館時間:9:00〜17:00
休館日:3月〜11月:毎月最終水曜日、12月〜2月:毎週水曜日(※祝日の場合は翌日)12月29日〜12月31日 その他臨時休館あり(※HP新着情報をご覧ください)
アクセス:上信越自動車道:富岡ICから車で約10分上信電鉄上州富岡駅から徒歩1分富岡製糸場から徒歩10分
群馬県は日本の中心部になる内陸県で、温泉地やスキー場など自然の魅力があふれるスポットがたくさんあります。東京からのアクセスも抜群な群馬県に遊びに来ませんか?