世界遺産のある街・富岡でやりたい5つのこと〜路地裏歩き、グルメ、機織り体験
世界遺産「富岡製糸場」のある街・群馬県富岡市。でも、その魅力は世界遺産だけにとどまりません。製糸場周辺はレトロな建物や古民家カフェなどが立ち並び、路地裏散歩にうってつけ。好奇心を携えて、富岡の街へ迷い込みましょう!
富岡製糸場へ行ったら、周辺を歩いてみよう
群馬県の富岡と聞けば、世界遺産に登録された「富岡製糸場」をイメージする人が多いでしょう。しかし、製糸場を訪れても、その周りをじっくり歩いてみた方はあまり多くないかもしれません。
でもそれでは、もったいない! 実は、製糸場周辺には古い建物、レトロカフェ、趣深い路地がそこかしこにあり、世界遺産を中心としながら、今も地元の人々の暮らしが息づいているのです。富岡はリゾート地・軽井沢からもアクセスしやすく、セットで訪れるのもオススメ。新しい富岡を探す旅に、出発しましょう!
1.魅力を増し続ける世界遺産「富岡製糸場」に触れる
富岡を訪れるなら、やはりまずはここ。2014年に世界遺産に登録された「富岡製糸場」です。広大な敷地内に、日本近代製糸業の礎を築いた建造物群が、1872年の創業時の様子をよく留めつつ、保存されています。
社宅76
富岡製糸場は、ただその歴史を伝えるだけの場所ではありません。2019年4月には、大正時代中期に建てられた長屋(※1)形式の社宅「社宅76」が保存整備され、展示室や体験室としてオープン。
※1:長屋……1つの建物を壁で区切り、そこに家族が住む集合住宅。
「社宅76」は、富岡製糸場内で暮らしながら働いていた人々の昭和の生活を垣間見ることができる「暮らしのギャラリー」。そして、生きたカイコを間近で観察できる展示室や、繭や生糸に触れられる体験室で構成されています。体験室では、昔ながらの道具で繭から生糸を作る「座繰り」などの体験もできます。
また、繭の貯蔵庫だった国宝「西置繭所」は、保存整備工事を終えて、新たに資料展示室や多目的ホールが整備されます(2020年10月にオープン)。富岡製糸場は文化財としての価値を伝えつつ、"人々が集う世界遺産"として、魅力を増し続けているのです。
2.富岡の路地裏に迷い込む
富岡製糸場は現在観光名所となっていますが、1987年まで、実際に製糸場として稼働していました。
世界遺産、と聞くとはるか昔のように感じられますが、実はつい最近まで製糸場では人々が働いていたのです。そのそばには、昔も今も常に人々の暮らしがあります。
街を歩けば、歩きたくなる道があちこちに見つかります。古い木造家屋が並ぶノスタルジックな路地、夜になると賑わいを見せる細道……。そんな道には、地元民に愛され続ける老舗店があります。
こちらは、1901年創業の老舗洋品店「いりやま」。
年季の入った木造の建物に、地元の方が次々と入っていきます。「今ちょうどセールをしてるんですよ」と、店内では店長の入山さんが忙しそうに接客中。店内には、100年以上経っても変わらない賑やかさがあふれていました。
路地へ入ると、落ち着いた佇まいのせんべい屋さんを見つけ、思わず中へ。「花見せんべい」3代目の石井さんが、温かく出迎えてくれました。
看板商品「花見のシルクおかき」をいただくと、柔らかでサクサクした食感のあと、醤油の風味が口の中に広がりました。「中に絹糸の成分、シルクフィブロインを入れているんです」と石井さん。その笑顔そのままのようなやさしい味です。
富岡の人々の日常に、少しお邪魔させてもらったような気がしました。
3.「絹工房」で究極のシルク石鹸をおみやげに
富岡製糸場の正門を出ると、目の前にお店があります。ここ「絹工房」は、富岡の製糸技術が生み出した絹製品を実際に手にとり、購入できる専門店。
驚いたことに、「絹工房」では、近くにある自社工場で実際に養蚕をし、そのシルクを使ってオリジナル商品を作っています。
1番の人気商品は、「富岡シルク石鹸」。写真のミニサイズ(税込495円)で、洗顔用として約1カ月使用可能です。見た目は小さいですが、うまく泡立てると……。
こんなに大きな泡に! 実際に使用してみると、泡がもちもちで気持ちいい! きめ細かな泡で汚れをしっかり落とすだけでなく、保湿効果もあるのが特徴。余計な不純物は極力使用せず、無香料かつ発泡剤不使用のため、赤ちゃんにも安心して使えます。
「絹工房」では、コースターを作る機織り体験もできます。スタッフの方が丁寧に教えてくれ、15〜20分程度で完成。空いていれば当日その場で体験できますが、インターネットか電話で事前予約しておくのがオススメです。体験料は550円(税込)。
4.地元で愛される店でひとやすみ
築150年の異空間「カフェ・ドローム」
「絹工房」から製糸場と反対方向へ歩いていくと、古民家風のおしゃれなカフェが。思わず、扉を開けてみました。
ここは、1875年に建てられた長屋を改装したカフェ「カフェ・ドローム」。
2Fへ上がると、そこには異世界が広がっていました。長い年月を経てきたことが一目でわかる土壁や梁、風が吹くとガタガタと音を立てるガラス戸、味わい深い木目むき出しの天井……。
日本家屋の落ち着いた雰囲気の中、室内にはヨーロッパ風の家具が並びます。異なる文化が不思議に調和する空間です。
ぜひ食べてほしいのが、「プリンそこがみそ」(ドリンクとセットで1,000円)。見た目もかわいいプリンですが、底には、富岡産の大豆で作った自家製味噌のカラメルソースが! 味噌の奥深い風味と、なめらかで濃厚な味わいのプリンとのハーモニーが絶妙です。
ここにしかないオリジナルメニューを、ここにしかない空間で味わってみてください。
こだわりの富岡名物が食べられる「土屋魚店」
もっと富岡のグルメを楽しみたい!と向かったのは、地元の人に160年以上愛される老舗「土屋魚店(つちやうおてん)」。
ここでは店頭で、気軽に買える揚げ物を販売しています。看板商品は、ちくわを衣で揚げた富岡名物「ホルモン揚げ」(税込60円)と、群馬の特産品・こんにゃくを串揚げにした「こんカツ」(税込120円)。
左が「ホルモン揚げ」、右が「こんカツ」
どちらも衣がサックサクで食べ応え十分! 弾力のあるこんにゃくと揚げたての衣の異なる食感がクセになりそうです。こんにゃくは、この串揚げのために1日自家製タレで煮込んだものを使っているそう。納得のおいしさです。
5.時間があれば展示が充実した「自然史博物館」へ
Picture courtesy of 群馬県立自然史博物館
富岡製糸場から車で10分と少し距離がありますが、リピーターの多い人気スポットが「群馬県立自然史博物館」。地球や生命の歴史、群馬県の自然を紹介する博物館です。
Picture courtesy of 群馬県立自然史博物館
常設展では恐竜の全身骨格や動植物の標本など、生命の謎に迫るストーリーが学べます。春、夏・秋の年2回、企画展を開催しているため、年間を通して楽しめるのも魅力。
富岡でゆっくり1泊しよう
看板はなく、周辺の家と一体化している「蔟屋」
富岡の街をゆっくりと楽しむなら、街中や近隣で1泊したいもの。「蔟屋(まぶしや)」は、路地裏にある古民家を改装したゲストハウス。
蔟屋の室内。右下はオーナーの入山さん
実はここのオーナーは、先ほど登場した洋品店「いりやま」の店長・入山さん。ここに泊まれば、地元の人しか知らない周辺のオススメ飲食店を教えてくれるなど、富岡の日常にどっぷり浸かれます。
周辺にはほかに「ホテルアミューズ」や、車で30分ほどの場所には、絶景グランピングが体験できる「妙義グリーンホテル&テラス」もありますよ。
富岡へのアクセス
東京から富岡までは、高速道路を利用して車で約2時間。東京から出発する場合、新幹線で高崎駅まで行き、上信電鉄に乗り換えて上州富岡駅へ行きましょう。所要時間は約2時間です。
富岡からは、レンタカーや車を使えば、45分ほどで軽井沢(高速道路利用)、30分ほどで妙義山エリア(一般道)へアクセス可能。富岡とセットでぜひ回りたいところです。
自分だけの散歩道を見つけよう
世界遺産だけでなく、地元の人々の日常やレトロな空気が流れる街、富岡。
先ほど紹介した「花見せんべい」の石井さんが話してくれました。「富岡の人は、"おせっかい"な人が多い。困っている人を見つけると、つい声をかけてしまうんです」。取材中も、富岡の人たちの温かさに何度も触れました。
ぜひゆっくりと散策して、富岡の街で、あなただけの出会いを見つけてみてください。
Written by Mami Wakamatsu
Photos by Eri Miura
In cooperation with 富岡製糸場、花見せんべい、いりやま、絹工房、カフェ・ドローム、土屋魚店、蔟屋
Sponsored by 群馬県富岡市