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官僚から農家へ。田舎に文化発信の拠点を〜「books & cafe そらまど」
地域の方との関わりや、様々な縁が繋がってオープンしたそらまどさん。オーナーの窪 壮一朗さんはなんと、元文科省の官僚だったそう。現在は奥さんと農業、加工品の製造、販売をされています。なぜ農家に転身しようと思ったのか、大浦にブックカフェをオープンしようと思ったのか。お話を伺ってきました!
こんにちは!南さつま市観光協会「きやったもんせ 南さつま」の新スタッフSです!今回は、『books & cafe そらまど』さんに取材をさせていただきました!
地域の方との関わりや、様々な縁が繋がってオープンしたそらまどさん。オーナーの窪 壮一朗さんはなんと、元文科省の官僚だったそう。現在は奥さんと農業、加工品の製造、販売をされています。なぜ農家に転身しようと思ったのか、大浦にブックカフェをオープンしようと思ったのか。お話を伺ってきました!
珈琲とスコーンセット。素敵なガラスと空色の窓枠の窓の模様
農家になったきっかけ
──なぜ官僚から農家へ転身されたのでしょうか?
窪さん「最初から農家になりたかった訳ではないんです。父の故郷である大浦に移住して、ある時近所の方から『ポンカン園を引き継がないか』とお話をいただきました。断る理由もなかったので、引き継ぐことにしたんです。」
そらまどさんの外観。夜に映えます素敵です。
──そこから色々と育てるようになっていったんですか?
窪さん「そうですね。地域の方々と関わる中で、『かぼちゃ育ててみない?』などお声かけいただいて、引き受けていくうちにいつの間にか農家になっていました。最初は何も分からないところからスタートしたのですが、お声かけいただいた皆さんが良くしてくれて、どんどん広がっていきました。」
いつの間にか農家になっていたという窪さん。田舎ならではの繋がりですね!窪さんの優しく朗らかな人柄が、地域の方々を惹きつけたのではないでしょうか。
加工品販売、「南薩の田舎暮らし」
──南薩の田舎暮らしはどのように生まれたのでしょうか?
窪さん「妻がかぼちゃのジャムを作ってくれたんです。それが凄く美味しくて。売れるんじゃないかと。」
──それは素敵ですね!加工場を借りたのですか?
窪さん「最初は借りるつもりでした。ただ、商業利用ができなかったり、片道40分ほどかかるところだったりと現実的ではなくて・・・つくることにしました。」
──つくる!?加工場を・・・?
窪さん「はい。(笑)移住を喜んでくれた親戚が力を貸してくれて。それで農業、加工品販売を行う『南薩の田舎暮らし』が生まれました。」
なければつくる。大胆な行動力が素晴らしいですね!
手作りジャム。かわいいラベルも手作りなのだそう。
「そらまど」の誕生
──ブックカフェは最初から考えていらっしゃったのですか?
窪さん「いえ、こちらも考えてはいませんでした。元々は笠沙美術館で『海の見える美術館で珈琲を飲む会』や、丁子屋の石蔵で『石蔵ブックカフェ』などのイベントをやっていましたが、まさかカフェを出すとは。」
たくさんの本たち
──色々なイベントを運営されていたんですね!私も笠沙美術館からの景色は大好きです!
窪さん「いい景色ですよね。『ここでコーヒーを飲みたいな』と思って企画したら100人以上のお客さんが来てくださって。石蔵ブックカフェも、丁子屋さんとつばめ文庫さんは同年代で元々仲が良くて。丁子屋さんの石蔵がリフォームしたので、『何かイベントをやろうよ』と話して、南さつまには本屋も少ないので初めは古本市をやりました。
その後、つばめ文庫さんが『丁子屋で定期的に本の販売をしたい』というので、妻が『じゃあ、うちがコーヒーをだしてブックカフェにしようよ』と言って、石蔵ブックカフェを毎月開催するようになりました。」
このイベントも、同年代の繋がりが縁となって、開催されたんですね!※残念ながらコロナ渦の影響で「海の見える美術館で珈琲を飲む会」は現在中止中とのこと。
そらまどオープンへ
──石蔵ブックカフェから、そらまどをオープンすることになったのですか?
窪さん「実は、これも『カフェをオープンしよう』とは考えていませんでした。農地を借りようと思って遠方の地主さんに連絡をしたら、『空き家と土地ごとあげる』と言われてしまって。」
──・・・そんなことあります?
窪さん「驚きますよね(笑)別に家が欲しかった訳でもないのでしばらく放置していたのですが、ある時中に入ってみると、思いのほか床や柱がしっかりしていて。1年かけて片付けてみると、ほとんど痛んでなかったんです。古民家なので『民泊ができそう』と思ったんですが、いろいろ基準があって。そんな時、妻から『ブックカフェにしたらいいんじゃない?』と言われてやってみようかなと。今思えば、窓の位置や日当たり的にも本に陽があたらないので、ブックカフェに向いていましたね。」
こうして、クラウドファンディングで285人、244万円もの支援が集まり、古民家が『books & cafe そらまど』として生まれ変わりました。
おしゃれな店内。空色の窓から「そらまど」と名付けたそう
「文化の発信の拠点に」
──クラウドファンディングのページに、『田舎に文化の拠点を』とありますが、実際にオープンされた現在はいかがですか?
窪さん「そうですね。大浦は高齢化と過疎化が進んでいて、近くの商店や病院も閉まってしまいました。最寄りのコンビニまで20分もかかりますし、どこからのアクセスも悪いんです。でも、色々な活動を通して、こういった田舎でもみなさん文化活動を求めていることがわかりました。だからそういった方の居場所にしたいし、今も『そらまどアカデミア』や『石蔵ブックカフェ』を定期的に開催しています。」
──今、さらに何か考えていらっしゃることがありますか?
窪さん「『文化活動の拠点に』と謳っているので、文芸誌をつくりたいと考えています。SNSでは、お店の情報だけでなく、鹿児島のギャラリーや作家さんの情報も載せて発信をしています。そういった繋がりを大切にして、来てくださったお客さんが知るきっかけになればいいなと思います。」
窪さんが執筆された「明治維新と神代三陵:廃仏毀釈・薩摩藩・国家神道」
みなさんに伝えたいこと
──最後に、みなさんに伝えたいことはありますか?
窪さん「そらまどでは、10冊以上本を寄附していただいた方にドリンクをサービスしています。ドリンクが1杯400円なので、どんな本でも10冊400円になるというイメージです。某新古書店に持っていくよりずっとお得なので、よかったら持ってきてください。」
普通のお店に売るよりもお得な寄付
──窪さん、お忙しい中ありがとうございました!
そらまどさんでは、本を読みながら静かな店内でゆっくりしたり、古本の購入もできます。金、土曜日の午後(第4土曜は休み)のみ空いている隠れ家的なカフェ、『books & cafe そらまど』。亀ヶ丘からも近いので、ぜひ絶景を眺めたあとは、カフェでゆっくりされてはいかがでしょうか。
『books & cafe そらまど』
営業日:金・土(ただし第4土曜日は休み)
営業時間:13:00〜18:00席数:10席(カウンター3席×2、ローテーブル席2席、小さな座敷席2席)
駐車場:4台
897−1201 鹿児島県南さつま市大浦町13647
おわりに
コロナ禍をきっかけに急速にオンライン化が進みましたが、地域のイベント、お祭りなどが中止になったり、縮小してしまいました。南さつまはどこも過疎化、高齢化がすすんでおり、学校の閉校やお店の廃業などが続いています。しかし、それと同じくらい新しい施設やお店も生まれています。
素敵なお店や景色、地域のみなさんの想いやこだわりの詰まった特産品など、これからもどんどん発信していきます!
今後とも、南さつま市観光協会をよろしくおねがいいたします!
【鹿児島県】南さつま市は、本土最南西端に位置する、食と自然資源にあふれた街です。 ●映画『007は二度死ぬ(You Only Live Twice)』撮影地 ●鑑真大和上上陸地 ●【日本遺産】重要伝統的建造物群保存地区『加世田麓』 ●黒瀬杜氏/阿多杜氏発祥の地(南さつま七蔵焼酎) ●九州百名山『金峰山』 ●薩摩半島の三名山『野間岳』