京都の絶景を走る嵯峨野トロッコ列車を、何倍も楽しむ方法とは? 知られざる物語を楽しむ旅へ
京都・嵐山観光には欠かせない観光列車「嵯峨野トロッコ列車」。窓のない車窓から見る保津峡の景色、そして四季の風景は圧巻。京都にいながら自然を楽しめる、大人気の体験です。 実は、このトロッコ鉄道には知られざる歴史、「物語」があります。 この記事では、嵯峨野トロッコ列車の隠れた魅力に迫る、オーディオガイドを活用したトロッコ列車の旅をご紹介します。 物語とともに鉄道に乗ったとき。見えなかった世界が見えてきます。
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目次
- 嵯峨野トロッコ列車、その「物語」を探す旅
- 嵯峨野トロッコ列車までの行き方
- 列車の旅を盛り上げる、トロッコ嵯峨駅
- 自分だけの専属ガイドで、知らなかった物語に出会える
- 発車までの隙間時間、オーディオガイドでトロッコ列車の予習をしよう
- 保津峡がなければ京都は存在しなかった?
- 紆余曲折がよみがえる、トロッコ列車が歩んだ道
- トロッコ列車が歩んできた歴史を感じる、新しい列車の旅
嵯峨野トロッコ列車、その「物語」を探す旅
全長7.3キロのトロッコ嵯峨駅とトロッコ亀岡駅を結ぶ、嵯峨野トロッコ列車。
ゴトゴトと揺られながら、少し早い自転車くらいのスピードで約25分間、ゆっくりと進んでいきます。
窓ガラスのない開放的な車窓からは、桜や青紅葉、紅葉、雪景色と、日本独自の四季折々の美しい自然風景を楽しめます。
レトロな列車に乗り込み、駅員さんたちのあったかいおもてなしを受けながら、美しい自然風景を楽しむ、ここでしか体験できないことばかりの大人気の観光鉄道。
けれども、実はこの観光列車が生まれるまでに紆余曲折の様々な歴史があったとしたら。そして、このトロッコ列車がなければ、都としての京都の歴史が始まらなかったかもしれないとしたら。
乗っているだけでは見えてこなかった嵯峨野トロッコ列車の歴史を、オーディオガイドから紐解いていきたいと思います。
嵯峨野トロッコ列車までの行き方
嵯峨野トロッコ列車には、JR京都駅から出発することがオススメ。乗り換えなしで到着できるので、迷う心配もありません。
JR京都駅からの行き方
JR嵯峨野線31番〜33番のりば JR山陰本線(嵯峨野線)
「京都駅」から電車で約17分(7駅)、「JR嵯峨嵐山駅」下車、南出口から出てすぐ
京都市内からの行き方
すでに京都に宿泊している場合など、京都中心地などから向かう場合も、京都駅に戻ってから出発する方がアクセスが分かりやすくなります。
【京都中心地:四条エリアなど】
京都市営地下鉄 烏丸線「四条駅」から約3分(2駅)、「京都駅」下車 → JR線乗り換え
JR嵯峨野線31番〜33番のりば JR山陰本線(嵯峨野線)
「京都駅」から電車で約17分(7駅)、「JR嵯峨嵐山駅」下車、南出口から出てすぐ
路面電車 京福電気鉄道嵐山本線「嵐電」での行き方
列車の旅を盛り上げるには、京都唯一の路面電車「嵐電」で向かうこともおすすめです。嵐山周辺を散策しながら、トロッコ鉄道まで向かう楽しさがあります。
【京都中心地:四条大宮から嵐電で向かう場合】
京福電気鉄道「四条大宮駅」から乗車、約25分(12駅)、「嵐山駅」下車、徒歩約13分
列車の旅を盛り上げる、トロッコ嵯峨駅
JR嵯峨嵐山駅に到着し、階段を降りるとすぐにレンガ作りの大きな駅舎が見えてきます。そこがトロッコ列車の始終着駅「トロッコ嵯峨駅」。
天井が高く、広々とした駅舎には、列車を待つ時間も楽しくなるようなコーナーがいっぱいです。
嵯峨野トロッコ列車オリジナルグッズや京都土産が購入できる売店や、待ち時間をのんびりすごせるカフェスペース、西日本最大級の京都のジオラマ「ジオラマ京都JAPAN」、さらに本物のSLや希少な楽器が見れる「19世紀ホール」などなど、列車好きにはたまらないスペース。
SLの近くにある世界でも希少なグランドピアノやパイプオルガンは予約制で実際に弾くことができるそうなので、タイミングが合えば素敵な音色を聞けるかもしれません。
発車前のちょっとした空き時間だけでは物足りない見どころが盛りだくさんなので、出発時間に余裕を持って移動することがオススメです。
自分だけの専属ガイドで、知らなかった物語に出会える
トロッコ嵯峨駅を一周して満喫したら、さっそくオーディオガイドアプリ 「ON THE TRIP」をダウンロードしましょう!
トロッコ鉄道を満喫するためには、トロッコ鉄道に乗る前にダウンロードすることがおすすめ。
オーディオガイドアプリON THE TRIPは、「あらゆる旅先を博物館化する」をテーマに、神社やお寺などの文化財、絶景や温泉地、芸術祭。さらには禅や寿司などのカルチャーまで。様々な旅先で気になったことをその場で深めるトラベルガイドアプリです。
オーディオガイドの使い方は簡単。ダウンロードしたON THE TRIPアプリを立ち上げて、スポットガイドを選択します。
その場で自分が気になったスポットを選んで再生すると、音声とテキスト、写真付きで目の前の景色についての歴史や背景などを教えてくれます。※ガイドの再生は、GPS対応の自動再生タイプと手動再生する2つのタイプがあります。
発車までの隙間時間、オーディオガイドでトロッコ列車の予習をしよう
ON THE TRIPアプリを立ち上げたら、今回ご紹介する「嵯峨野観光鉄道」を選択します。
トロッコ列車のガイドは、「トロッコ嵯峨駅→トロッコ亀岡駅」、「トロッコ亀岡駅→嵯峨駅」の二つ。ガイドの内容自体はほぼ一緒ですが、GPSに反応して自動で流れるガイドのため、出発駅でガイドを選びます。
山の合間を走っていく列車なので、電波状況に左右されないようガイドをスマートフォンにダウンロードすることもオススメです。
ON THE TRIPのオーディオガイドは、インターネットに接続か端末にダウンロードして、その場所に行かなくても、いつでもどこでも聞くことができます。
もし発車までの時間に余裕があれば、少しだけ予習をしてみてもらえるといいかもしれません。
というのもトロッコ列車は、トロッコ列車の持つ独特の「音」、乗るだけでワクワクするレトロな車体に保津峡の美しい景色、車掌さんたちの気分が高まるおもてなし…などなど、五感をフル稼働させながら楽しむエンターテイメント。
走行中にうっかり大切なポイントを聴き逃してしまわないように、少しだけ予備知識を入れてから列車に乗ることがオススメです。
けれども、「やっぱり初めての感覚を大切にしたい」という方は、オーディオガイドをすぐに聴けるようにダウンロードだけして、トロッコ列車の物語を想像しながら向かってくださいね。
オーディオガイドを利用してトロッコ列車を楽しむポイント
①出発前に予習する
- オーディオガイドは、トロッコ列車の中だけでなく、いつでも、どこでも聞くことができます。旅を盛り上げるために、乗車中にガイドを聞き逃さないようにも、トロッコ嵯峨野駅に到着までの間に一度聞いてみていただくこともおすすめです。
②戻りのトロッコ列車で聞く
- トロッコ列車を往復で乗車する方で、初めての体験を楽しみたい!という方には戻りの列車からガイドを聞いて見てください。往きの列車では、見えなかった新しい発見がありますよ。
③下車後に復習する
- トロッコ列車を降りた後に聞いてみると、その時には気づけなかった新たな発見があります。旅から日常に戻るまでの余韻を楽しむように、ぜひ帰宅中の移動時間に聞いてみてくださいね。ガイドは離れていてもいつでも楽しむことができます。
保津峡がなければ京都は存在しなかった?
オーディオガイドの準備が終わったら、さっそく列車に乗り込みましょう!
赤い窓枠、傘型の電球、木作りの懐かしさを感じる椅子、どこを見ても可愛らしいレトロな車内。
発車の合図がなる前に、オーディオガイド用のイヤホンを片耳に装着します。もう片耳は装着せず、車掌さんのガイドを楽しんでくださいね。
個人的な使用感では、窓側の耳にイヤホンを装着すると車掌さんの声がしっかり聞こえるかなと感じました。個人差があるかと思いますので、実際に現地でどちらにイヤホンを装着した方が聞きやすいか試してみてくださいね。
吹き抜けの窓から爽快な風を浴びながら、ゴトゴトとした列車が鳴らす大きな音に揺られていると、ガイドの音声が自動で流れてきました。
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02:トロッコ嵐山駅〜トロッコ保津峡駅 「保津峡がなければ京都は存在しなかった?」
(中略)
京都に都が移されたことで、保津川は以前にも増してたくさんの木材を運ぶようになりました。切り出した木を丸太にして、筏のように組む。その上に人が乗り、保津川を漕いでいく命がけのラフティング。
想像してください。ときに増水した暴れ川と戦いながら、急流を漕ぎ進む筏師たちの姿を。そうして木材が運ばれ、京の都がつくられていったのです。そして、嵯峨野の由来である嵯峨天皇が即位することになります。
トロッコ列車が走るより遥か昔から、保津川が運んでいた重要な貨物は「木材」。都だけではありません。数々のお寺をはじめ、京都で暮らす人々のため、木材を運ぶ保津川をエネルギー源にして、京都は発展していったのです。
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ライフジャケットなどない時代に、切り出した丸太に乗って川下りしていたという先人たち。自然と共存し、その恵みを活かしてきた昔の人たちの苦労と知恵がなければ、今のような観光都市「京都」は存在しなかったかもしれない。命がけの川下りは現代では観光アクティビティとなり、そのまま続いていることも忘れてはなりません。
この目の前の美しい川で命がけの川下りが行われていた様子を思い浮かべながら、さらに列車はゴトゴト、くねくねとトロッコ亀岡駅へと進んでいきます。
紆余曲折がよみがえる、トロッコ列車が歩んだ道
保津川に沿うように敷かれている曲がりくねった線路、たくさんのトンネル、断崖絶壁のようなこの場所に当時の人たちはどのように鉄道を作り出したのでしょうか。
何度目かのトンネルが見えてきたあたりで次のガイドが流れてきました。
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03:トロッコ保津峡駅〜トロッコ亀岡駅 「断崖絶壁に鉄道を走らせるための苦難とは?」
時は明治時代。とある政治家によって日本海の港である舞鶴と京都を結ぶ鉄道が計画されました。しかし、当時の技術で山にトンネルをつくり、川に橋をかけながら鉄道を建設するのは大変なこと。険しい渓谷へ、建築資材を運ぶのも一苦労でした。まさに今、列車が走っている保津峡が最大の難関でした。
現代のような重機もない中、クワやスコップを使い、ほとんど手作業で8か所のトンネルと51か所の橋を完成させました。その中には当時、日本で一番長い鉄橋の工事も含まれていました。これらの工事には莫大な資金がかかり、舞鶴まで結ぶ計画は頓挫。それでも、亀岡より先の園部まで走る鉄道をなんとか完成させました。
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手作業で掘る8か所のトンネルに、51箇所の橋。想像を絶する労力に驚きながらも、先人たちの列車にかけるロマンの物語が目の前の美しい景色に重なります。
道なき道を進もうとしたその原動力は、この保津峡が魅せる景色があったからこそかもしれません。
自然とともに歩み、暮らしてきた人たちの情熱は、観光列車となった今でも受け継がれているのだなと、車掌さんのアナウンスや発車時のスタッフさんたちの楽しそうな様子を思い出しながら感じました。
線路が開通した後、貨物車から嵯峨野トロッコ列車となるまでの物語は、ぜひ自分の耳で聞いてみてくださいね。
トロッコ列車が歩んできた歴史を感じる、新しい列車の旅
トロッコ列車、そして保津川、保津峡が持つ歴史を知ることで、脈々と受け継がれている先人たちの思い、その歴史を知ることができました。きっとその歴史を知らなくても、トロッコ列車の旅は、あたたかいおもてなしと美しい景色に出会える素晴らしい体験だと思います。
けれども、その土地が持つ「物語」を知るからこそ、見える景色がある。その土地がもっと愛おしく感じる。
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お寺や神社、美術館などの文化財や街にある物語を、地図にマッピングされたスポットをめぐりながら楽しむオーディオガイドアプリを作成しています。 一つ一つのガイドはまるで映画や小説のような心動かす作品とななり、ガイドを聴くことで旅先の理解が深まり、旅の体験がふくらむ。 このアカウントでは、オーディオガイドアプリを活用することで見えてくる、ガイドブックには載っていない日本の魅力、オーディオガイドだからこそ味わえる新しい旅の仕方をご紹介していきます。